あとがきに代えてこの原稿を書き始めると、子どもの頃の出来事が次々によみがえってきた。過去をきれいにまとめるつもりはない。僕は母を守ろうとしたこともあれば、その母を叩いたこともある。人に助けられたこともあれば、自分から助けを求められずに逃げたこともある。善意だけで支援を始めたわけでもない。目の前の子どもや家庭に、かつての自分が重なった。子ども宅食は、食料を持って家庭の玄関まで行く。けれど、本当に届けたいのは、食料だけではない。何も話せない日にも来る人がいること。困ったときに思い出せる人がいること。あなたを気にかけている大人が、家庭の外にもいること。それを、繰り返し訪ねることで伝えたい。これを読んだ誰かが、身近な子どもの「別に」という言葉の奥を少しだけ想像し、ときにはこちらから玄関をノックしてくれたなら、これ以上のことはない。




