使う人のクセや暮らしの日々が刻まれる、家具。けれど引っ越しや結婚などライフスタイルの変化に合わせて渋々手放さなければならないことも。そこで、日々を共にした家具を使い続けられるよう、暮らしの様子をヒアリングして「家具のカルテ」を作り“治療”する工房「家具乃診療所」を北海道下川町につくります。

プロジェクト本文

ご挨拶

こんにちは、河野文孝(Yasuyuki Kawano)といいます。

森林の町・北海道下川町にある一の橋という地区に暮らしながら、「森のキツネ」という屋号で家具工房を営んでいます。

今年は工房裏で子ぎつねが生まれ、友人になりました。

 

 

野生動物と関わりあいながら、自然からいただいた木で仕事ができるこの土地で、いろいろな人の思いを聞き、応えるための「家具乃診療所」を、新たに始めることにしました。

森の恵みを活かし、木と人をつなぎ、想いを残せる場所をお届けします。

 

「家具乃診療所」って?

使い込まれた家具を修理する「家具乃診療所」を作ります。

選ぶ・相談する・直す。与えられるのではなく、自分の意思が反映され、暮らしを一緒に作り上げる生活の診療所です。

 


▲「家具乃診療所」予定地。現在空き家ですが、もともと診療所だったところ

 

「家具乃診療所」は、こんなことができる場所です。

(1)ライフスタイル、好み、家具の診断

(2)家具のカルテを作成

(3)家具の修理

(4)オーダーメイドの家具づくり

(5)家具の購入、お試し

(6)クルミのオイル絞り、メンテナンス

 

(1)ライフスタイル、好み、家具の診療

浅く座る椅子がいいのか、それとも深くゆったり座れる椅子が好みか、スッキリしたマサメ木目か、表情豊かなイタメ木目か、一人暮らしなのか家族で暮らしているのか、どんな間取りの家に住み、どんな暮らしをしているか──そういった、お客様の暮らしのこまごましたことを雑談しながら「診療」をおこないます。


(2)家具のカルテを作成

ライフスタイルや家具の好みを「診療」してから「家具のカルテ」を作ります。

この「家具のカルテ」は、修理する家具の部位はもちろん、お客様の暮らしや理想の使い方をヒアリングした内容も載っています。修理した家具をお渡しするときに、お客様に一緒に差し上げます。


(3)家具の修理

持ち込んでいただいた家具を、カルテに沿って修理します。家具は「森のキツネ」の家具はもちろん、ご自宅で使っている家具であればなんでもお受けします。


(4)オーダーメイドの家具づくり

家具の修理に加えて、オーダーメイドの家具を作ろうと考え中です。人間工学にのっとった、人の体の寸歩を測れる可動式の椅子で、好みの座り方だとか体型に合わせたオーダーメイドの椅子を作る予定です。

また、いろいろな樹種を見ていただき、お話を聞きながらお客様の雰囲気に合った樹種を選んで家具づくりをすることもできます(僕の主観で選定しますので、本来のご意向に合わない場合もあるかもしれませんがその時はごめんなさい)。

 

(5)家具の購入、お試し

「家具乃診療所」は「森のキツネ」のショールームも兼ねています。実際に下川町の森の木でできた家具にふれ、使い心地をお試しいただけます。

「森のキツネ」の家具のほとんどは、組み立て式。暮らしの変化にスッと馴染む工夫を体感していただける、唯一の場所です。


(6)クルミのオイル絞り、メンテナンス

下川町にはクルミが自生しており、秋になるとたくさんのクルミの実ができます。その実を絞ってオイルを採る体験ができるようになります。

また、そのクルミのオイルで家具のメンテナンス方法もお教えします。お手入れのワークショップも開催予定です。

 

「家具乃診療所」をつくろうと思った理由


ずっと、暮らしている町の森の木を使って、ものづくりがしたいと思っていました。

僕が暮らす北海道下川町は、森林が町の面積の9割を占める町です。その豊かな森から伐り出した木を使ってものづくりができる環境は、実はとても貴重。

木材は農作物とは違って、今の日本の流通の仕方だと、どこの山のどの森で伐られた木なのか特定するのがすごく難しいのが現状です。

 

 

僕は、出どころの分かる木で家具やクラフトを作りたかった。だからその夢が実現できる下川町に、暮らしの拠点を置きました。


今では、家具に限らずどんなモノも安く簡単に手に入れることができます。僕自身、それはそれでいいことだと思っています。

でも製造技術がますます進んで、人の手を離れても良質なモノがたくさん生み出されるなら、人間の僕だからできることって何だろう、とずっと考えていました。


また、町の焼却場には捨てられた家財道具が集められて、雨ざらしになっています。最後は重機でぐしゃっと潰されるんですが、僕はそれを見るたび、気持ち悪くて吐き気がしてしまうんです。


家具って本当は人の暮らしが染みついているモノなのに、あんなに簡単にゴミになってしまうんだ、と。

 

 

下川の木を使って、僕だからできること──それを考えているとき、ふと「本当は捨てたくなかったけれど捨てなければならなかった」場合もあるんじゃないかと思ったんです。


引っ越しをしたり、結婚したり、子どもが産まれたり……ライフスタイルとともに環境も変化して、今まで使っていた家具をどうしても捨てなければならなくなったとしたら。


そんなふうに「自分で修理できないから」「間取りに合わないから」という理由で、しぶしぶ手放された家具も、あると思いました。


もう不要になって捨てる、ということは自然なことです。捨てなくてもリサイクルショップに売ることだってできます。


でも愛着のある家具を、なんとか長く使い続けたいと思う人がいるなら、僕はその人の暮らしぶりや家具の好きなところをヒアリングして、変化に合わせたかたちに修理できる。


少し手を加えるだけで愛用品を捨てずに済むし、長く使いたい人の、手助けができる──そう思ったんです。

 

 

「家具乃診療所」を作ろうと決めたもう一つの理由は、改修する空き家がもともと診療所だったこと。今も道路を挟んだ道脇に「診療所前」っていうバス停もある。もし僕がここに家具の診療所をつくったら、マイバス停になるなって(笑)。

 


市場価値がないというだけで出回らず、お客様に知られていない木はたくさんあります。

クルミやナラ、ハルニレ、カエデなどなど色も木目も触れた感じも少しずつ木によって違います。

「家具乃診療所」では、お客様の暮らしやモノに対する思いを一つずつ聞いて、少品種・多樹種の家具をかたちにしていきたいと思っています。

 

ご支援いただいた資金の使い道

製造業を営んでいる為、診療所の改修工事(水道・電気以外)を自身で行えます。その資材費が主な使い道です。

また、診療に必要な備品制作にも使われます。

完成後、「来てよかった!」と思っていただけるよう、頑張ってDIYを進めます。

 

最後に

下川町にはたくさんのキツネたちが住んでいますが、彼らは人間と動物の世界の中間地点──例えば使われなくなった倉庫や森に隣接した畑の近くなどに暮らしています。

 


▲工房の裏で暮らす子ギツネ


僕も、キツネのように森と人里のどちらの暮らしも行ったり来たりしながらものづくりしたいという思いを込めて、「森のキツネ」という屋号をつけました。

 


 

「家具乃診療所」は、ただ家具を修理したり、新しいオーダーメイドの家具を買うところではありません。


長く暮らしをともにしてきた家具を使い続けたいという思いを、実現するための場所です。そして素材となる木を、自分の目で見て、匂いをかいだり持ち上げてみたり、家具と使う人の相性を診(み)る場でもあります。


とても時間がかかりますし、非効率ではあります。


けれど、壊れないモノなんてなくて、いつか愛着を持って使っていたものが壊れてしまったとき、すぐに手放さず「家具乃診療所」のことを思い出していただきたいのです。


みなさまのご支援、どうぞよろしくお願いします。

「森のキツネ」より

このプロジェクトの問題報告やご取材はこちらよりお問い合わせください