
地域で音楽活動を続ける中で、私は「音楽には人と人をつなぎ、地域の文化を育み、未来へ受け継いでいく力がある」と強く感じています。
特に、私が活動の拠点としている千歳烏山をはじめとする世田谷区には、多様な世代の人々が暮らし、それぞれの歴史や文化、地域への想いが息づいています。商店街の活気、地域のお祭りやイベント、昔から住み続けている方々と新しく移り住んできた方々との交流。その一つひとつが、この街ならではの大切な文化だと思っています。
私は音楽を通じて、そうした地域の魅力や人々のつながりをより豊かなものにしていきたいと考えています。演奏を聴いていただくことだけが目的ではありません。音楽をきっかけに人と人が出会い、会話が生まれ、地域への愛着が深まる。そんな場をつくることも、私にとって大切な活動の一つです。
その想いを考えるとき、いつも心に浮かぶのが宮沢賢治の理念です。
宮沢賢治は、自らが生まれ育った地域を深く愛し、人々の暮らしや幸せのために行動し続けました。そして「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉を残しています。この言葉には、自分だけの成功や幸せではなく、地域や社会全体の豊かさを願う精神が込められているように感じます。
私もまた、音楽を通じて地域に貢献したいという思いを持っています。千歳烏山や世田谷区には、多くの文化活動や地域コミュニティがあり、その中で音楽が果たせる役割は決して小さくありません。地域のイベントや交流の場で音楽を届けること、子どもたちや若い世代に文化に触れる機会をつくること、高齢者の方々が音楽を通じて笑顔になれる時間をつくること。その一つひとつが地域文化の醸成につながると信じています。
また、世田谷区は都心に近い利便性を持ちながらも、人と人とのつながりや地域性を大切にしている街です。その魅力を未来へ受け継いでいくためにも、文化活動の存在は欠かせません。文化は建物や歴史だけではなく、人々の交流や日常の中から生まれ育つものです。だからこそ私は、地域に根差した音楽活動を通じて、この街の文化を支える一人でありたいと思っています。
宮沢賢治は「農民芸術」という言葉で、芸術は一部の特別な人のものではなく、暮らしの中で人々を豊かにするものであると考えました。その考え方は、私が目指している地域音楽活動とも重なります。音楽はホールや舞台だけに存在するものではなく、商店街や公園、地域イベントや交流の場など、人々が暮らす場所の中でこそ大きな意味を持つものだと思っています。
千歳烏山をはじめ世田谷区で活動する一人として、この街への感謝を忘れず、音楽を通じて地域の魅力や人々の想いをつなぎ、文化の灯を未来へ受け継いでいきたいと思います。
大きなことはできなくても、一つひとつの演奏、一人ひとりとの出会いを大切にしながら、宮沢賢治が示した「他者の幸福を願い、地域とともに生きる」という精神を胸に、これからも地域に根差した文化活動を続けていきます。
音楽が人を結び、地域を豊かにし、次の世代へと文化をつなぐ架け橋となることを願いながら。



