
9月16日の「風雷トーク」では、風雷社中のガイドヘルパー養成研修で講師をお願いしている、合同会社起差点代表の小幡寛さんと話しました。
テーマは、「ガイドヘルパー養成研修で、何を学ぶのか」です。
ガイドヘルパーになるためには、もちろん介助の方法を学びます。
障害の特徴や疾病についての基礎知識も必要です。
でも、風雷社中が養成研修で伝えたいのは、それだけではありません。
◯ 「障害」から、その人を見ていないか
小幡さんが研修で大切にしていることの一つが、
「初めて会ったこの人は、どんな人なんだろう」
というところから関係をつくることです。
「この人は自閉症だから」
「知的障害があるから」
と、障害名からその人を見るのではない。
まず、一人の人として出会う。
当たり前の話のようですが、福祉の仕事を長くしているほど、逆に難しくなることがあります。
知識がある。経験がある。だからこそ、
「この人は、きっとこうだろう」と、本人を見る前に判断してしまうことがあるからです。
◯ 小幡さんが「はっ」とした出来事
配信の中で、小幡さんが最近のガイドヘルプで経験した話をしてくれました。
20代の女性利用者さんと一緒に信号待ちをしていたときのことです。
近くにいた、同じくらいの年齢の女性がやってきて、
「服の紐を結んでもらえませんか」と声をかけてきました。
小幡さんは、自分に頼まれたと思って、すぐに紐を結びました。
でも後になって、はっとしたそうです。
「あの人は、僕じゃなくて、隣にいた利用者さんに頼んだんじゃないか」と。
利用者さんは、言葉でのやり取りが難しく、紐を結ぶことも難しい。
小幡さんは、それを知っています。
だから無意識に、「この場面では自分が対応する」と思ってしまった。
でも、それは同時に、
「この利用者さんは、誰かから助けを求められる人ではない」
と、自分が決めていたということでもあります。
◯ 支援者の「安全のクセ」
僕にも似た経験があります。
利用者さんとバスに乗ったとき、他のお客さんと利用者さんが隣り合わないように、無意識に自分が間に入ろうとしていました。
トラブルが起きないように。
より安全に。
困らないように。
ガイドヘルパーとして働いていると、そういう行動が身についていきます。
でも、その「安全のため」が、本人が誰かと関わる機会や、本人自身が状況に合わせて行動する機会を、先回りして減らしていることもある。
小幡さんとの話の中で、改めてそんなことを考えました。
◯ 障害特性を学ぶ。でも、それに縛られない
養成研修では、知的障害、自閉症、ダウン症、脳性麻痺などについての基礎知識も学びます。
それは必要なことです。
ただし、
「自閉症だから、この人はこういう人」と決めるために学ぶわけではありません。
小幡さんは、もう一つ大切な役割として、エセ科学や、根拠のないデマを訂正すること
を挙げました。
今でも、
「親の育て方が悪いから障害になった」
といった、科学的根拠のない情報が出てくることがあります。
そうした情報を、そのまま信じないための基礎知識も必要です。
つまり、
知ることは必要。 でも、知識だけでその人を決めない。
この両方が必要なのだと思います。
◯ 障害社会モデルから考える
研修では、障害社会モデル(しょうがいしゃかいモデル/障害を本人の身体や機能だけの問題ではなく、社会や環境との関係で捉える考え方)についても学びます。
例えば、車いすを使う人が階段の前で進めなくなったとき。
「歩けない身体」が問題なのか。
それとも、「階段しかない環境」が問題なのか。
障害をどう捉えるかによって、支援の考え方も変わります。
ガイドヘルパー養成研修は、「障害者への対応方法を覚える研修」ではありません。
自分が、その人をどう見ているのか。
そこから考える研修でもあります。
◯ ガイドヘルパーを増やすために
配信の後半では、クラウドファンディングについても話しました。
ガイドヘルパーが不足している。
そのために、外出したいときに外出できない人がいる。
この課題を知っても、
「自分はガイドヘルパーとして働くことは難しい」
という人もいると思います。
でも、関わり方は一つではありません。
知る。
誰かに話す。
シェアする。
資金で支える。
小幡さんは、
「まず知ってもらう。そして、その人にもできるアクションを示すことが大事」
と話していました。
今回のクラウドファンディングも、そんな参加の方法の一つだと思っています。
◯ 動画はこちら
「ガイドヘルパー養成研修で何を学ぶ?|障害理解と『その人を見る』支援【風雷トーク】」
https://youtube.com/live/3WaYPcxAnBg
◯ 全文文字起こし
風雷社中ホームページには、今回の配信を読みやすく整えた全文文字起こしも掲載します。
[https://fuu-rai.org/guide-helper-training-disability-understanding-transcript-2026-09-16/]
ガイドヘルパーを増やす。
そのためには、資格を取る人を増やすだけでは足りません。
どんな視点で、その人と関わるガイドヘルパーを育てるのか。
そこも大切にしながら、養成研修を続けていきたいと思っています。
文責 中村和利



