「最も若い被爆者」と呼ばれる胎内被爆者の方々の想いがつまった一冊を、北海道から沖縄まで、全国の大学生で英語に翻訳しました。

翻訳を始めて、3年あまりが経ちました。

英訳してきたものをようやく電子書籍にすることができます。

名付けて、Hibakusha since I was born

証言集と翻訳した原稿
翻訳の始まり

2021年2月、大学の授業を通して、胎内被爆者の二川一彦さんと出会いました。

当時、新型コロナウイルスの影響で対面でのインタビューはかなわず、オンライン中継でのインタビューでした。

その中で紹介されたのが、胎内被爆者47名による証言集『生まれた時から被爆者-胎内被爆者の想い、次世代に託すもの』でした。授業終了後、担当の先生から「英語に翻訳したいけど、翻訳する人がいない…」というお話を聞き、「私たちにできることは、何だろうか」と考え始めました。

オンラインでのインタビューの様子

「翻訳をする」といっても、47名分の証言をどうやって翻訳するのか。

一般的な英語しか勉強をしていない私だけでは、47名分の証言を翻訳することは不可能です。そこから始めてみようと思い、全国の大学生に声をかけ、学生団体AOGIRIを設立しました。

AOGORIのメンバーの大半は、広島や長崎出身ではありません。広島や長崎に行ったことがなかったり、被爆者の方のお話を聞いたことがなかったり…そんな中で、翻訳を通して「原爆」について考えることができればと集まってくれました。

メンバーの住んでいるところも、「原爆」に関する知識もばらばらです。

定期的に勉強会を開いたり、ペアで訳の確認をしたり、自分たちで原爆に関する辞書(通称、AOGIRI辞典)を作ったりもしました。

AOGIRI辞典。ファイルを共有し、みんなで作成しました。

そんなAOGORIメンバーの協力のもと、2022年2月に翻訳作業が完了し、多くのメディアで取り上げていただきました。

翻訳後、記者レクを実施した様子

2022年8月9日にNEWSゼロで放送された活動の様子

形あるものを残すのではなく、活動という継承を

「原爆」というと、そのあまりの恐ろしさに漠然と距離を置いたり、あまりの恐ろしさに目を閉じたりしたりするかもしれません。また、「何かしたい」と思っても、「何をしていいのか分からない」ことがあるかもしれません。

「継承」と聞いても、「何か形に残さなければならない/目に見えるものにしないといけない」と考えがちです。

広島や長崎に行ったことがなくても、被爆者の方の話を聞いたことがなくても、あの日から今日まで何が起き続けているのかを「理解しようとすること」はできるはずです。被爆体験の講話をしたり、被爆の実相を伝える活動をしたりしなくても、「継承」に関わることができます。

これまで「原爆」についてよく知らなかったメンバーも、翻訳を通して、自分なりに「原爆」を理解してきました。伝承者のように語ったり、被爆者の方に話を聞いてまとめたり…と目に見えるものではないですが、誰かから聞いたという受け売りの「原爆」ではなく、自分なりの「原爆」を考えることが、これからの継承には必要になってくるのではないでしょうか。

英語版証言集は、メンバーがそれぞれの証言と向き合い、向き合うことを通して「理解」したものを、英語で表現をしたものです。メンバーなりの表現を通じて、読んでくださる方の考える機会につなげていきたいと思っています。

AOGIRIで、高校に出前授業をした様子。翻訳を通じて考えた「原爆」を語りました。

あなたにもできる関わり(リターン)

このプロジェクトに、クラウドファンディングという形で、より多くの人に関わってもらいたいと思っています。そのため、関わりを通じて、胎内被爆者の方の想いに触れていただけることを目指しています。

関わっていただくことそのものに意味があると考え、どの金額でもリターンは一律で揃えています。
応援してくださった方には、以下のようなお礼を考えました。

①お礼メール
関わってくださった皆様へ、お礼のメールを送らせていただきます。

②応援者として、英語版証言集にご支援者さまのお名前を記載
応援してくださった方の名前を英語版証言集に記載することで、多くの人の応援によって完成し た翻訳本であることが伝わるのではないかと思っています。

③日本語版証言集のPDFデータ
胎内被爆者の方の想いや、大学生がどのような証言集を翻訳したのかを知っていただければと思っています。

④完成した英語版証言集のPDFデータ
応援してくださった皆様を通して、英語版証言集の存在を知っていただけるよう、データをお渡しします。

スケジュール

現在は、大学生が翻訳したものをチェックしながら、編集や校正作業に入っています。8月中の完成を目指しており、完成次第、みなさんにもお披露目する予定です。

電子書籍化した英語版証言集のイメージ

資金の使い道

ご支援いただきました資金は、 CAMPFIREの手数料を除いたすべての資金を、英語版証言集の制作費用および印刷費として大切に使わせていただきます。

胎内被爆者の方々には、製本したものをお渡しする予定です。

出会えたあなたへ

私たちは43秒という時間を生きているのかもしれません。

43秒という時間は、広島に原爆が投下されてからさく裂するまでの時間だと言われています。地球を何度も破壊することができるほどの核兵器を、私たちの社会は保有しています。そういう意味では、原爆は投下されてしまっていて、とりかえしなどつかないのかもしれません。でも、まだ、さく裂はしていないという時間、43秒の中に私たちは生きているのだと思います。

この43秒の時間を、私たちはどうやって生きていくのかを考えなければなりません。

証言をしてくださった胎内被爆者の方々、翻訳した大学生、英語の監修をしてくださっている先生、電子書籍化に向けて編集してくださるデザイナーさん、それぞれの立場で、多くの方がこの活動に関わってくださっています。

クラウドファンディングという形で、応援してくださる方々に出会い、一緒に新しい継承の形を作っていければと思います。

このページを読んでくださっているあなたにも、関わっていただけることを願って。


支援金の使い道

集まった支援金は以下に使用する予定です。

  • 制作費(デザイン料、書籍登録料など)
    印刷費(胎内被爆者の皆様に製本したものをお渡しします) 
    CAMPFIREの手数料

※目標金額を超えた場合はプロジェクトの運営費に充てさせていただきます。

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  • 2024/07/02 09:00

    クラウドファンディング開始から、1週間。応援してくださるみなさま、証言集に関わっていただきありがとうございます!英語版証言集 Hibakusha since I was born は、胎内被爆者のみなさまの想いはもちろんのこと、翻訳したAOGIRIのメンバーや、クラファンを通して関わってくださ...

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