はじめに
はじめまして。輪島・海美味工房代表の新木です。
私は、漁協女性部で未利用水産物の加工開発に携わったことをきっかけに、輪島・海美味工房を立ち上げました。輪島で水揚げされた魚介類や海藻を使った水産加工品づくりを30年以上続けています。
しかし、令和6年能登半島地震で加工場は大きな被害を受け、一緒に働いてきた仲間とも離れ離れになりました。
それでも、多くの方々の支えや、「まだ働きたい」「手伝いたい」という地域の声に励まされ、もう一度この場所で加工を続けようと決意しました。
このプロジェクトを通して目指したいのは、加工場を元に戻すことだけではありません。
輪島の海の恵みを未来へつなぎ、若者も高齢者も、それぞれの経験や力を生かしながら、ともに働き、学び合える場所をつくることです。
この加工場が、人と人をつなぎ、輪島の仕事や知恵を次の世代へつないでいく場所になればと思っています。
どうか、この挑戦を見守っていただけたら幸いです。
「もう終わった」と思った震災の日
元日の大地震では、経験したことのない揺れに襲われました。
家の中は家具や仏壇が倒れ、家も加工場も壊れてしまったと思いながら避難所へ向かいました。
加工場へたどり着けたのは地震から10日後でした。
建物は残っていたものの、扉は開かず、中へ入ることもできません。
ようやく中へ入れたときには、加工機械や冷蔵庫は倒れ、商品は散乱し、加工場は見る影もない姿になっていました。
さらに、一緒に30年間歩んできた仲間も避難生活で体調を崩し、輪島を離れることになりました。1人は七尾に、1人は金沢に移って行き、「ひとりぼっちになってしまったー!」「この加工場をどうして一人で片付けられるのか!?」といっそう絶望感に陥りました。

事務所:書類棚・本棚・書類ケースが倒れて、書類等が散乱してドアが開かないので、工務店さんにきてもらいました。身体が入る隙間もなく大変でした。

倉庫:商品発送用に包装紙や段ボール発泡箱、紙袋などを保管していました。イベント出店する為の、ガス釜など機材も保管していましたが、落下して使用不能状態でした。
それでも、もう一度立ち上がろうと思えた理由
散乱した加工品や道具を、一つひとつ片付けながら、これまで積み重ねてきた30年を思い返しました。
お正月明けの出荷を楽しみに仕上げた商品。
少しでもおいしく、安心して食べてもらいたいと工夫を重ねてきた日々。
散乱したものを処分していく中で、
「ここで終わらせるわけにはいかない。」
という思いが込み上げてきました。
幸い、常温の商品には無事なものもあり、道の駅から「また商品を販売できませんか」と声をかけていただき、少しずつ製造を再開することができました。
そして、もう一つ私に希望をくれたのが、親戚の大学生でした。
震災のあと、学校が休みになるたびに帰省し、
「おばちゃんの手伝いをしたい。」
と加工場へ通い、一緒に作業をしてくれました。
やがて、
「学校を休んでも、おばちゃんの仕事を継ぎたい。」
と言ってくれ、一年間、私と一緒に加工の仕事に取り組んでくれました。
現在は大学へ戻り学業に励んでいますが、今でも時間を見つけて手伝いに来てくれています。
若い世代が「この仕事を続けたい」と思ってくれたこと。
そのことが、震災で希望を失いかけていた私にとって、大きな励みになりました。
「もう一度やってみよう。」
そう思えたのは、この子の存在があったからです。
この加工場で実現したいこと
私がつくりたいのは、加工場そのものではありません。
人が集まり、それぞれの力を持ち寄って働ける場所です。
震災後、私は仮設住宅で暮らしています。
そんな中で周りの人たちから、
「まだ元気だから働きたい。」
「空いた時間だけでも地域の役に立ちたい。」
「長年培った知恵を生かしたい。」
という話を耳にしました。
だからこそ、この加工場では、水産加工品をつくるだけではなく、世代を超えて人と人がつながり、仕事や技術を受け継いでいける場所にしたいと考えています。
輪島には、日本海の豊かな海が育んだ、魅力ある魚介類や海藻がまだまだたくさんあります。
その中には、市場には流通しにくいものや、加工することで新たな魅力を伝えられる海の幸も数多くあります。
私はこれまでも、お客様の食べる気持ちになって手間暇をかけ、「輪島ならでは」の水産加工品づくりに取り組んできました。
そして今も、「こんな商品がつくれる」「こんな食べ方を届けたい」という思いがたくさんあります。
この加工場は、そうした輪島の海の恵みを生かし、新しい商品を生み出しながら、地域の仕事を未来へつないでいく場所でもあります。
「まだ働きたい」と思う地域の人。
「手伝いたい」「学びたい」と思う学生や若い世代。
それぞれの力を持ち寄りながら、輪島の海の恵みを未来へつないでいく。
そんな加工場に育てていきたいと考えています。

皆さまへお願い
加工場の改修と必要な設備の修繕・購入には、約2,270万円が必要です。
そのうち約4分の3は、「なりわい再建支援補助金」や「小規模事業者持続化補助金」を活用する予定ですが、それでも約570万円は自己負担となります。
私は今年78歳になります。
高齢であることから金融機関の融資を十分に受けることが難しく、自宅の再建も重なり、自己資金だけで加工場を再建することはできません。
そこで今回、クラウドファンディングに挑戦することを決意しました。
今回のクラウドファンディングでは、まず300万円を目標に掲げています。
300万円を達成できれば、設備の一部を工夫しながらでも加工場を再建し、もう一度この場所で加工を続けることができます。
ただ、本来計画している設備や修繕まで含めて加工場を再建するためには、まだ十分ではありません。
そのため、300万円を達成した際には、セカンドゴール500万円を掲げ、当初予定していた設備や修繕まで実現できる加工場づくりに挑戦したいと考えています。
加工場を改修するかどうか、本当にたくさん悩みました。
「今から本当に再建できるのだろうか。」
そう思ったことも、一度や二度ではありません。
それでも、30年間一緒に歩んできた仲間が積み重ねてきた努力や、輪島・海美味工房を支えてくださった皆さまのことを思うと、ここで立ち止まることはできませんでした。
私がもう一度立ち上がることが、これまで応援してくださった皆さまへの恩返しになる。
そう信じて、この挑戦を決意しました。
震災を経験した今だからこそ、年齢に関係なく、「まだ働きたい」「地域の役に立ちたい」という思いを持つ人たちが、それぞれの経験を生かしながら、一緒に働ける場所を残したいと思っています。
大きなことはできないかもしれません。
それでも、一人ひとりの小さな力が積み重なることが、地域の復興につながると私は信じています。
この加工場が、輪島で「まだ頑張ろう」「まだ働こう」と思う人たちの希望になれたら、これ以上うれしいことはありません。
どうか、この挑戦を応援してください。



