動かぬ体、溢れ出す感情。ALS合⽥朝輝監督の奇跡の映画をリッツカールトンで初公開

体が動かない。声も出ない。それでも合田朝輝監督は映画を撮ると決めました。視線で紡いだ想いを作品に乗せ、リッツカールトン大阪で届ける挑戦。限界を越えて生きる姿が、あなたの心に火を灯します。この瞬間は、誰かの人生を変える物語のはじまりです。

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動かぬ体、溢れ出す感情。ALS合⽥朝輝監督の奇跡の映画をリッツカールトンで初公開

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体が動かない。声も出ない。それでも合田朝輝監督は映画を撮ると決めました。視線で紡いだ想いを作品に乗せ、リッツカールトン大阪で届ける挑戦。限界を越えて生きる姿が、あなたの心に火を灯します。この瞬間は、誰かの人生を変える物語のはじまりです。

監督の合田朝輝です。


■何もできない時間

仕事ができなくなってから、

今こうして文章を書くことができるようになるまで。

絵本を作った後の、約2年間。

生きているだけで、体力も気力も削られていく。

何もできない状態の中で、

ただ時間が過ぎていくのを待つことしかできない。

それが私の日常でした。


毎日繰り返す、何もできない時間。

動けない。

やることがない。

同じ一日が、何度も繰り返される。

それはただ「時間から逃げられない」状態でした。

最初は、その状態にも、いつかは慣れていくのではないかと考えていました。

時間が経てば、少しは楽になるのではないか。

そう期待してました。


でも、全然そんなことはなかった。 

そんな状態でいると、考えなくていいことまで考えてしまう。

動かない体のこと。

これから先のこと。

どうにもならないこと。

答えが出ないことを、延々と考え続ける。

体は動かないのに、頭の中だけが、勝手に動き続ける。


動けないのに、感覚はある。

痛みもある。

痒みもある。

不快感もある。

そいつらだけは、消えることがない。

どうにもならない。

ただ耐えるしかない。

それが、ずっと続く。

終わりが見えない。

心が、もたない。

だから、何かが必要でした。

現実から、少しでも離れられるものが。

 


■忘れられる時間

ALSのことを、一瞬だけでも忘れられる時間。

自分の体のことを、意識しなくていい時間。

そんな時間を求めて、

私が逃げ場所に選んだのが、エンタメでした。

映画やドラマ。

アニメや漫画。

バラエティ番組。

現実とは別の、作りものの世界。

そこに入り込んでいる間だけは、現実から少し離れることができる。


何もできない自分を、一時的に忘れることができる。

苦しいことを考えなくていい。

体のことも、将来のことも、遠くに追いやれる。

完全に消えるわけではない。

それでも、その瞬間だけは、確実に距離ができる。

それだけで、かなり楽になる。

それだけで、十分救われる。


あらゆる物語に没頭した。

とにかく、何かを見ていました。

映像でも、物語でも、何でもいい。

何かを見ている間だけは、現実から離れることができる。

こういうことは、特別なことではないと思います。

多くの人が、日常の中でやっていることです。

しかし、それだけが、私が苦しい時間をやり過ごすための、唯一の方法でした。


くだらないことで笑う。

バカバカしい展開に心奪われる。

ちょっとした場面で、不意に涙が出る。

その時、ちゃんと笑っている自分がいる。

心が動いている自分がいる。

体が動かなくなり、話すこともできなくなり、できることが減っていく中で。

自分という人間が、どんどん削られていく感覚の中で。

もし、あの時間がなかったら。

ずっと現実と向き合い続けていたら。

どうなっていたのかは、あまり考えたくありません。

それくらい、支えられていました。

 


■救ってくれたモノ

人には、そういう時間が必要です。

私と同じALSを抱える人だけじゃない。

病気の人だけでもない。

学校でしんどい思いをしている人。

会社で疲れている人。

仕事に追われている人。

人間関係で悩んでいる人。

将来に不安を感じている人。


学校や会社、日常で。

理由はそれぞれ違っても、

息苦しさを感じている人がいる。

辛いことや苦しいことがある人がいる。

今この瞬間も、苦しんでいる人がいる。

そういう人たちが、私の映画を見ている間だけでも、そのことを忘れられる。

たった120分でも、90分でもいい。

その時間だけは、現実から離れて、何も考えずに笑っていられる。

そういう時間を届けたい。


自分が作る側に回るのであれば。

同じものを渡したい。

自分が受け取ってきたものを、今度は誰かに渡す。

ただそれだけのことです。

それができるなら。

すごく素敵なことなんじゃないか。

見ている間、少し楽になる。

それだけで、十分意味がある。


人生を変える必要はない。

価値観を揺さぶる必要もない。

重たいメッセージを伝えたいわけじゃない。

難しいことを考えさせたいわけじゃない。

誰かにとっての、現実を忘れられる時間になればいい。

誰かにとっての、少し楽になる時間になればいい。

誰かにとっての、「逃げる時間」になりたい。

それが、私を救ってくれたモノだから。



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