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「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」 視覚障害者アテンドの想い


今だからこそ、対話をあきらめてはいけない。コロナ禍でオープンした「対話の森」

ダイアログ・ミュージアム「対話の森」は、多くの方々からご支援をいただき、昨年8月に東京・浜松町にある「アトレ竹芝」内にオープンしました。
ミュージアムの展示物はモノではなく、人と人との関わりの中にあるダイアログ(対話)です。
ここではエンターテイメントを通し、あらゆる人が対等に出会い共に遊び、対話をすることができます。そのファシリテーター役となるのはアテンド(案内人)と言われる視覚障害者、聴覚障害者、後期高齢者です。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」
視覚障害者のアテンドに案内され、ゲストは真っ暗闇の中で探検し遊び、そして対話を楽しみます。

「ダイアログ・イン・サイレンス(DIS)」
聴覚障害者のアテンドに案内され、ゲストは音のない静けさの中、表情とボディーランゲージを駆使しながら遊び、対話を楽しみます。

「ダイアログ・ウィズ・タイム(DWT)」
後期高齢者のアテンドに案内され、ゲストは高齢者の世界を訪れ、年を重ねる豊かさ、その中で培った知恵を知ることができます。世代を超えて遊び対話をする時間は生きることの喜びまで知ることができます。

いずれもエンターテイメントですが、私たちの活動は「ソーシャルエンターテイメント」と言われ、体験を通して社会をより豊かにするソーシャルグッドの役割を担っています。

「対話の森」のオープンに向けては2019年にクラウドファンディングで支援を募り、900名を超える方々にご支援いただきました。いただいたご支援で視聴覚障害者のアテンドも募集し雇用。世界で3か国目のダイアログ・ミュージアムが日本についにオープンができる!―そう思ったときに、新型コロナウイルスの感染拡大が始まりました。

一時はオープンをあきらめることも考えましたが、私たちは今こそ「対話の森」を開くことを決めました。なぜなら、
誰もが不安で苦しい今だからこそ、分断せずに関わりを持つための「対話」の場が必要だ
と思ったからです。そうして工夫を重ね、新たな挑戦をしました。

社会が求めているエンターテイメントを。1.5メートルの距離と、マスクをつけたなかでの楽しい「おしゃべり」

真っ暗闇の中を体験するDIDはどうしても3密に思われがちです。そして、日常もまるで暗闇のような状態にある今、必要なのは暗闇ではなく「光」ではないか―そう考え、DIDの暗闇に明かりを灯し「ダイアログ・イン・ザ・ライト」という世界初のプログラムを開催しました。もちろん、1.5メートルの距離をとって遊べるプログラムです。
人はいま、明るく安全の中で「リアルな関わり」を求めている。困難な「今」を照らす希望の光を暗闇に灯してプログラムに挑戦しました。

DISも、マスク着用を必須としプログラムを開催しました。音声言語は使わないため飛沫の心配もないのですが、あえてマスク着用にしたのは、聴覚障害者の言葉があったからでした。
「コロナ禍では、世の中から笑顔が消えたように思う」
マスク着用が当たり前となった今、私たちはしらぬ間に表情をさぼっているようです。そんな世の中に一つでも多く笑顔を咲かせようと、「マスクからはみでるほどの笑顔」をテーマに、ニューノーマルに合わせ「言葉の壁を超えた対話」を実現しました。

コロナ禍での「マスクからはみ出るほどの笑顔」をキャッチコピーにした「ダイアログ・イン・サイレンス」

■FNNプライムオンライン「マスクの下の表情をさぼらないで!」聴覚障がい者が訴える緊急事態宣言の今こそ必要な5つの提案

もちろん開催に際しては医師を招き、会場の換気や消毒、ソーシャルディスタンスをはかる指導もいただき、それを遵守し徹底しています。

「数か月ぶりにリアルな場所で人と対話して笑顔になれた」
「ダイアログは心のワクチンのようだ」


など、オープンしてよかったと心から思える感想をたくさんいただきました。


障害者が街に出ることで、街全体がやさしくなった

同時に、竹芝の街全体の変化も感じています。
警備員さんや近隣のコンビニ店員さんが「こんにちは」「ありがとう」と手話で話しかけてくれるようになりました。交通量の多い危険な横断歩道では「手伝いましょうか」と声をかけてくれる人が増えた、と視覚障害者のアテンドは言います。
アトレ竹芝内では、点字での看板設置など視聴覚障害者が働きやすくなるためのあらゆる配慮や工夫を対話を重ねながら構築してくださっています。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク体験後の気づき視聴覚障害者が街に出ることで、誰もが住みやすく働きやすい街に変わる
それは、2030年のSDGs目標「誰一人取り残さない」社会の実現の一助となるに違いないと感じています。

関わりが制限されたこどもたちにこそ、対話を届けたい。

「対話の森」オープンに際しては、もう一つ大きな目標がありました。
実は海外のダイアログ体験者の半数以上は子どもです。ところが、日本はたったの4%。
ダイアログを通して人と関わることの喜びと、互いを認め合う幸せを子どもたちに知ってほしいと思いました。そこで本当に長い年月をかけ準備をし、ダイアログ・ミュージアム「対話の森」をオープンしたのです。
これで子どもたちが遠足や課外授業などでダイアログを体験してもらえる。しかしミュージアムのオープンを目前に控えている最中に新型コロナウイルスの感染拡大が起き、緊急事態宣言が出ました。

学校は休校。やがて学校が始まっても三密は避けソーシャルディスタンスをはかる中で、給食はおしゃべり禁止。友達と一緒に自由に遊ぶことも難しい。祖父母に会いに行くこともできずにいる子も多いと聞きます。新型コロナは子どもたちに更に深い痛みを与えています。
何とかできたらと思いこの期間に、私たちがチャレンジしたことは2つのことにチャレンジしました。

視覚障害者アテンドとこどもたちが学び合う「ダイアログ・イン・ザ・ダーク・オンラインスタディ」ダイアログ・イン・ザ・ダーク オンラインスタディ
緊急事態宣言と同時に学校が休校になったため、オンラインのプログラムを開発。視覚障害者のアテンドたちと子どもたちとが学びあう「オンラインスタディ」を開催しました。全国340名ものこどもたちと繋がり合ったことで、互いに発見し、他者と交流しあうことを楽しむ時間をつくりました。

ダイアログ・イン・サイレンス 小学校での出張開催
給食もおしゃべりが禁止され、コミュニケーションの制限が多い今、サイレンスの空間なら、静かな中でも「おしゃべり」をすることができます。萩生田文部科学大臣もご参加し、大変感銘を受けたと仰ってくださり、都内の小学校二校で出張開催をしました。

小学校での「ダイアログ・イン・サイレンス」出張開催


しかし、大きな収入源だった企業研修の中止が昨年から相次ぎ、当初予定の9割減の収入のため、ミュージアムの存続すら厳しいのが現状です。

人と人が関わることが最も必要な時期に、私たちの力が不足しており、子どもたちにダイアログを届けることができません。もし、このままミュージアムを継続できなければ、多様性を受け入れることも、人と関わり助け合い学び合う喜びも届けられなくなってしまう。
対話の持つ力が自分たちをどれほど豊かにするのか、日本の子どもたちに伝えることもできなくなってしまう。
私たちは、対話のたねを届けたいのです。

それは大人にも同様です。
真っ暗闇の中、人のつながりを感じ、コミュニケーションやチームビルディングを鍛え、ダイバーシティを実感するプログラムとしてこれまで600社以上に導入されてきた研修ですが、来年度以降もそのほとんどが再開に至っていません。アテンドたちが外に出ることで、竹芝は優しい街へと発展が進む一方、各企業に浸透しつつあったダイバーシティ研修が、今は影を潜めています。 

ダイアログインザダーク企業研修600社以上に導入されたダイアログ・イ・ザ・ダークの真っ暗闇でのビジネス研修

クラウドファンディングで実現したいこと①「対話の森のたね」で希望をつなげたい

本当ならば、今すぐ「対話の森」にいらしていただき、アテンドと出会い、体験いただくことで、ご支援をしてほしい。でも、今はそれがかないません。

だから私たちは、「対話の森のたね」でもある体験チケットを購入いただき、今はそれぞれが希望のたねとしてあたためておいていただくことをお願いしたいと思います。
3か月分、1万人分の体験チケット「対話の森のたね」があれば、ダイアログの存続が可能になります。
同時に、この2000万円の目標を達成すれば、5000人分の子どもたちの体験も可能になります。

ダイアログ・イン・サイレンス ご体験者の感想

「対話の森」では現在、感染対策に留意しながら、春のDID開催に向け連日研修が行われています。たねを持った皆さんがいてくださると思うと「ふたたびお会いできる」と希望を持ちながら歩むことができます。
春に体験できるのは、分断された社会を人と人とのかかわりによって結びなおす、そんなプログラムです。この事態が落ち着いた頃、みんなで一斉に対話の花を咲かせたいと願っています。

また、アテンドから社会に、「対話のたね」をまくことにも挑戦します。
コロナ禍の中挑戦したオンラインの新事業を、子どもたち向けに開催することも目標としています。

いただいた資金は、「対話の森」の運営費・こどもの体験費・そして人件費にすべて活用させていただきます。
新型コロナウイルス感染拡大以降、障害者の解雇が増加したというニュースも見受けられましたが、ダイアログは46名の視聴覚障害者の雇用を続けています。それは、日常的に不便にぶつかり、そのたび困難を乗り越えてきた「ボーナブル(脆弱)」なアテンドだからこそ持っている力があるからです。弱さから優しさや強さを得てきた彼らこそ、この先の見えない時代を導いてくれる、水先案内人のようだと感じているからです。


ダイアログ・イン・サイレンス アテンドとお客さま

また、このクラウドファンディングを通して、「対話の森」をみんなで育てていくものとしても成長させたいと思っています。オープンに際してのクラウドファンディングでは、900名を超える方々からの支援をいただき、こんなにたくさんのお仲間がいることを初めて知りました。
「対話の森」はまるで鎮守の森のようにみんなが集い、支え合う場になることを願って名付けられています。
今後もご支援者の皆さんとともに、「対話の森」を作っていきたいと思っています。
ダイアログ・イン・サイレンス 2017年初開催時のオープニングパーティ

加えて今回は、子どもたち向けのクラウドファンディングにも挑戦しています。
ダイアログを体験した子どもたちの中には、「妹と弟に体験したもらいたい」と話す子、手話を覚えて披露しに来てくれる子、会場の募金箱におこづかいからそっと入れてくれる子もいます。

「対話の森」の一員に、子どもたちもなってほしい。そして彼らの選択や勇気が、世界を変える一歩になるということをこのクラウドファンディングを通して伝えられたら、と思いました。
子どもたちにも社会を変える一人として参加してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

なお、クラウドファンディングだけでは私たちの運営は成り立ちません。
あわせて企業からのスポンサーや継続的なご寄付も募っていきながら、安定的な運営の道を探っています。

今、私たちは対話をあきらめてはいけない。
今こそ分断せずに関わりを持ち、希望をつなげるために。

どうかご支援をお願い致します。




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