今回のプロジェクトに取り組みながら、私たちが実現しようとしていることは、その意義は、と自問自答を繰り返す日々です。
その中で、私たちはひとつのことに気が付きました。
私たちが本当に作ろうとしているのは、単なる博物館ではない。
「街まるごと博物館」のようなものなのだ、と。
普通、“博物館”というと、
貴重なものを保存する場所
ガラスケースに収める場所
過去を展示する場所
として考えられます。
文化というと、多くの人は、文化財として保存されたものや、ガラスケースの中に展示された貴重品を思い浮かべるかもしれません。
けれど本来、文化とはもっと日常の中に存在しているものだと気が付きました。
本当に文化が宿っているのは、展示室の中ではなく、街の日常そのものだと
それはホテル事業を通して、この街を楽しむお客様の声や、泊まれる文化拠点のイベントで感じていたことでもあります。
見慣れた街並み
毎朝モーニングに出かける習慣
人々の話す土佐弁の(東部特有の)イントネーション
路地の空気
何でも柚子酢をかければ美味しく感じてしまう舌
多雨地帯、高知の季節の移ろい
常連さんが集うスナックで歌う夜
そういう、名前も付かない無数の感覚の集積が、その土地の文化を形づくっている。
だから私たちは、文化を一箇所に閉じ込める場所を作りたいわけではありません。
むしろ、この蔵を拠点として、町全体に点在する文化へ、人を接続する入口
なんですよね。
町全体に存在している文化を体験してもらいたいのです。

蔵の中だけで完結するのではなく、そこから町へ歩き出したくなる。路地を曲がりたくなる。古い建物を眺めたくなる。地元の名店で美味しいものを食べながら、地域の人と話したくなる。
そんな、“文化への入口”のような場所を目指しています。
そして、文化に触れた人に、心が震えるような感動体験をしてほしい。
私たちが作ろうとしているのは、実は、ホテルでも博物館でもないんです。
古民家や地域の文化再生を通して、今を生きる人の心が激しく震えるような、感動体験を提供したいのです。
それが人口減少に悩む地域の活力にもなり、地域に再び求心力を取り戻す契機になると信じて。
博物館とは、本来、過去を保存する場所ではなく、人の感性を開く場所なのかもしれません。
そして私たちは、この町そのものが、すでに大きな博物館だと思っています。
ただ、その価値に、まだ多くの人が気付いていないだけなのです。
もし、この想いに共感していただけたら。
ぜひ、この蔵の未来を一緒につくっていただけたら嬉しいです。



