
医療資機材を携えて6月29日に日本を出発した医師2名、看護師1名を含む医療支援チームは、2日間の移動を経て現地時間7月1日、ベネズエラの被災地に到着しました。空飛ぶ搜索医療団“ARROWS”プロジェクトリーダーの稲葉基高医師らは、翌日から避難所内で診療を開始。日々変わる被災地のニーズに対応しながら、医療支援、物資支援の両面で活動を本格化します。
診療開始直後から大盛況
診療所を訪れた患者に対応する森田医師
前回までの活動報告でもお伝えした通り、避難所となっている公園内に開設された簡易診療所は、不眠不休で診療を続ける現地の医師や看護婦によって支えられていました。劣悪な衛生環境のなか床に寝ている患者も多く、人手だけでなく薬なども不足している状況で、空飛ぶ捜索医療団の医療チームは関係各所との調整を経て、逼迫している現場の負担を一日も早く軽減するべく、同公園内で診療を開始しました。
驚いたのは、診療を始めたばかりにもかかわらず、続々と患者が訪れたこと。避難所内の診療所の医者などが私たちの診療所の存在を口コミで広めてくれたことで、診療開始が決まった当日にもかかわらず、想定以上の患者が訪れました。
レントゲン検査はマットレスの上で
今回、医療支援チームは日本の企業からお借りしている、持ち運び可能なレントゲン検査機器を持ち込んでいます。2025年ミャンマー地震での緊急支援で数多くの外傷患者を診療した経験を踏まえ、地震による外傷の診察に役立つ可能性を考えて準備したもので、こうした医療機材の存在を知り、検査を求めて診療所を訪れる方が特に目立ちました。
検査を求めて訪れる避難者が目立った
初日でまだ準備を進めながら急遽診療も開始したことから、受付などで段取りに手間取った部分はありましたが多くの患者が集まり、この日は合計9名の方を診察。持ち込んだ機器をフルに活用し、レントゲン検査やエコー検査なども実施しました。明日以降は、受付体制も整え、検査に来られる方も多いことから検査希望の方に集中して対応する時間帯を設けるなど、より多くの患者に出来る限り対応していきます。

初日の診療を終えた稲葉医師は、次のようにこの日を振り返りました。
「機材がうまく動かなくて、患者さんをすごく待たせてしまったこともあったり、慌ただしい初日でしたが、『来てくれているだけで本当に嬉しい』『日本のチームがここにいること自体が、自分たちの希望なんだ』と言ってくださって。待たせてしまって申し訳ないなと思いつつ、少しでも希望になれているなら、本当に良かったなと思いました」
ようやく始まった避難所の環境改善
(撮影:Miguel Angel Roses)
医療支援を開始した一方で、物資提供など避難所支援の活動も継続的に行っています。刻々と状況が変わっていくなかで、大きな課題となっていた避難所の衛生面の問題も、この数日で大きく変わってきました。
つい先日までは、避難所内のゴミやトイレが衛生的に管理されておらずひどい臭いを放つなど、劣悪な衛生環境による健康被害が危ぶまれる状況でしたが、被災から1週間あまりが過ぎてようやく行政による支援体制が整ってきたことから、避難所にも清掃が入ったとのこと。ゴミや悪臭もなくなり、環境は劇的に改善しました。
6月29日時点の避難所の様子(撮影:Miguel Angel Roses)
一方で、避難者の生活が住民たちの助け合いに支えられる状況は変わっていません。この日は民間の薬局が避難所内にテントを張って薬を配る様子も確認できました。さまざまな人たちが、自分たちにできるサポートで被災者を支えていますが、こうした善意の人びとが自分たちだけの力で支援できるのはごく短い期間です。行政による支援の開始で、中長期的な被災者救済に向けて目途をつけることが求められます。
世界各国から集まった支援機関・団体による援助を効果的に配分するための、国連による全体調整も始まりました。私たちもこの枠組みに加わり、深刻な被災状況にあるラグアイラ州も含めた物資面の支援に引き続き取り組んでいきます。
医療チーム、避難所支援チームがそれぞれ力を尽くし、ベネズエラの被災者の人びとを支えていきます。引き続き、皆さまの応援をどうぞよろしくお願いいたします。



