
『倭霊異記』のキャラクターシートを公開しました。どなたでもダウンロードして、自由に印刷してお使いください。
キャラクターシートは、遊ぶ人が卓の上でいちばん長く眺める紙です。ルールブックは必要なときに開くだけですが、キャラクターシートは数時間のセッションのあいだ、ずっと手元にあります。だからこそ、このゲームが何を大事にしているのかが、シートの細かいところに表れると考えました。
中でも一番こだわったのが、アーマー・クラス(AC)を書き込む欄です。
5版のキャラクターシートを見たことがある方なら、ACの欄が盾の形をしているのをご存じだと思います。盾は「身を守る」ことのいちばん分かりやすい印で、西洋風ファンタジーの冒険者にとっては、剣と並ぶ象徴でもあります。
ところが、『倭霊異記』の世界には盾がありません。
平安の末から鎌倉の初めにかけて、武士の戦いの中心は馬上の弓でした。両手で弓を引き、ときには太刀を振るう武士は、片手を盾でふさぐわけにいきません。その代わりに身を守ったのが、肩から下がる大袖です。鎧の大袖は、矢を受け止める盾の役目を果たしていました。徒歩で戦う者たちは、地面に立てて身を隠す掻楯を使いました。手に持つ盾ではなく、身にまとう鎧と、置いて使う楯。それが、この時代の守りの形です。
本書のルールも、この考えで作っています。盾は装備から外し、その代わりに大袖を鎧の特性に、掻楯を半身を隠す遮蔽にしました。盾がない分、冒険者のACは元のゲームより低くなりがちです。そこで、妖の攻撃ロールのボーナスを1つ下げて釣り合いを取っています。
そうであれば、ACの欄だけが盾の形をしているのはおかしな話です。そこで、ACの欄を鎧の形にしました。
たかが枠の形、と思われるかもしれません。でも、キャラクターを作るとき、あなたはこの鎧の形の欄に数字を書き込みます。そのとき、あなたの侍は盾ではなく大鎧をまとっていて、あなたの悪党は腹当一枚で戦場を駆け、あなたの相撲人は鎧も着けずに身ひとつで妖と組み合っている。そう思い描けるかどうかで、遊びの手触りはずいぶん変わるはずです。
『倭霊異記』は、和風の名前を並べただけのゲームにはしたくありませんでした。世界の理屈が違えば、ルールも、道具も、紙一枚の形も変わる。キャラクターシートのACの欄は、その考えをいちばん小さな形で示した場所です。
ぜひ一度、印刷して手に取ってみてください。そして、鎧の形の欄に、あなたの冒険者の守りの数字を書き込んでみてください。





