フェルメール『真珠の耳飾りの少女』、失われた美しさへの挑戦

フェルメール『真珠の耳飾りの少女』の400年のひび割れを高解像度データで蘇らせ、デザイナーやクリエイターの手に渡す新たな創作素材へ。

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フェルメール『真珠の耳飾りの少女』の400年のひび割れを高解像度データで蘇らせ、デザイナーやクリエイターの手に渡す新たな創作素材へ。

修復作業の方は、この土日でほぼ完了し、現在は細かな部分を調整する最終段階に入っています。

ここまで応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

このクラウドファンディングでは活動報告を通して、修復の進捗だけでなく、フェルメールの技法や顔料、クラクリュール(ひび割れ)など、さまざまなことを考えながら発信してきました。

そして修復を終えようとしている今、一番大きな気付きがありました。

以前、「照明が変われば見え方が変わる」という活動報告でも書きましたが、美術館が作品を記録するために撮影する高精細画像は、筆致や絵肌の質感まで忠実に記録することを目的としています。そのため、クラクリュールも非常にはっきりと写り込みます。

展覧会のポスターやチケット、図録などには、このような高精細画像が使われることが多いため、「フェルメールの作品はひび割れが目立つ」という印象を持たれる方も少なくありません。

しかし、実際に美術館で作品を鑑賞すると、写真ほどクラクリュールが強く印象に残ることは少ないように感じます。

これは展示照明にも理由があります。作品全体を柔らかく均一に照らすことで、ひび割れの溝にできる影が抑えられ、作品本来の色彩や表情が自然に見えるよう工夫されているためです。

では、「展示されている作品をそのまま撮影すれば、実際に近い画像になるのでは?」とも考えました。

近年はカメラや画像処理技術も進歩し、以前より実物に近い印象を再現できるようになっています。

それでも、一つだけ写真では再現できないものがあります。

それは、人の目と脳の働きです。

私たちは絵を見るとき、少女の瞳や唇、耳飾りなど、自然と見どころへ視線を向けます。そして脳は、それらを優先して認識し、細かなクラクリュールは背景の情報として処理してしまいます。

この「実際に見た印象」は、どれほど高性能なカメラでも、そのまま再現することは難しいのではないかと思いました。

そこで今回、一つの試みをしてみました。

美術館が公開している高精細画像をベースに、私が修復した「ひび割れを除去した画像」を重ね合わせ、透過率を変えながら、実際の鑑賞に近い印象を再現できないか試してみたのです。

今回は20%刻みでいくつかのバージョンを作成しました。


これが正解というわけではありません。

あくまで、「実際に作品を見た印象に近づけることはできないだろうか」という私なりの実験です。

実際に『真珠の耳飾りの少女』をご覧になったことがある方は、ぜひご感想をお聞かせください。

「このくらいが実物に近い」「もっとひび割れは目立っていた」など、皆様のご意見が、今後の修復活動の大きなヒントになると思っています。

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