
バーテンダーとして大切にしていること
『bartender』は『bar』(酒場)と『tender』(世話人、見張り人)に分けることができ、世界共通語となっています。
『酒場の世話人、見張り人』という意味ではあるのですが、
私は『バーテンダー』という漫画にもある
「『bar』は止まり木、『tender』は優しいという意味で、『bartender』は優しい止まり木という意味」
という解釈の方が好きで、
自論としては「バーテンダーは『tender』(優しさ)がなければバーテンダーではない」と思っています。
また、バーテンダーという仕事はいくつもの顔を持っていて、
カクテル等を作る時は技術職である『職人』であり、
ウィスキー等のお酒を作ってくれている生産者の想いを人々に届ける『想いの運び人』であり、お客様のお話をお聞きし、心の悩みのご相談にものる『カウンセラー』であり、
お客様が笑顔になれるよう、お酒という処方箋をお出しする『薬剤師』でもあると、
私は考えています。
ただ作って提供するだけで良いのでしたら、今の時代、機械でも可能です。
現にシェイカーを振れるアーム型のロボットもありますから。
動物看護師をしていた頃からもずっと心掛けているのは、
『心に寄り添うこと』。
動物看護師は『看て護る』。
バーテンダーは『視て護る』。
これは現状、機械にはできず、人にしかできないことだと思っています。
そのためには自分自身も常に心を磨くことが重要だと考えています。
スタンダードカクテルへの考え方
世界で愛されているスタンダードカクテルも、最初は誰かのオリジナルカクテルだったと思います。
創作者が不明なものもあったり、時代によって当初とはレシピも技法も違うものもある。
中にはレシピは同じでも、技法や注ぐグラスによって名前が変わるものもあります。
また、昔と今では使われているベースとなるスピリッツも、リキュールも味が変わっていたりもします。
その中で、創作者は何をイメージして、このカクテルにどんな想いを込めたのか、何故この技法を選んだのかも真剣に考えながら向き合う。
時代に合わせて変化することも良いと思いますが、創作者の想いもリスペクトしつつ時代に合わせていく。
そうすることで、大袈裟かもしれませんが、創作者の想いを現代のお客様に届けることができるのではと。
シンプルなレシピが多いのですが、だからこそ奥が深い。だからこそ、面白いのだと思います。
オリジナルカクテルをつくるときに大切にしていること
今までの人生で見てきたもの(自然や景色)、感情、考え等を1つのグラスの中でどう表現するかを考えていたりします。
先にテーマをイメージして、それに合った材料を選んでいく。
最初に頭の中で材料を選んで、実際に作って、試飲して、試行錯誤。
また考案している時にある直感も。
例えば、「甘味がもう少し欲しいけど、このカクテルにはシュガーを使いたくないな」等、なぜか思うことがあって、その時はその気持ちを信じて、違うもので調整する。
味ももちろんですが、物語も1杯のグラスに注いでいく。
なぜそのレシピなのかは伝えられても、その物語まではなかなか伝わりきらない。
なので、基本的に私のオリジナルカクテルは門外不出。どんな材料を使っているかは説明しても、分量等の細かいことはスタッフまでしか伝えません。
ここでしか味わえない、『物語』という味があります。
ウイスキーについて
作る際に使うお水や作り方、貯蔵する樽の種類、樽の保管場所、熟成年数、そして飲み方。
どれが変わっても、味や香り等に影響してきます。
たとえストレートであったとしても、グラスに注いだ時と、飲み進めていくうちに空気と触れ合った後では香りも味わいも変化します。
また、熟成年数が長いからといって好みの味わいになるとも限らない。
蒸留したらすぐに瓶詰めできるわけではなく、樽で何年も貯蔵される。
今蒸留したものは、数年、数十年先にならないと出てこない。
また、他のお酒にも言えることではありますが、それぞれに物語がある。
知れば知るほど、面白いお酒だと思います。
BAR Truthでつくりたい一杯・時間
バーに行く理由はさまざまだと思います。
嬉しいことがあってお祝いに。
悲しいことがあったから。
ゆっくりしたくて。
誰かと話したくて。
仕事で疲れちゃって…。
同じお店にいても、理由はそれぞれ。
「BAR Truthに行けば笑顔になれる、安心する」と思っていただけるような、
それぞれの理由に寄り添った1杯、時間をご提供していきたいですね。
私は師匠から「お酒の知識は結局は無駄知識。知らなくても生きていける。ただ、知っていれば自分の人生を彩るツールになる」と教わりました。
それであれば、私はたくさんの方々の人生を彩り、心を癒すツールにしたい。
皆様が明日を笑顔で迎えられるよう、日々精進して、グラスに込めていきたいですね。



