海水から真水を、災害時に届けたい!海上水インフラ構想を小型実証へ

海水から真水をつくり、災害時に必要な場所へ届けたい。Ocean Yggdrasilは、海と陸をつなぐ水インフラ構想です。専門家への相談と小型造水実証を通じて、実現への第一歩を踏み出します。

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海水から真水をつくり、災害時に必要な場所へ届けたい。Ocean Yggdrasilは、海と陸をつなぐ水インフラ構想です。専門家への相談と小型造水実証を通じて、実現への第一歩を踏み出します。

本日は、Ocean Yggdrasil(オーシャン・ユグドラシル)という構想を、どのような思いから考え始めたのか、その原点と、今後の活動で大切にしていきたい信念についてお伝えします。


長々となりますが…最後まで読んで頂けたら幸いです。

私が最初に考えたのは、「水は、人が生きていくために必要不可欠なものである」という、ごく当たり前のことでした。

私たちは毎日、水を飲み、食事をつくり、体や衣服を洗い、さまざまな仕事の中で水を使っています。普段は蛇口をひねれば使えるため、その存在を強く意識する機会は少ないかもしれません。しかし、水を使えなくなったとき、日々の暮らしを続けることは途端に難しくなります。

その水は、自然の大きな循環によって私たちのもとに届いています。

海や陸から蒸発した水は、水蒸気となって大気中を移動し、雲をつくり、雨や雪となって地上へ戻ります。降り注いだ水は、森林や大地、川、地下水などを通じて、私たちの命と暮らしを支え、やがて再び海へとつながっていきます。

私は、この巡り続ける水の流れに、自然の豊かさと、人が生かされていることの重みを感じています。

一方で、恵みを与えてくれる自然は、ときに人の暮らしを脅かす力にもなります。

地震や津波、豪雨などの災害によって、水道施設や配管、道路、電力設備が被害を受ければ、水源があっても、必要な場所へ水を届けることが難しくなります。災害がいつ、どこで、どれほどの被害をもたらすかを、あらかじめすべて見通すことはできません。

そのとき、確保できる水と、現地で必要になる水の量が釣り合うのだろうか。飲み水だけでなく、手洗いや清掃、トイレなどに使う生活用水まで不足したら、避難生活や支援活動はどうなるのだろうか。

こうした疑問が、この構想の出発点になりました。

そこで考えたのが、「海の恵みである海水を活用し、必要な水をつくり、届けることで、少しでも人の役に立てないか」ということです。

陸上の施設や備蓄、輸送による支援は欠かせません。ただ、道路の寸断や施設の被災によって、陸からの活動が制約を受ける場面も考えられます。

そのため私は、陸上での支援を補う方法として、海上で水をつくり、運ぶ仕組みに可能性を感じました。

海上での運用を考える中で、遠洋漁業などに使われる船舶の仕組みにも関心を持ちました。船では、海水を機関の冷却や一部の雑用水に活用する一方で、飲用に適した水は区別して確保するなど、用途に応じた水の使い分けがあることを知りました。

そこから、「海上で必要な真水をつくる仕組みを整えられれば、船内の暮らしを支えながら、船外への供給にもつなげられるのではないか」と考えるようになりました。

さらに、沖縄県の「沖縄県企業局 海水淡水化センター」と、九州・福岡県の「海の中道奈多海水淡水化センター(まみずピア)」の事例を知ったことも、構想を深めるきっかけになりました。

海水を資源として活用し、人々の暮らしを支える真水をつくる。その仕組みが陸上で実際に運用されていることを知り、「海上でも、こうした技術を活用する方法を検討できないか」と考えるようになったのです。

もちろん、陸上の設備を、そのまま船や海上施設へ移せるとは考えていません。船の揺れや設備の重さ、必要な電力、保守管理、海況による活動の制約など、海上ならではの条件を確かめていく必要があります。

それでも、海水を取り入れ、真水をつくり、必要とされる場所へ届ける仕組みには、検討する価値があると感じています。

海水から真水をつくり、その水を用途に合わせて処理・管理する。さらに、製氷や飲料水の製造につなげる。必要に応じて、陸上の設備でも仕上げの処理や保管、出荷を担えるようにする。

このように、海上と陸上が役割を分担し、連携できる仕組みを目指したいと考えています。

将来的には、飲料水や生活用水、業務用水の供給に加え、氷の製造、飲料水の商品開発・販売、海水に含まれる塩分の資源利用などについても、可能性を検討していきたいと思っています。

ただし、海水から真水をつくれば、そのまますべての用途に使えるわけではありません。飲用、生活用、製氷など、それぞれに必要な水質や衛生管理、設備、費用を確かめる必要があります。塩の製造についても、淡水化とは別に、成分や品質、処理方法、採算性を検討する必要があると認識しています。

また、造水や製氷を続けるためには、エネルギーの確保が欠かせません。必要な電力をどう調達するか、省エネルギー化をどう進めるか、取水や処理後の排水による海への影響をどう抑えるかについても、専門的な知見を得ながら検討していきたいと考えています。

目指すのは、平時にも水に関わる事業を営み、その設備や経験を積み重ねながら、災害時には支援に役立てられる仕組みです。継続して活動できる土台をつくることも、人を支えるうえで大切だと考えています。

そして、こうした思いを込めて掲げた名前が、「Ocean Yggdrasil」です。

ユグドラシルは、北欧神話に登場する、世界を支える大樹です。

私はその姿に、海を起点として、水を通じて人々の命と暮らしを支える存在になりたいという願いを重ねました。

木が根を張り、幹を育て、枝を広げていくように、まずは知識と準備を積み重ね、小さくても実際に役立つ仕組みを育てたい。そして、その先に、日常の暮らしと、災害に直面した人々の双方を支えられる活動へとつなげたいと考えています。

現時点では、ここに記した事業全体や船団の運用が実現しているわけではありません。技術面や費用面、運用面の課題を整理し、実現の可能性を確かめていく段階です。

今後は、専門家へ相談するための資料づくりや相談先の選定、模型・デモンストレーションの検討、必要な設備や材料、費用の整理などを、一つずつ進めていきたいと考えています。大学や研究機関との連携についても、相談の可能性を探っていくことが今後の目標です。

なお、今回紹介した海水淡水化施設は、構想のきっかけとなった事例です。各施設や運営機関との提携・協力関係があることを示すものではありません。

今回お伝えした将来構想は、今回の募集だけですべてを実現するという意味ではありません。支援金の使い道は、プロジェクトページに記載した内容に沿って、構想の実現可能性を確かめるための準備を進めていきます。

「海の恵みを、人の暮らしを支える力につなげたい」

これが、私の活動の根底にある信念です。

仕事と並行しての取り組みですが、調べたこと、分かった課題、これから取り組むことを、活動報告を通じてお伝えしていきます。

Ocean Yggdrasilの最初の一歩を、見守っていただけましたら幸いです。

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