
いつも応援ありがとうございます。今回は、「考える食堂展」につながる実践のひとつとして、大学で始まった新しい取り組みをご報告します。
4月2日、デジタルハリウッド大学の新入生オリエンテーションで、食育についての特別講義を担当しました。テーマは、「食べることを、自分で選ぶ」です。
大学に入ると、食は「与えられるもの」から「自分で選ぶもの」へと変わっていきます。一人暮らしを始める人もいれば、家から通っていても、学食やコンビニ、外食など、自分で食を選ぶ場面は確実に増えていきます。だからこそ、何をどう食べるかを、自分の身体や暮らしに照らして考えられることが大切になります。
講義では、食事をひとまとまりのものとして受け取るのではなく、食材の役割や量に目を向けること、そして栄養学を「正解を押しつけるルール」ではなく、自分で考えるための“ものさし”として使うことをお話ししました。好き嫌いを矯正するのではなく、自分の感覚を大切にしながら、食べることを考えていく。そのことを、新入生のみなさんに伝えたいと思いました。
今回の取り組みで重要なのは、単に食について学ぶ機会をつくることではありません。新しい藤井学長のもとで、学生が自分の健康を自分で考えられるように、そのための環境を大学として整えていこうとしていることです。好き嫌いは大切にしてほしい。けれどその一方で、まずは試してみてほしい。そうしたメッセージが、講義だけでなく、実際の食の場にもつながろうとしています。
その実践の場が、大学のカフェテリアです。すでにカフェテリアでは野菜料理の提供が始まっており、4月14日からは新しいワンプレートメニューの提供も始まる予定です。大学としても、こうしたかたちで食育と日々の食環境を結びつけていくのは初めての試みです。
特に大きいのは、サラダではなく、調理された野菜が定常的に学食で提供されるようになることです。野菜が大切だとわかっていても、毎日の食事のなかで継続してとるのは簡単ではありません。だからこそ、個人の努力だけに委ねるのではなく、大学という場の側で、選びやすい形を用意していくことに意味があると考えています。
知識として「身体にいい」と理解するだけでなく、実際に食べてみて、自分にとってどうかを感じてみること。おいしいのか、食べやすいのか、続けられそうなのか。そうしたことを自分で観察しながら考えられる環境をつくろうとしている点で、この取り組みはかなり画期的だと感じています。
私自身も、このカフェテリアの企画に参画しており、講義と日々の食環境づくりの両面からこの試みに関わっています。完成したものを一方的に渡すのではなく、実際に食べてみた感想や反応を受け取りながら、一緒に育てていくプロジェクトでもあります。
私は、こうした考え方そのものが「デザイン」だと捉えています。見た目を整えることだけではなく、限られた胃袋、時間、予算、環境のなかで、何をどう満たすかを考えること。さらに、そのための見取り図を持ち、選びやすい環境を整えることもまたデザインです。食べることを、感覚だけでも正しさだけでもなく、自分で考え、選べるようにする。そのための条件を設計していくことが、今回の取り組みの根底にあります。
こうした大学での実践は、今まさにすすめている「考える食堂展」にもつながっています。食べることを、正しさだけで語るのではなく、自分の身体や暮らしに照らして考え、選べるようにすること。そのための参照枠を、研究だけでなく展示として社会にひらいていきたいと考えています。
大学の中での実践と、「考える食堂展」として社会にひらく試みは、私の中では地続きのものです。今回の講義とカフェテリアでの新しい取り組みもまた、その大事な一歩だと感じています。
ご支援いただいているみなさまのおかげで、研究を展示としてひらくだけでなく、実際の場で試みを重ねながら進めることができています。引き続き、展示準備の進捗や関連する取り組みについて、活動報告でも少しずつお伝えしていきます。いつも本当にありがとうございます。



