
4月19日、「あらこてブッククラブ」を開催しました!
「あらこて」というのは、「あらゆる差別に反対するための言葉と手段を手に入れる」の略称で、私たちが現在作成しているガイドのタイトルにも使っています。
講師を呼んでの学びの会は「あらこて会」と呼んでいるのですが、
今回は本をみんなで読みあう「あらこてブッククラブ」を開きました。
取り上げた本は、
ジェイク・ホール(安藤貴子訳)
『みんなこうして連帯してきた——失敗のなかで社会は変わっていく』です。
この日は「はじめに」だけ読みました。
ここでは、本書のテーマやスタンスが、複数の運動の実践を参照しながら述べられていました。
「はじめに」では例えば、ドイツで1919年に「性科学研究所」を設立した、マグヌシュ・ヒルシュフェルトが取り上げられています。
ヒルシュフェルトは、当時としては先進的な、性的マイノリティを対象とした治療と研究を行っていました。
しかし同時に、ヒルシュフェルトには、当時のレイシストや優生学者の理論を信じていたという批判が向けられてもいるのです。
それを踏まえた上で、著者のホールは、こう言います。
「クィアの遺産(レガシー)に対する批判的読解を、
過去の英雄の名声がみずからの行為によって汚されたと片づけるのでなく、
学びの機会と捉えることが重要だ」
この言葉は、わたしたちちゃぶじょ・ちゃびフレメンバー(ガイド制作のためのレポートを書いてくれた他団体のメンバー)にとって、強く響くものでした。
というのも、「差別や排除のない活動をつくっていく」上で、最初から完ぺきな人はいないと考えているからです。そのため、わたしたちは「学び」を大事にしています。
この点にも関係すると思うのですが、著者のホールは他にも、「運動が失敗した」とはどういう意味なのかを考えることが重要であると言います。
そして、ジャック・ハルバースタムというクィア理論家の主張を取り上げます。
ハルバースタムは、「失敗とは何を意味し、社会が『失敗』や『成功』と呼ぶものを表す言葉の意味は誰が決めるのかを追究しなければならない」と言います。
そんなハルバースタムの『失敗のクィアアート』という本は、「うまく失敗し、たびたび失敗し、そこから学ぶ、すなわち…『もっとうまく失敗する』」ために書かれました。
この、「もっとうまく失敗する」という点が重要であるように思います。というのも、「学び」を繰り返しながら、そしてその繰り返しによって、「あらゆる差別に反対」していくということが、社会をよりよくしていく上で必要不可欠だと、わたしたちは感じているからです。そこでは、必ずと言っていいほど「失敗」を伴うことにもなります。
でも、その「失敗」を、次につなげやすくするにはどうするか。その方法をわたしたちは可視化し、また作り出していきたいと思っています。
もっと言えば、わたしたちが作るガイドは、
「完全無欠でなんの問題もない活動の作り方」を紹介するものではないのです。
むしろ、「もっとうまく失敗」して、学びを繰り返すなかでより良い活動の方法を生み出し、その先に新しい社会のあり方を見出すことをいろんな人たちとともに目指せるような、そんなガイドにしたいと考えています。
今回の『みんなこうして連帯してきた——失敗のなかで社会は変わっていく』を読むブッククラブでは、そんな歴史的で大きな社会の流れの中に、自分たちの取り組みを位置づけることができたように感じて、とても意義深いものになったのでした。
他にも、参加メンバーからは、「連帯」が何を意味するのかに関する記述への共感の声が上がったりもしました
(バーニス・ジョンソン・リンゴーンの「何も好き好んで他者と協力するわけではない。自分を殺すかもしれない相手と手を結ぼうと考える理由は一つ。それが生き延びる可能性をくれる唯一の方法だと思うからだ」という言葉など)。
また、「学び」に関連して、PTG(Posttraumatic Growth:心的外傷後成長)という概念がメンバーから紹介されたりもして、得るものの多いブッククラブとなりました。
これからも、「あらゆる差別に反対するための言葉と手段を手に入れる」ために、ガイドの作成やさまざまな実践をがんばっていきたいと思います!
ぜひ、クラウドファンディングも引き続き応援のほどどうぞよろしくお願いします。



