☆研究プロジェクトの概要
― 不思議な生きものから「人と細菌の共生のヒミツ」を探る研究 ―

私たち人間の体の中には、数えきれないほどの細菌が一緒に暮らしています。
特に腸の中には多くの細菌がおり、消化を助けたり、体の調子を整えたりしてくれる大切な存在です。
その一方で、
大腸がん、自己免疫の病気、心の病、生活習慣病など、
さまざまな病気にも関わっていることが分かってきています。
ところが――
**「細菌は、体の細胞と具体的にどうやって共に生きているのか?」**
という、とても根本的な疑問については、実はまだよく分かっていません。
そこで本研究では、
**「真正粘菌(しんせいねんきん)」**という、とても変わった生きものを使って、
この謎に正面から挑みます。
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☆研究の目的
この研究の目的は、
**細菌と細胞が“1対1”でどう関わるのか**
を、はっきり観察・解析できる新しい研究モデルを作ることです。
真正粘菌は、
* ひとつの細胞なのに
* 中にたくさんの核を持ち
* 単細胞と多細胞、両方の特徴を持つ
という、非常に珍しい生きものです。
この性質を使えば、
人やマウスでは複雑すぎて見えなかった
**「共生の一番大事なポイント」**を、
シンプルな形で明らかにできると考えています。
将来的には、
* 人と腸内細菌がどうやって共に生きているのかの理解
* 腸内細菌が関わる病気の予防や治療法の開発
につながる、土台となる研究を目指しています。
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☆研究の進め方
この研究では、申請者が自ら見つけ出した真正粘菌を使い、次の3つの段階で進めていきます。
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① 真正粘菌の「設計図」を調べる
真正粘菌は特殊な構造をしており、
どんな遺伝子を使って生きているのか、ほとんど分かっていません。
そこでまず、
* 細胞の中から核を取り出し
* RNA解析という方法で
* どんな遺伝子が働いているかをまとめる
いわば、**真正粘菌の取扱説明書**を作るところから始めます。
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② 細菌と共に生きるときに働く「重要なタンパク質」を探す
申請者はすでに、
真正粘菌と一緒に生きる細菌(Flavobacterium)を見つけ、育てる方法を確立しています。
この細菌を光る目印で染めて、
* 真正粘菌に食べさせ
* 細菌が体の中に取り込まれる様子を観察する
その後、
* 細菌を取り込んだ場合
* 取り込んでいない場合
で、体の中のタンパク質を比べ、
**共生するときだけ現れる重要なタンパク質**を見つけ出します。
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③ 遺伝子とタンパク質を組み合わせて、共生の仕組みを解く
①で得た「遺伝子の情報」と
②で得た「タンパク質の情報」を組み合わせ、
* どの遺伝子が
* いつ
* どのように働いて
細菌との共生を支えているのかを、総合的に明らかにします。
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☆この研究のすごいところ
この研究の一番の強みは、
**人や動物の複雑な共生を、
あえてシンプルな生きものに置き換えて調べます**
という、独自の発想にあります。
人やマウスでは、
* たくさんの種類の細胞
* たくさんの種類の細菌
が入り混じり、話がややこしくなってしまいます。
一方、真正粘菌には、
* 育てやすく、費用が安い
* 同じ条件の実験を何度でもできる
* 単細胞であるため1細菌の動きが見やすい
という大きな利点があります。
そのため、
共生の仕組みを**効率よく、正確に**調べられます。
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☆研究を行う人について
申請者は、函館市を拠点に活動する研究チームの一員として、
長年、微生物と生きものの関係を研究してきました。
特に、
**「細菌が宿主の体にどう影響するのか」**
を専門としてしています。
この研究を通じて、
科学の力で人々の健康に貢献することを目指しています。
研究所の詳細は下記URLから
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☆なぜクラウドファンディングが必要なのか
これまでの研究では、
マウスや人を使った実験には、
* 食事
* 環境
* 酸素
* 体内の状態
など、多くの要因が影響し、限界がありました。
そこで見つけた突破口が、真正粘菌でした。
ただし、新しい研究方法であるため、
* 実験機器
* 試薬
* データ解析の環境
など、最初の準備にどうしても費用がかかります。
このクラウドファンディングは、
**未来の医療につながる第一歩**を支えていただくためのものなのです。

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スケジュール
2026年4月 クラウドファンディング終了
2026年4-8月 研究準備・系の最適化
2026年9月-2027年2月 真正粘菌の発現因子網羅解析
2027年3-8月 共生に必要な鍵因子(タンパク質)の探索
2027年9月-2028年2月 遺伝子×タンパク質統合解析
2028年3月-5月 総合考察・成果発信
最新の活動報告
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粘菌のフローラ解析と動物実験に変わる実験モデルの提唱を目指して。
2026/02/07 15:17このプロジェクトの研究アイディアは私の独自の内容で、これまでなかったものです。私自身、森の宝石と呼ばれる粘菌と出会った当初は研究に発展するとは思っても見ませんでした。粘菌と出会えた私は幸運であると思っています。本プロジェクトを思い立った2年ほど前に粘菌に共生する細菌を調査しました。その結果は驚くべきものでした。土壌に棲む細菌はもちろん、極限環境(通常生物が生きているとは思われていなかった環境)で棲息が確認されている珍しい細菌も棲息していました。ごく単純な細菌構成を予想していた私にとっては驚くべき結果でした。その中で分離に成功したのが本プロジェクトで使う細菌(Flavobacterium)です。たくさんの培養が困難な細菌がいる中で研究に使える細菌を見つけられた事は大変幸運なことです。この幸運を逃さないようしっかりと研究を進めていきます。この内容については今後、学会等で世界初の内容として発表していく予定です。また、もう1つ大きな思いがあり、研究を進めていきます。それは動物実験に変わる実験モデルとして、本プロジェクトで使う粘菌を提唱することです。私自身、学生時代も含めると20年近く動物実験に従事してきました。その中で動物実験に変わる実験モデルを作ることにも力を注いできました(2013年に日本農芸化学会において実験モデルを使った研究でトピック賞を受賞、その後、学術論文も投稿しています。)。ですが、生体内の環境を試験管内で再現することに大変苦労していました。そんな中で、粘菌に出会ったというストーリーがあります。このモデルを確立する事で将来、動物実験が減ることを期待しています。 もっと見る




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