
劇団員歴9年の越田(こしだ)です。29年の劇団からすればまだまだひよっこですが、私がこの劇団にかける並々ならぬ想いを、どうか少しだけ聞いてください。
50代で、これからの人生を自分で選び直した
今回のクラウドファンディングでは、プロジェクトページの制作・更新を担当し、先行チラシの制作も行いました。
舞台に立つ一方で、普段はWeb制作やデザインの仕事をしています。Webや編集の仕事には会社員時代から携わってきました。50代前半、仕事やこれからの生き方について、さまざまなことを考える時期がありました。それをきっかけに、これからの人生を自分らしく働いていこうと、フリーランスとしての道を選びました。
そのときのことを、以前「くらしと仕事」というWebメディアに取材していただきました。
年齢を考えれば、安定した会社員生活を続けるという選択もありました。それでも、自分がこれから何をして生きていきたいのかを考えたとき、「好きなことを大切にして働きたい」という気持ちを無視できませんでした。
もちろん、フリーランスになれば、すべてが自由になるわけではありません。仕事を取ることも、責任を負うことも、自分で決めなければならない。
それでも、人生の途中で一度立ち止まり、自分で選び直した経験は、今の私につながっています。
仕事も演劇も、「チーム力で、かたちにしていく」
Web制作やデザインの仕事では、クライアントの伝えたいことを聞き出し、それをどう見せれば伝わるのかを考えます。
色や写真、文字の配置ひとつにも、「なぜそうするのか」を考える。
演劇も、似ているところがあります。
台本に書かれた言葉だけではなく、その人物はなぜこの言葉を言うのか、何を考えているのか。演出家や共演者と一緒に考えながら、一つの舞台をつくっていく。
形は違っても、私にとって仕事と演劇には共通するところがあります。
それは、目の前にあるものを、自分の手で少しずつ形にしていくこと。
役の中で、自分自身に出会う
舞台では、主役を引き立てる役を演じることが多い私ですが、以前、こんな役を演じたことがあります。
呑兵衛の夫に愛想を尽かして、家を出ていく働き者の女房。
演じていると、客席から笑いが起きました。
「ここで?」
正直、驚きました。なぜ、ここで笑いが起きたのだろう。
自分が演じたことが、ちゃんと観客に伝わった。そのことが、素直にうれしかった。
後から考えてみると、その当時、私自身も仕事でいろいろなことを抱えていました。
役の女房が夫に言いたいことと、その頃の自分の中にあった感情が、どこかで重なっていたのかもしれません。
役になりきっていたつもりが、もしかすると、自分自身の感情もそこに流れ込んでいた。
演じることで、胸の中にたまっていたものが少しずつほどけていくような感覚がありました。
それ以来、演劇は単に「役を演じること」ではないのだと思うようになりました。
自分では気づかなかった感情に、役を通して出会うことがある。
そして、それが誰かの笑いや共感につながることもある。
人生と演劇は、どこかでつながっている。
だから、劇団Nを残したい
私が50代で仕事を選び直したときも、舞台の上で役と向き合ったときも、根っこにあるものは同じだったのかもしれません。
「これからも、自分が大切だと思うものを続けていきたい。」
劇団Nは、年に一度、能登演劇堂の舞台に立ちます。
決してプロの劇団ではありません。仕事や家庭を持ちながら、それぞれの生活の中で時間をつくり、稽古を重ねています。
だからこそ、舞台に立つ一人ひとりに、それぞれの人生があります。
そんな人たちが集まって、一つの舞台をつくる。
私は、それが市民劇団の魅力だと思っています。
そして、その舞台を観に来てくださる方にも、それぞれの人生があります。
舞台の上の誰かの言葉や表情が、自分の体験と重なることがある。私自身がそうだったように。
だから私は、劇団Nをこれからも続けたい。
29年続いてきたこの場所を、次の30年へつなげたい。
演劇は、舞台の上だけにあるものではありません。
人の人生と私の人生が出会う場所。
私にとって、劇団Nとは、そんな場所なのだと思います。
今回、私たちは初めてクラウドファンディングに挑戦しています。この挑戦を通して、劇団Nの舞台だけでなく、そこにいる「人」のことも知っていただけたら嬉しいです。
そして、能登演劇堂で、皆さんと同じ時間を過ごせたらと思っています。
<取材していただいた記事>
これまでの仕事や人生について、メディア「くらしと仕事」で取材していただきました。
・50代会社員、このままでいいの?「好き」を軸に築くセカンドキャリア
https://kurashigoto.me/interview/post-26461/
・フリーランスは稼げない?!安定収入を実現したデザイナーに聞くリアルな道のり
https://kurashigoto.me/interview/post-26477/
<劇団Nのこれからを応援してくださる方へ>
クラウドファンディングに挑戦しています。



