
いつも
あたたかいお言葉やご支援
ありがとうございます
私たちもそのお言葉に
励まされてプロジェクトを
進めることができております
今回の「あふひ」についてお話しすると、
よく聞かれることがあります。
「なぜ、能とベリーダンスなんですか?」

日本の伝統芸能と、
中東にルーツを持つ踊り。
一見すると、まったく異なる世界に見えるか
もしれません。
この二つが出会ったことは、決して偶然では
ありませんでした。
【25年間、身体を探究してきました】
オリエンタルダンスを踊り始めて、今年で25
年になります。
踊り続ける中で、次第に、振付や技術を習得
することから、身体そのものへと関心が向か
っていきました。
身体の軸とは何か。
エネルギーが通るとは、どういうことなの
か。
余計な力が抜け、身体全体が調和したとき、
何が生まれるのか。
その探究は、解剖学やオステオパシーとの出
会いにつながり、「踊る整体®」というメソッ
ドへと発展していきました。
そして身体を探求するうちに
身体が整った、その先にあるもの。
その身体で何を感じ、
何を表現するのだろう。
という別の問いが大きくなっていきました。
【能との出会い】
そんな探究の中で、能と出会い、
初めてお稽古を受けたとき、不思議な感覚が
ありました。
「やっと出会えた」
そんな気持ちだったのです。

能の世界には、長い間探してきたものがあり
ます。
静けさ。余白。無駄のない動き。
そして、ほんのわずかな身体の動きや謡によ
って、目には見えない世界が立ち上がってい
くこと。
何かをたくさん表現するのではなく、削ぎ落
としていくことで、かえって豊かな世界が現
れる。
その感覚に、深く心を動かされました。
【能の動きを取り入れたいわけではありませ
ん】
能とオリエンタルダンスを組み合わせるとい
っても、能の動きをベリーダンスの振付に取
り入れたいわけではありません。 仕舞や謡を
通して現れる、言葉では説明しきれない世
界。その世界を、25年間取り組んできたオリ
エンタルダンスという表現方法で描いたら、
何が生まれるのだろう。
「葵舞」という名前で始めた挑戦は、そこに
あります。
もちろん、能とオリエンタルダンスは、それ
ぞれ異なる歴史や文化を持っています。だか
らこそ、その違いを安易に混ぜ合わせるので
はなく、それぞれの奥にあるものを探究した
い。異なる文化を深く辿っていった先で、何
かが響き合うことはあるのだろうか。
その問いを持ちながら制作を進めています。
【日本神話「天の岩戸」を舞台に】
今回の「あふひ」では、日本神話の「天の岩
戸」をストーリー構成のモチーフにしていま
す。 太陽の神である天照大神が岩戸に隠れ、
世界から光が失われる。そして、再び光が戻
ってくる 。
この物語を、単に神話の再現として場面を描
きたいわけではありません。
私たち自身の中にも、閉ざされてしまった場
所があるのではないでしょうか。
日々の役割や責任を果たすうちに、
いつの間にか奥へしまい込んでしまった感
覚。言葉や思考では、なかなか辿り着
けない場所へ、舞を通して降りていく。
「あふひ」──葵の古き名にして、
逢ふ日、逢ふ霊
それは、自らの内に在るものへ、
逢いにゆく一歩
なのです。
今回の舞台には、15人で舞う葵舞の演目もあ
ります。
一人ひとりが何かを表現しようとすることを
超えて、音と身体、呼吸、そして空間が響き
合ったとき。
そこに、どんな世界が立ち上がるでしょうか
【異なる文化が出会う、その先へ】
「あふひ」で挑戦しているのは、日本の伝統
芸能と中東の踊りを組み合わせた、珍しい舞
台をつくることではありません。それぞれの
文化に敬意を払いながら、現代を生きる私た
ちの身体を通して、新しい表現を生み出すこ
とです。
そして、12月12日の舞台で終わるのではな
く、日本のさまざまな土地へ、いつかは海外
へ。その土地の芸能や表現者たちとも出会い
ながら、作品を育てていきたいと思っていま
す。日本の文化を世界へ一方的に届けるので
はなく、世界と出会いながら、日本の文化を
さらに深く知っていく。そのような旅ができ
たらと思っています。
能とオリエンタルダンス。
異なる二つの道を深く辿った先で、何が生ま
れるのか。
12月12日の「あふひ」は、その問いへの最初
の挑戦です。



