危機的状況にある「いらかぶ」を守りたい
こんにちは。いらかぶ復活プロジェクトです。みなさん「いらかぶ」ってご存知ですか?
いらかぶとは、宮崎県東臼杵郡美郷町西郷、立石地区に伝わる、アブラナ科の作物で、葉の形状が特徴的なギザギザと辛みがあり、漬物にするととても美味しい野菜であり、伝統野菜の一種です。
▲いらかぶの「いら」はこちらの方言で「とげ」という意味。葉の先端や形状がとげとげしいのが特徴です。いらかぶの「かぶ」はその名通り、根っこには小さいながらかぶがついています。
僕たちは、この野菜の存在、そして危機的状況にあることを1年前に知りました。
いらかぶの状況を知るために、事前情報を頼りに聞き込みを行い、いらかぶ農家の現場を見に行きました。
そして、現在3戸の農家さんしかいない生産者にたどり着くことができました。
現場をみて驚愕!
いらかぶの畑を見て唖然としました。生産者の方が指をさしあれがいらかぶよという方向を見てみると、そこには数株だけしかありませんでした。
「え?これだけですか?」
詳しく聞くと、
「作ってもそんなに食べないし、これだけしか作ってないとよ、種を残すのに作っているだけよ」
・・・・
もう1軒の生産者の方の畑も覗いて見ました。
やはり小さな畑に数株ほどが残っている状態でした。
このままでは次の世代につながることなく、無くなってしまうよな・・・
いらかぶ復活プロジェクト結成
うまくいくかは分からないけど、自分たちがこの野菜を育ててみよう。この状況じゃ後継者はいないだろうし、誰もいなければなくなってしまう。知った以上やるだけやってみよう。
そんな、ほっとけない気持ちから、いらかぶ復活プロジェクトは結成されました。
立石地区の皆さんにも協力していただけることになり、プロジェクトの中に入っていただくことになりました。
いらかぶを知ってほしい!
宮崎県内には現在、約22種類の伝統野菜が受け継がれています。この伝統野菜とは、長年にわたり、地域に根付き、その気候風土にあった野菜として世代を通じて代々受け継がれてきた作物のことを指します。
伝統野菜は、生産、流通のコスト面から、手間がかかることもあり、1970年代以降には形が良く栽培しやすい、品種改良された野菜が出回り、伝統野菜のほとんどが生産減少してしまいました。
いらかぶはその伝統野菜の一種であり、宮崎県美郷町西郷区立石地区にしかありません。
よくあざみ菜として説明されていることもありますが、立石地区にあるのはいらかぶでありここにしか存在していません。
名/いらかぶ 属種/ツケナ・アブラナ科
成分分析/βカロテン可食部100gあたり6100μg、ビタミンAも多く含んでいる。
野菜の中では人参と同等に近いぐらいβカロテンを含んでいます。
いらかぶの食としての魅力!
地元の皆さんはお漬物として昔からよく食べているいらかぶ。
漬物にしたいらかぶはそのまま食べたり、油炒めにして食べたり、高菜と似たような食べ方をされていました。
プロジェクトチームでは、他にも美味しい食べ方はないかと、ベビーリーフを生で食べたり、茹でて食べたり、地域の皆さんと試食会を行いました。
地元の方は、生や茹でて食べたりしたことはなく、意外と美味しいという反応がおおくありました。
その中でも抜群に美味しかったのはいらかぶの試験栽培場の隣にあるOttoOtto(オットーオットー)
さんの・・・
「いらかぶPIZZA!!」
美郷町西郷にある知る人ぞ知るOttoOtto(オットーオットー)さんのアレンジPIZZA。
サラダPIZZAとオリーブオイルでソテーしたいらかぶをのせたPIZZAはまさに絶品!
葉ものとしてはとても優秀で、生ではピリっとした辛さの中に旨味を感じ、火が通ると、辛みは抜けますが旨味だけがしっかり残りオリーブオイルと塩のみでおいしく食べられます。
クセもなく、歯切れがよく、焼いて良し、炒めて良しの、何にしても美味しい野菜であることがわかりました。
そして、僕たちがぜひ広めたいと試作しているのが、マスタードです。
いらかぶ×社会×ひと
試験的栽培の段階から、地域社会の基盤となる、人と仕組みづくりを考えています。
新しい取り組みをしていくんだから、色んな事を織り交ぜながらやっていこう。
そして、こんな取り組みをしています。
①障がいのある人たちとの就労環境づくり
障がい者福祉事業所スマイルホーム360のメンバーさんと種まき、収穫から種の採取、いらかぶの生産から加工まで、新しい担い手として期待しています。
種の採取は千歯こきで、機械じゃなくても十分いけます!大事なのはハート!
▲採取した種はマスタードの試作や、来年の種として使われます。
②次世代に残す、文化的要素も含む食育学習機会
美郷町西郷田代小学校では、今年の10月より、食育の学習機会ということで、いらかぶの栽培をカリキュラムの中で実習していきます。次の世代に受け継ぐことはもちろんですが、自分たちが住んでいるところには、ここでしか取れない伝統野菜があるんだよということを心の中で大切にしてもらい、地元を愛する気持ちをもってもらいたいと思っています。
つなげる取り組み
いらかぶを知ってもらう為、そしてつなげていく為に様々な取り組みを行ってきました。
みやざき農商工連携応援ファンド事業・地域在来野菜の伝統的活用と新たな創造に向けて「美郷町西郷のいらかぶー在来野菜の復活に挑むー」
いらかぶの文化について、そしてこれからを知ってもらう為に、プロジェクトメンバーが講師として参加させてもらいました。
西郷立石地区の生き字引、菊池さん(90歳)
立石地区に伝わる歴史と文化は口伝でのみ伝えられてきました。菊池さんにお話しを聞くことはとても貴重な機会となりました。
いらかぶだけが残ってはいけない、その文化と共にいらかぶを残していく人を育てていかなければ伝統野菜を今後も残していくことはできない。
地域の特産物として需要が高まれば、雇用促進が進み、その仕事をしたいと思う後継者が生まれれば、新たな担い手として受け継がれていきます。地域づくりの基盤は人であり生活であり雇用です。
つないできたことを形にする。いらかぶは地域の良さを改めて見直すきっかけになるのです。
打ち立てた目標を達成することは、簡単ではないですが、プロジェクトチームは叶えられない夢はないということを信じています!
いらかぶに、そして、そこからつながる未来に皆様の応援が必要です!ご協力ご支援をよろしくお願い致します。必ず未来につなげます!
返礼品について
全ての支援コースに含まれている、いらかぶマスタードはFAAVO宮崎クラウドファンディング限定先行品になります。
市場に出す前にいち早くお届けいたしますので、初蔵出しはここでしか手に入らない限定品になります。
2000円コースにはいらかぶの菜っ葉がついてきます。生のいらかぶは市場出回っていないので、ここでしか味わうことはできません。
支援金活用方法
①現在の農地は杉の苗木を育てている畑の空いたスペースを使っていらかぶを育てています。
伝統野菜は固定種で、取れた種のみで育ていきます。他のアブラナ科の植物と交配しやすく
、原種保存の管理が難しい「いらかぶ」は育てる場所も限られてきます。
支援金の一部は安心して育てられ、なおかつある程度の種が収穫ができる農地購入又は借用資金に使います。
②マスタードを製造販売していくには、加工場が必要です。外注してしまえば簡単ですが、地元で作りたい、強い思いがあります。生産から製造販売、一貫した地域に根付く事業を目指しています。それは、働く場所を作るため、この土地に人が残ってもらうためです。一から土地を購入してとは考えていません、空き家を活用し、その内装整備にかかる費用に活用します。
③マスタード製造に関わる、道具、備品等に活用します。種を取る脱穀機、漬け込みよう樽など。
④お返しの一部に活用します。
Projectmember
ryuta kuroki
黒木 竜太
美郷町西郷区出身・山師・きんかんたまたま生産者
yukihiro hayashi
林 幸広
日向市東郷町出身・スマイルホーム360所属
kunihiko kikuti
菊池 邦彦
美郷町西郷区出身・JA日向西郷支店所属
立石地区の皆さん
立石いらかぶ保存の会
障がい者福祉事業所
スマイルホーム360