
親友が欲しい、でも友だちはいない
友だちが欲しい、でも知り合いがいない
知り合いが欲しい、でも家から外にでていない
僕らは、いったい何人の人たちと関わりながら暮らしているのでしょう。
家族、友人、職場の同僚。
いつものお店の店員さん。近所で顔を合わせる人。たまに会って立ち話をする人。
親しい人ばかりではありません。名前も知らないけれど、顔は知っている。そんな関係もあります。
そうした人たちとの関わりが、僕らの暮らしをつくっています。
暮らしを支えているのは、専門職だけではない
例えば、いつものお店に買い物に行く。
何度も通ううちに、店員さんが顔を覚えてくれる。
「こんにちは」
そんな挨拶を交わすようになる。
特別なことではありません。
その人にとって、そのお店は単に買い物をする場所ではなくなっていくかもしれません。
そこには、自分を知っている人がいる。
自分のことを知っている人が、街の中にいる。
それは、暮らしの豊かさの一つだと思います。
知的障害のある人の暮らしを考えるとき、僕らはつい、どんな福祉サービスが必要なのか、何時間の支援が必要なのか、といったことを考えます。
もちろん、それも大切です。
でも、暮らしを支えているのは福祉サービスだけではありません。
福祉サービスは障害のある人の暮らしの「一部」でしかないのです。
一人ひとりの「関係人口」を増やす
「関係人口」という言葉があります。
まちづくりの分野では、そこに住んでいる人でも、観光で訪れる人でもなく、ある地域とさまざまな形で関わる人たちを指す言葉です。過疎の地域などで、いきなり移住支援で定住人口を増やすのではなく、何らかの取り組みで継続的に地域と関わる人を増やしていくことが大切なアプローチとなっています。
僕は、この考え方を、一人ひとりの暮らしにも当てはめてみたいと思います。
その人のことを知っている人。
その人と挨拶を交わす人。
一緒に何かを楽しむ人。
困ったときに、ちょっと気にかけてくれる人。
そして、その人自身もまた、誰かと関わり、誰かの暮らしの一部になっている。
そんな関係が、地域の中に少しずつ増えていくこと。
それが、人の暮らしを支え、豊かにするのではないでしょうか。僕らの暮らしには、深く関わり合える人も必要です。でも、最初からそんな関係があるわけではありません。ちょっとした挨拶や、何気ないやりとり。そんな小さな関わりの積み重ねの中から、大切な人との出会いが生まれるのだと思うのです。
ガイドヘルパーは、人と地域をつなぐ
ガイドヘルパーは、知的障害のある人と一緒に街へ出かける仕事です。
でも、目的地まで安全に送り届ければ、それで仕事が終わるわけではありません。
一緒に買い物をする。食事をする。散歩をする。
そうした外出を重ねる中で、本人と地域の人たちが出会う機会が生まれます。
ガイドヘルパーが、本人の代わりにすべてをやりとりしてしまったら、せっかくの出会いを奪ってしまうこともあります。
だから、必要なときには手伝うけれど、必要のないときには一歩下がる。
本人と地域の人が、直接関わる機会を大切にする。
そんなことも、ガイドヘルパーの大切な仕事だと思っています。
もちろん、誰と関わりたいのか、どんな距離で付き合いたいのかを決めるのは本人です。関係が多ければ多いほどよい、という話でもありません。
大切なのは、関わりを選べること。そして、関わりを広げたいと思ったときに、その機会があることです。
そして、ガイドヘルパー自身も「地域の人」なのです。ガイドヘルパーとの出会いも、地域の人との出会いの始まりの一つなのです。
ガイドヘルパーを増やす、その先に
ガイドヘルパーが増えれば、外出の機会を増やせるかもしれません。
外出の機会が増えれば、出会う人が増えるかもしれません。
何度も顔を合わせるうちに、知り合いができるかもしれません。
そして、地域の中に、自分を知っている人が少しずつ増えていく。
そんな変化を、僕らは大切にしたいのです。
ガイドヘルパーを増やすというのは、単に福祉サービスの担い手を増やすことではありません。
その人が地域の中で、自分の暮らしをつくっていくための条件を増やすこと。
そして、知的障害のある人と出会い、関わる人が増えることで、地域そのものも変わっていく。
僕らは、そう考えています。
今年度、風雷社中では3回のガイドヘルパー養成研修に取り組んでいます。
一人でも多くのガイドヘルパーを育て、その先にある、一人ひとりの豊かな暮らしにつなげていきたい。
そして、この取り組みを、大田区だけでなく、ほかの地域にも広げていきたいと思っています。
クラウドファンディングは10月27日まで。
引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。
文責 中村和利



