私たちは、まちづくり×建築設計で自ら地域の課題解決に取組むランドブレイン株式会社に所属する田中と阿知波です。
半田市の中心市街地で、歴史的建造物が維持できず、解体されていく様子を目の当たりにしました。この現実に歯止めをかけたいという想いと、どうすることもできない自分たちの力の無さに葛藤する日々が続いていました。
そんなとき、地域の方から、明治時代の人気作家「小栗風葉」誕生の地であり、江戸時代から続いた歴史ある薬局である、「旧美濃半薬局」が解体の危機にあるので、何とか残せないかとの相談を頂き、私たちの「旧美濃半薬局 再生プロジェクト」が始動しました。
旧美濃半薬局は、半田運河やJR半田駅からほど近い、半田市の中心市街地にあります。
旧美濃半薬局は、敷地内に薬局と母屋、2つの蔵と1つの倉庫、そして庭がある総2階の木造建築物です。
特に、母屋の前の山之神社参道は、地域の方から「置屋さん」と呼ばれるように、黒壁と格子窓の建物が並ぶ、かつての雰囲気が残る通りです。
山之神社参道と県道は、下半田春まつりの際に4台の山車が通ります。母屋と薬局は、そんな重要な通りに面しています。
元家主のご親戚からの情報によると、嘉永2年(1849年)には既に薬局業を始めており、当時は今よりも運河側にある本通り(旧街道)に建物があったそうです。
現在の母屋と薬局の建物は、登記や上棟札から、昭和8年より以前に建てられたことがわかりました。
こちらは建物内に保存されていた、昭和30年代のお店の外観写真です。
当時の雰囲気がいまもしっかり残っていることがよくわかります。
左:昭和30年代の美濃半薬局 右:令和7年の美濃半薬局
薬局部分には、大きなL字のカウンタ―や大きな造作棚が残っていて、処方箋の受渡しや、薬品が並んでいる当時のお店の光景が思い浮かぶようです。
造作材や家具からも建物全体で統一された仕上げや細工が見受けられ、建築好きにはたまらない職人魂も感じられる建物です。
薬局1階
薬局1階の創り棚
そのほかにも薬局にまつわる品々やレトロ感を感じさせる籠・箪笥・扇子など、時代を超えて受け継がれてきた人々の暮らしの気配が、今も残っていました。

初めて建物を見せていただいた時から、レトロ感溢れ、見どころ満載で、時がたっているのを忘れてしまう、そんな旧美濃半薬局に、いつの間にか私たちは心をもっていかれました。
この建物を解体の危機から救うために、どうすれば残せるのかを考えた結果、取得し再生・活用する決意を固めました。

愛知県半田市は、名古屋市内から約50分、古くから醸造業や海運業によって発展してきた歴史あるまちです。
特に中心市街地には、「半田運河」が流れ、醸造・発酵の象徴ともいえる蔵や祭りの山車サヤが点在し、春まつりなどの伝統文化など地域に根付いた文化が今も大切に受け継がれている、歴史と文化が感じられる魅力的なまちです。
また、JR武豊線の高架化事業やJR半田駅前の区画整理事業が進んでおり、まちへの期待感も高まっています。
しかしながら、近年は人口減少と高齢化が進み、空家や空地が増加し、まちの活力が低下するという空洞化が懸念されています。
半田運河

現在、維持管理の問題や法的な制約が厳しくなる中で、古民家は全国で次々と取り壊されています。加えて、社会情勢の変動に伴う建設費の高騰も収まらず、既存建物を改修するにも多くのコストがかかります。
旧美濃半薬局も長らく十分に活用されないまま年月が経ち、建物の老朽化が進んでいました。
それにもかかわらず、なぜ私たちはそこまでして残そうとするのか。
それは、長く残っているモノが持つ意味と価値を、いま一度考える必要があるからです。この場所には半田の歴史や文化、そして地域の人々の思い出が詰まっています。
建物の観点で言えば、この建物は先人の職人たちがプライドを持って創り上げたからこそ、幾度もの天災にも負けず今日まで残り続けてきました。建具やガラス、欄間、造作材なども、今の時代に同じものを再現することはできません。同じ材料が得られないことに加え、それらを生み出す技術そのものが失われつつあるからです。
また、半田市では山之神社参道のように、古民家が残る町並みそのものが祭りの活気ある景色を彩っています。古民家が1軒なくなったからといって祭りの開催に直接影響することはありません。しかし、祭り人にとっては、山車の曳き回しを魅力的に見せる大切な舞台が一つ失われることになるかもしれません。
そんな想いから、私たちは「残す」という決断をしました。
そして、私たちが目指しているのは、建物を単に保存することではありません。この場所を、人が集い、交流し、半田の魅力を未来へ伝える拠点として「再生」することです。
無謀な挑戦だと思われるかもしれません。しかし、この選択が地域の誇りにつながると信じて、私たちは私たちらしく、泥臭く、ひたむきに地域と向き合っていきます。

旧美濃半薬局を通して、たくさんの物語と出会いが生まれました。
【 #1 途方にくれた日々 】
建物を残し再生するために、建物に残された歴史を感じされる数多くの家財道具や薬局の名残、生活の痕跡を片付ける必要がありました。
はじめは、元の家主の方と私たち数名で片づけをスタートしましたが、足の踏み場がなく、部屋の全容がわからないほど残された数多くの家財道具と、何度も捨てに行っても蘇るゴミ袋の山に、まったく先が見えず途方に暮れていました。

【 #2 地域の皆さまの助け 】
先が思いやられる状況ではあったものの、噂を聞きつけた地域の方々や協力者の呼びかけもあり、しばらく閉じられて、電気が付いていなかった旧美濃半薬局の扉が開いていることから近所の方々が立ち寄ってくれ、徐々に多くの方々がお掃除やお片付けに参加してくれるようになりました。
地域では有名だった美濃半薬局や母屋について、建物の中やお庭を見てみたいという方も多く、お掃除や片付けに留まらず、沢山の方に見学に来ていただきました。
私たちも、見学に来ていただいた方から、旧美濃半薬局や小栗風葉、半田の歴史について、逆に教えて貰うことができた貴重な時間になりました。


お掃除や片付けをきっかけに、地域に開かれ、人と接し、よそ者の私たちが日に日に受け入れていただけていることを実感し、簡単な言葉では表せない、こみ上げる想いがあります。
地域の皆さまに、本当に感謝しております。
【 #3 美濃半古市 】
片付けと掃除を進めるのなかで、様々な歴史を感じるモノが掘り出されました。
単に捨てるのではなく、使えるものはつなぎたいという想いで「美濃半古市」を開催しました。
半田市のみならず、愛知県内より多くの方々が駆けつけてくださり、多くの担い手の方に「つなぐ」ことができました。
開催後に、実際に使われている状況を写真等でご連絡いただける方もいたり、これをきっかけに私たちの活動や半田市に興味を持ってくださる方も現れるなど、面白い試みとなりました。

【 #4 たのしあん 地域活動とのコラボ 】
近所で行われていたサークル活動「たのしあん」とのコラボも実現しました。
「たのしあん」は、愛知県半田市・JR半田駅前を拠点に、「やってみたい」を一緒に形にするフリーサークルです。
ぜひ、旧美濃半薬局でランチ会を開催し、もっと地域の皆さまに、私たちの活動を広めたいと声をかけていただきました。
地域の片付け中に発見された複数の火鉢を使ったランチ会を何回も開催しました。
片付け中に発見されたレトロなボードゲームやおもちゃなど、大人も子ども時間を忘れて楽しめる場となり、いつしか旧美濃半薬局は、再び地域の皆さまの集まれる場所となっていました。
母屋では、お庭の掃除をしながら、和室でゆったりするなど、これまで地域に開かれていなかった場所が、みんなの場所になりました。

【 #5 大人のたのしあん 】
私たちは、旧美濃半薬局を残すことを通じて、他にも解体の危機にある古民家を残し再生・活用する事で、地域の誇りを守り、魅力を創出し、様々な方々の活躍の場の創出につなげたい考えています。
そこで、ご近所さんやまちづくり活動に携わる方、飲食店を経営している方がとともに、熱く地域の未来について語り合う場を設けました。
母屋の1階で火鉢を囲み、庭を眺めながら、夜遅くまで語り合いまいました。
【 #6 下半田春まつり 】
4月に行われる「下田半田春まつり」では、お片付けなどに参加して下さった地域の皆さまが集まり、片付けの終わった、薬局の2階や、母屋の2階から、4台の山車が通るのを見送りました。

私たちは、これらの取組みと地域の皆さまとの出会いから、旧美濃半薬局への地域からの愛着や思い入れの強さ、大きな期待感を実感しました。
そして、誰もが気軽に集まれる場所として、この建物を活用することが、地域にとっても大切なことであると再認識しました。
その他、これまでの活動をInstagramでまとめています。
Instagram:@handa_minohan

私たちは、再び地域から愛され、人々が集い、賑わいを生むきっかけとなる場所とするために、薬局部分は、気軽に人々が立ち寄れるよう飲食店とコワーキングスペースに、母屋は地域活動が行えるオープンスペースと歴史文化を体験できる宿として再生・活用を行います。
まず、今回とりかかるのは 第1編「薬局部分」です。
運河にも近く、周りからも注目されやすい薬局部分に、集客効果の高い機能を整備することで、まずは分かりやすく、まちの中に新たな動きが起きていることを発信したいと考えています。
薬局1階:だれもが気軽に立ち寄れる「飲食店」のイメージ
薬局2階:利用者同士が交わり新たな仕掛けが生まれる「コワーキングスペース」のイメージ
現在は、耐震補強や既存劣化部分の補修、利活用に伴い必要な諸々の改修工事を進めている段階です。
今回のクラウドファンディングの費用も、これらの薬局部分の改修工事費用に充てさせていただきたいと考えています。


薬局の1階に入る飲食店は、半田市岩滑にある HAJIKAMI さんです。
私たちは、旧美濃半薬局の活用をともに進める仲間として、譲れない条件がありました。
・未来を共有できること
・地域に愛されるようなお店であること
そんなとき、地域に想いを寄せる知人から、HAJIKAMIさんを紹介してもらいました。
HAJIKAMIさんと出会い、対話を重ねる中で、この場所の歴史や地域との繋がりを感じ、移転という大きな決断をされました。
HAJIKAMIさんは、この場所に新しい「灯り」をともす仲間です。
Instagram:@hajikami_handa
現在は、お店のオープンを目指し、一緒に改修・改装を進めています。

江戸から令和まで残り続けた旧美濃半薬局を、地域の皆さま・プロジェクトの仲間と一緒になって、半田の歴史・文化・生活が生き続ける場所として継承することで、地域の人とまちにとっての新たな「灯り」になることを目指します!
数年後には、中心市街地・半田運河周辺に多くの「灯り」が増え、より多くの人が集い、憩い、誇れる未来を共に創りましょう。
私たちのプロジェクトを一緒に実現させてください。
ご支援のほどよろしくお願いします。

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もっと見る公開初日からのご支援、ありがとうございます!
2026/07/01 00:01本日12:00から始まった「『旧美濃半薬局』を みんなの居場所として 未来へ残したい!」プロジェクト。公開から約12時間で目標の約10%のご支援をいただきました。私たちにとっても今回のクラウドファンディングは初めての試みで、不安や緊張が入り交ざったような、あっという間の12時間でした。そんな中でも、私たちの事を知ってくれている身近な方からのご支援に加え、このクラウドファンディングを通して、初めて旧美濃半薬局のことを知ってくださった方からのご支援もいただき、単なる資金調達ではない純粋な応援に、感謝の気持ちでいっぱいです。ご支援頂いた皆さま、クラウドファンディングのシェアをして頂いた皆さま、本当にありがとうございます。これからの2か月間を通して、工事の進捗状況や母屋での活動内容、半田の魅力など、お届けしていこうと思います。引き続き応援・シェアいただけましたら嬉しいです。本当にありがとうございます。 もっと見る




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