はじめに
こんにちは!私は、北海道を拠点に、フリーランスのライターと編集者をしている山下和子と申します。ライターとしては自然・歴史・科学・文化・産業などさまざまなテーマについて取材して原稿を書き、編集者としてはデザイナーやカメラマン、校正者らプロフェッショナルと協力し合って雑誌の誌面や書籍を作っています。
そんな私のところに、2018年、全身麻痺の患者さんが書いた文章がメールで送られてきました。
文章の中に実名や施設名は一切ありませんでしたが、かつて入院していた病院や施設での介護者の言葉や粗雑な扱いへのつらい思いが綴られていました。全身麻痺になってなぜ自分は生きているのか、安楽死の法制化はできないのかという、切迫したギリギリの思いがほとばしる文面に、私は釘付けになりました。
この患者さんは、森 力(もり つとむ)さんという72歳の男性。脳梗塞とリステリア脳炎を患い、右腕と首がかすかに動くのみで言葉も発することができないとありました。
でもそんな状態で、なぜ文章が書けたのでしょう。誰かが代筆したのでしょうか。
代筆ではなく、視線の動きを文字に変換するIT技術の助けにより、自分で書いたとのこと。この技術を「視線入力」といいます。
私は森さんに会いに行き、森さんが文章を書く様子を見てきました。たしかに森さんは身体を一切動かせず、動かせるのは視線だけでした。森さんは、現在入院している病院で「視線入力」に出合い、医療者や介護者の助けによって、思いを綴っていることがわかりました。
私は自分も実際に「視線入力」を体験してみようと、あるNPO法人の協力により、短い文章を入力してみましたが、視線を固定して確実に文字を選択していくのは至難の業でした。たとえば「か」というひらがな1文字入力するのに、「k」と「a」を視線で確実にとらえなければなりません。 「痛い」とか「苦しい」といった短い言葉を入力してみるだけでクタクタになりました。森さんはこの視線入力で、約4万字もの文章を書いたのです。
森さんは、その文章が本になることを願っています。
私は編集者としてそれを実現したいと思います。森さんの切実な思いに応えたいのはもちろんですが、森さんのためだけではないと気付いたからです。すべての人に「老い」はやってきます。病やケガで不自由な体になることもあります。そうなったときも人間らしく生きられるために、森さんの問題提起は、誰にとっても人ごとではないと思うのです。
森さんが「視線入力」で綴った言葉を自費出版したいと考え、このプロジェクトを立ち上げました。
広告や雑誌のアートディレクションで活躍しているデザイナーの亀田敏美さんと共に、森さんの文章を、本という形にしたいと思います。ご支援のリターンとして完成した本と、本の挿し絵の絵はがきをお送りします。
多くの皆様のご支援をお願いします。
解決したい社会課題
病気やケガ、加齢によって身体が不自由になった時も、人間らしい時間を過していけるように
医療と介護の方向を多くの人が考えるきっかけを作る。
資金の使い道
校正、組版、印刷、製本1450,000円
リターン用ポストカード制作53800円
送料 118,000円
180円×100部=18,000円
370円×200組=74,000円
520円×50組=26,000円
クラウド・ファンディング手数料 178200円
実施スケジュール
2月10日~3月17日 クラウドファンディング
森さんの原稿のレイアウトを始める。
3月20日初校を出す
初校を確認し、修正をレイアウトする
3月27日再校を出し、確認・修正する
3月31日印刷会社に入稿する
4月7日色校正の確認・修正を終え、印刷会社に再入稿し、印刷開始
4月13日印刷完成
発送準備作業
4月27日発送開始
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
リターン
(完成した本のイメージ)
最後に
人は、いつ、事故や病気で意思疎通のできない身体になるかもしれません。
身体の自由がきかない長い老年期を多くの人が生きる時代は、もう始まっています。
森さんは一度失った言葉を、懸命の努力で「視線入力」の技術をマスターし、
私たちに問いかけています。今の日本の介護の実態を。
「僕の姿は明日のあなたかもしれないよ」と。
「これでいいの?」と。
森さんが「視線入力」で思いを発することがなければ、絶対にわからなかったことが
ここには綴られています。
たとえ不自由な身体になったとしても、人間としての尊厳を保って生きていたいとは、
誰もが思うこと。
森さんの文章を自費出版するためのご支援をよろしくお願いします。
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