フェルメール『真珠の耳飾りの少女』、失われた美しさへの挑戦

フェルメール『真珠の耳飾りの少女』の400年のひび割れを高解像度データで蘇らせ、デザイナーやクリエイターの手に渡す新たな創作素材へ。

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フェルメール『真珠の耳飾りの少女』の400年のひび割れを高解像度データで蘇らせ、デザイナーやクリエイターの手に渡す新たな創作素材へ。

『真珠の耳飾りの少女』を象徴するものといえば、やはり鮮やかな青いターバンではないでしょうか。

実際、この作品はかつて『青いターバンの少女』『ターバンを巻いた少女』とも呼ばれていました。それほどまでに、この青いターバンは見る人の印象に強く残る存在だったのでしょう。

ターバンの青には、高価なラピスラズリから作られた天然ウルトラマリンが使われています。そして、その隣には金色にも見える鮮やかな黄色のジャケット。フェルメールは、この青と黄色の組み合わせによって、気品と華やかさを見事に表現しています。

では、このターバンは本当に「異国の人」が巻いていたものなのでしょうか。

17世紀のオランダでは、東インド会社(VOC)の活躍によってアジアや中東との交易が盛んになり、人々の間では異国文化への憧れが高まっていました。フェルメールだけでなく、レンブラントなど同時代の画家たちも、ターバンを巻いた人物を数多く描いています。

しかし、『真珠の耳飾りの少女』のターバンは、それらとは少し印象が異なります。

実際のターバンを忠実に再現したというよりも、ゆったりと柔らかく巻かれ、布の先端が肩へ流れるように描かれています。

私は修復しながら、この「少しだけ現実から離れた巻き方」に、フェルメールならではの工夫があるように感じました。

異国情緒を感じさせながらも、少女の美しさを引き立てるために、あえて柔らかく、優雅なシルエットに仕上げたのではないでしょうか。

もちろん、これは私自身の印象です。

しかし、細部を修復しながら見ていると、フェルメールは流行をそのまま描くのではなく、自分らしい「ひとひねり」を加える画家だったように思えてなりません。

『真珠の耳飾りの少女』は、ただ美しいだけの作品ではなく、フェルメールの色彩感覚と構図、そしてそんな小さな工夫の積み重ねによって生まれた名作なのだと、あらためて感じています。

※同じ時代に描かれた似たようなテーマ、色彩の作品を参考に

ミヒール・スウェールツ『ターバンを巻き、花束を持った少年』(1661年頃)出典:wikimedia

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