ー牧場、そして循環型農業をスタートするきっかけー
人間と動物が共存し、循環型農業を目指すリアル牧場物語のプロジェクトリーダーの山野井えみです。
小児一筋21年、理学療法士としてたくさんの子どもの発達に関わってきました。
なぜ、そんな農業素人の私が牧場を作ったのか?
そして、今回のリアル牧場物語「干し柿作り」でクラファンをすることになったかという話に、可愛い動物達も登場しますので、少しお付き合いください。
牧場スタートのきっかけは、赤ちゃんの頃から18年関わってきた男の子から言われた
「ボク、先生たちと一緒に働きたい」
という言葉でした。
赤ちゃんから高校生まで小児リハビリと療育と言う流れで成長を見守ってきた子が次のステージ「就労」に向けて描いた私たちとの“未来”。
この言葉が私を強く後押しし、
「子どもたちがもつ強みを活かしながら働ける環境をつくりたい」と考えるようになりました。
来春から一緒に働く予定の仲良し2人
ー馬と出会い、小さな牧場をゼロから手作りー
ちょうどその頃、発達に特性がある子ども達に効果があると言われていたホースセラピーを学び始めました。
子ども達が馬と触れ合うことで見せてくれる変化に効果を感じ、ホースセラピーをしたいと2020年、引退競走馬のサターン(現:サニー)を引き取り、山の麓に小さな牧場づくりをスタートしました。
サニーがきっかけで、多くの人や地域とつながり、 “子どもたちの学びと仕事の場”を広げる種が生まれていきました。
町が活気づいたと言われ触れ合いイベントを開催
牧場名「なかま牧場」は、 動物も人も、地域の人も“仲間”として共に育つ場にしたいという願いを込めています。
牧場を作るまでのきっかけをくれたサニーのロゴ
ー動物が生む「循環」と農業の可能性ー
牧場にいるヤギと馬は毎日山のようにたくさんのフンをします。
しかし、それは「良質な堆肥」になる宝の山だったのです。
フン → 堆肥 → 田畑 → 野菜などの栽培 → 食卓
すべてが循環する“学びと仕事”の場が少しずつ形になっていきました。
糞の量は馬だけで1日1輪車大盛り2つ分 軽トラがパンパン
ー子どもたちの仕事として“農業”を選んだ理由ー
多くの子どもたちと関わる中で、
・目で見て成果が分かる仕事
・急な仕事内容の変化が少ない
・将来なくならない職業
・地域に必要とされている
この条件にピッタリ合うのが「農業」でした。
さらに、土に触れることは心身の安定にもつながり、 発達特性のある子どもたちにもメリットが大きい分野です。
もみ殻燻炭作業で土をふかふかにする
苗作りからする農家さんは減っているので挑戦
ー草刈りという“壁”と、ヤギとの出会いー
農業には欠かせない草刈りですが、夏は毎日驚くほど草が伸び、管理がとても大変です。
「自然の力を借りる」方法として、除草能力が高いヤギを迎えました。
初代兄妹ヤギ(左:オスのうみ、右:メスのそら)
ヤギたちは、斜面でも高い場所でも自由に動き、 驚くほど効率よく草を食べてくれます。
結果として、ヤギ小屋横の斜面などの草刈りの負担が大きく減り、 まさに “動物との共存” が生まれました。 ヤギは2頭から始まり、ご縁を経て現在は8頭。 今では牧場の大切な仲間です
ー地域が背中を押してくれた「米作り」ー
「自然の力を活かしたお米作りをしたい」
と話したとき、地域の農家さんに笑われました。
それでも諦めず続けていると、 耕作放棄地となりかけた田んぼを貸していただき、 地域の人が少しずつ力を貸してくれるようになりました。
2024年には、初めてのお米作りで収穫まで行うができました。 その実績をきっかけに、さらに他の農家さんとの関わりが増えることで、色々な情報や田んぼを任せてもらえる機会がさらに増えていきました。
トラクターで耕し田植えの準備に備える
稲刈りをした後にはかけ干し
かけ干しすることでうまみが凝縮される
ー干し柿の名産地で託された大切なものー
牧場のある豊野町は、 「お米」と並んで「干し柿」の名産地です。
ある日、農家の師匠から
「干し柿づくりを引き継がんか?」
柿山は山を登っていき、6反(6000㎡)の広大な土地で、夏には草が数日で伸びるほどの大変な場所。
車が入れる道もなく、大型機械が入れない場所の管理や収穫作業はとても大変です。
そして多い時は、30000個近く実る柿を剥いて干し柿にする作業は高齢の師匠には負担となっていたようです。現在そのような場所がどんどん増えいてきています。
牧場をここで始めたことで、本来なら耕作放棄地になる場所が、また新たな作物を育てる土地として使われることは、地域の問題の解消に少なからず役に立てているかなと思いました。
これも地域と牧場の「共存」が生み出す循環の1つだと感じました。
ー2025年、お米も干し柿も販売レベルへー
2024年は、
・自然の力を活かしたお米作り
・地域の柿山を引き継いだ初年度
2025年は、
・子どもたちが学びながら働ける「循環型の農と牧場の現場」を 本格的に整備
・農業を実践することで問題点を見つけ、就労支援へと活かす
・地域の人たちの協力があり規模が拡大
2025年収穫量
米の生産 1トン
もち米の生産 100Kg
柿 4000個(干し柿2000個、干し柿をつくる柿として2000個を販売)
手作業での皮むきは夜遅くまで続いた
ー来年、再来年、そして未来の子ども達が輝く場所へー
今回のプロジェクトは、来年から働き始める子ども達が働きやすい環境整備をするための2点となります。
柿山での放牧用の柵と小屋 100~150万
干し柿用の柿剥き機 1台×50万
馬とヤギとふれあい、土に触れ、作物を育てる中で
「どんなことが得意か」 「どんな作業が好きか、苦手か」 「働くってどういうことか」
を自然と経験しながら、就労への下地がゆっくり育っていきます。
ここでの体験が、その子の“向き・不向き” を知るきっかけになったり、 「やってみたい!」という前向きな気持ちを引き出してくれたりしています。
そして馬とヤギは、子どもたちの心を癒すセラピーの存在であると同時に、草刈りや堆肥づくりで農業の一員として働く頼れる仲間でもあります。
ここ、なかま牧場はその名の通り、子ども達、動物達、自然そして地域が互いにつながり、支え合う仲間が作り上げた場所となりつつあります。
ーリターンについてー
①とんでもなく手がかかる手もみ製法の干し柿
②なかま牧場のお米
③なかま牧場のかけ干しのもち米
④写真家の蓮井幹生氏が撮影 元競走馬サニーのポストカード
なかま牧場で丹精込めて子ども達と作った①~③を是非食べていただきたいと思います。
ー終わりにー
なかま牧場は、ただの牧場ではありません。
馬とヤギは子どもたちの心の支えであり、農業をする仲間となり、 就労で働く子どもたちが作る安心安全の食は、また誰かの健康を支えること未来になると思います。
それぞれが、共存して生きていく中で「やさしい循環」が生まれました。
そして、なかま牧場はその循環をさらに次のステージへ進めたいと思います。
皆さまの応援が、なかま牧場でのやさしい循環のエネルギーとなり、働く子ども達が未来の私たちの「食」を守る存在となってくれると思います。
応援どうぞよろしくお願いします。
一般社団法人つながる
理事 山野井えみ








コメント
もっと見る