
成績優秀なお兄ちゃんは、地元でも評判の私立中学校へ特待生として入学しました。
入学金も学費も免除になる特待生制度。
ひとり親で頑張ってきたお母さんは、
「自慢の息子です」
と嬉しそうに話していました。
その横で妹さんも、どこか誇らしげな表情をしていました。
お正月ごろ訪問した時のことです。
お母さんが少し困った顔をしていました。
「どうしたの?」
と尋ねると、
「実は……」
と話し始めました。
妹さんも同じ私立中学校を受験したいと言い出したそうです。
でも今回は特待生ではありません。
入学金も学費も必要です。
ひとり親家庭にとって決して小さくない金額でした。
お母さんは当然、公立中学校を勧めました。
それでも、
「この子がせっかくやる気になっているのに……」
そう話す表情は、とても苦しそうでした。
私は何とかならないかと思い、給付型奨学金や助成制度を調べました。
いろいろな関係機関にも相談しました。
でも見つかったのは私立高校向けの制度ばかり。
私立中学校を対象にした支援制度は見つかりませんでした。
「力不足でごめんなさい」
そうLINEを送りました。
しばらくして返ってきたのは、
「いろいろ調べてくださってありがとうございました」
という言葉でした。
そして次の宅食訪問の日。
お母さんは笑顔でこう話してくれました。
「やっぱり、なんとか頑張って受験させてあげようと思います」
きっと大きな覚悟をしたのだと思います。
私は複雑な気持ちでした。
それでも、その時のお母さんの表情はとても晴れやかでした。
「少しでも助けになるように、お米を多めに持ってくるから」
そう伝えると、
妹さんの前向きな気持ちを二人で褒め合いました。
子ども宅食は、ただ食べ物を届ける活動ではありません。
子どもの夢を応援したい。
保護者の覚悟を支えたい。
そして、困った時に相談できる関係をつくりたい。
私たちはそんな思いで活動を続けています。



