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「改姓しんどい」「事実婚は不安」ーー会社員たちがSNSでつながって始まった活動
世界の中で唯一、日本は「どちらかが名字を変えなければ結婚できない」法律(民法750条)があります。
自分の名字を変えたくない。氏名を変える意味がわからない。でも法律に従って仕方がなく改姓し、国が進める旧姓使用をしようとしてもトラブルと不利益の連続だった。事実婚では大事な場面で配偶者とみなされず、相続もできないーー。
「#自分の名前で生きる自由 、だれにでも平等にあるべきでは?」
SNSで集まった会社員などを中心に、2018年に立ち上げたのが「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」でした。2023年に法人化し、「一般社団法人あすには」に生まれ変わってからも、日本全国の約800人のメンバーと、国会・地方議会・司法に法改正を望む当事者の声を届け続けています。
▲2024年5月26日、香川県内すべての議会で選択的夫婦別姓推進の意見書が可決したことを記念し、各議会の議長や国会議員、市民とともに開いたイベントで(地元の報道)撮影:西川博喜
私たちの働きかけによって経済界も動き出しました。法改正はもうあと一歩のところまで来ています。どうか2025年内に選択的夫婦別姓の法制化を目指すため、国際世論へも働きかけを始めた私たちの活動を支援してください!
世界でただ一カ国、結婚改姓を義務付けている国・日本
改めて…結婚する時に、名字を変えることを義務付けている国は世界で日本だけだと知っていましたか?
2020年11月6日の国会で、上川陽子法務大臣(当時)は、「法務省が把握している限り、現在、婚姻後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならない夫婦の同氏制を採用している国は、我が国以外には承知しておりません」と明言しました。
▲答弁する上川陽子法務大臣(2020年11月6日参議院予算委員会 画像出典:国会中継)
そう、結婚改姓の義務なんて他の国にはないのです。日本人と外国人の国際結婚も「お互い改姓しない」別姓が基本です。
加えて、東アジア各国、イスラム語圏、スペイン語圏、ベルギーやフランス、カナダのケベック州など、結婚しても基本的にだれも改姓しない(夫婦別姓)の国・地域はたくさんあります。
「夫婦同姓を義務づけるのは女性差別」が国際的な常識。だから日本以外、あらゆる国は法改正した。
では、名字の同姓しばりは、いつできたのでしょう。日本も東アジアの国なので、結婚しても名字を変える文化風習はありませんでした。1898年(明治31年)、西欧化のために、当時キリスト教国で一般的だった夫婦同姓を導入したと言われています。
夫婦同姓と同時に日本政府が導入したのが、「家制度」という差別法。NHKの朝ドラ「虎に翼」で描かれているように、家制度によって女性は法的に無能力者となりました。財産を持つ権利も、親権もなし。もちろん参政権はありません。女性が働くことも、夫や夫の父など「家長」の許可制。
1947年にこの家制度が廃止され、家庭内の平等を定めた憲法24条ができて以降も、夫婦同姓の強制が継続されてしまったことから、女性は「家」を統率する夫に従い、家事育児介護を家の中で担うのだから、夫の名字を名乗ればいい、という「家父長制観念」が社会に根づいてしまいました。
他の国々も似たりよったりで女性を法的無能力者とする差別法がありました。しかし女性参政権の実現や、社会進出に伴って、国連女性差別撤廃委員会を中心に、「女性にも男性同様、自分の氏名を変えない権利がある」と、夫婦同姓を義務付けていた国々に改善勧告を出したのです。
それに応じて夫婦同姓だった国は次々と、お互い改姓しない夫婦別姓も選べる選択制を導入。残すは日本だけとなりました。
望まない改姓による生きづらさ、不本意な事実婚による不安を解決したい!
結婚したい、でもお互い生まれ持った氏名を大事にしたい。そんなカップルに今の法律が用意しているのは、次の3択です。
1.どちらかが望まない改姓をして法律婚。旧姓利用では6割が不便・不快を感じる
2.婚姻届を出せず、事実婚でいざという時の不安を抱えながら生活する。
3.一生を共にしたいと願った人との婚約が破談になる。
95%は女性側が改姓しているという現実
家制度が導入された120年前と違い、今は女性も自分の氏名で仕事をし、信用・実績・資産を積む時代です。にもかかわらず家父長制観念が未だに強く、女性側が改姓するケースがほとんどです。多くの女性が名義変更に走り回り、「自分が自分でなくなるような違和感・苦痛」を感じています(参考:2020年第5次男女共同参画基本計画で集まったパブリックコメント)。
これを解決するには、現行法の「妻の名字で結婚する」「夫の名字で結婚する」の2択に加え、「どちらも改姓しない」の3択にした「選択的夫婦別姓」を導入すればいいだけ。
すでに国民の83.9%は、「改姓する・しない」を自己決定できるこの「選択制」に賛成です(出典:2023年「家族と性と多様性にかんする全国アンケート」)。
若者の4割が求める選択肢。でも政治が動かない。
2023年、BIGLOBE「若年層の意識調査」では、「選択的夫婦別姓が制度化されたら結婚したい/夫婦別姓に変更したい」と考える人は、18〜24歳のZ世代で39.7、25〜29歳が最多で41.6%まで高まっています。
しかし、与党・自民党のごく一部の議員が強硬に反対し、国会に法案すら出せないでいるのが現状です。
2024年6月19日NHK:「選択的夫婦別姓」に慎重な自民議員連盟 旧姓通称使用 拡充を
2021年6月11日NHK:選択的夫婦別姓 戸籍に旧姓記載で法改正を 自民議連
動き出した経済界。「日本人の通称使用は海外で理解されずトラブルに」
この状況を変えたいと思っているのは、当事者だけではありません。私たちは2021年から「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」事務局を務め、選択的夫婦別姓への賛同署名を集めてきました。2023年3月8日国際女性デーに、経団連、新経連、経済同友会などのトップも名を連ねてくださった企業経営層1,046名もの署名を日本政府、首相、関係大臣に対して提出。さらには、各経済団体の代表団も同行して、要望を届けてくださいました。
強制的夫婦同姓は、日本人女性が法的無能力者で、自分名義の財産すら持てなかった時代に導入された法律です。
120年以上経ち、いまや共働き率7割以上。自分の氏名で信用・実績・資産を築き、企業経営層としても働くようになった女性たちが改姓を強いられ、生きづらさ、働きづらさを抱えることは、「社会の発展、経済の拡大にとって損失」「旧姓使用は国際的なビジネスにおいてリスク要因でしかない」と、名だたるビジネスリーダーたちが、国に法改正を求めてくださったのです。
当日レポート:経済界から政府へ。選択的夫婦別姓法制化を要望する手交・院内集会を開催しました|2024年国際女性デー
しかし、それでもまだ、岸田総理は「国民の間で意見が分かれている」と、導入に後ろ向きな国会答弁を続けました(出典:2024年3月25日参議院予算委員会)。
▲2024年3月25日参議院予算委員会で答弁する岸田文雄首相
これに対し、経団連は2024年6月10日、正式に政府に対して、「一刻も早く」選択的夫婦別姓求める提言書を公表。提言資料によれば、女性役員の88%が旧姓の通称使用の限界について実感しており、具体的なトラブルも列挙されています(関連報道)。
しかし岸田首相はその7日後も再び、「家族の一体感や子どもの利益にも関わる問題」と述べて進めない意向を示したため、「すでに存在する夫婦別姓の家族や国に失礼だ」と大きな批判を浴びることとなりました。
その後も、経団連・魚谷雅彦ダイバーシティ推進委員長(資生堂会長)が記者会見を開き「日本企業の事業展開がますますグローバルになる中、女性を含む多様な人材が一層活躍することが予測される」「選択的夫婦別紙は先送りのできない最重要課題だ」と発信し、自民党にも提言を持参して、法制化に向けて政界への働きかけを強めてくださっています。
2024年6月20日毎日新聞:経団連・魚谷氏、選択的夫婦別姓「先送りできない最重要課題」
2024年6月22日ANN:経団連 選択的夫婦別姓の提言を自民推進派に手交
2024年秋、国連からの8年ぶり4度目の改善勧告で、日本がジェンダー平等に進むのを後押ししよう!
2024年6月12日、世界経済フォーラムが、男女平等の実現度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」を発表しました。日本は146か国中118位。この順位は依然、G7で最下位です。どうすれば日本もグローバルスタンダードに追いつけるのか。
実は2024年は勝負イヤーなのです!!
8年ぶりにジュネーブの国連本部で、「女性差別撤廃条約」に基づく日本審査が行われます。この審査に合わせ、あすにはでは国連など国際機関勤務や国際人権の研究者など、15名いるグローバルチームメンバーのうち、6名をジュネーブに派遣します。国際業務という女性活躍の最前線で働く中、それぞれが感じた不利益を、「次世代に受け継がない。ここで、自分たちの手で終わらせる!」と立ち上がった精鋭です。
委員に直接働きかけ、日本政府に対して「速やかな法改正を」という4度目の改善勧告を要請するとともに、国際世論を盛り上げる記者会見を現地で実施したいと考えています。
市川房枝さん、赤松良子さんが日本の女性に遺してくれた条約。今こそ「外圧」を効果的に使おう!
日本政府が1985年、国連女性差別撤廃条約(CEDAW)を批准(調印)できたのは、2人のレジェンドのおかげでした。女性参政権の生みの親といわれる市川房枝さん、そしてこの条約を糧に男女雇用機会均等法を実現させた赤松良子さんです。
市川房枝さんらは半世紀前の1974年、「生まれながらの姓を、なぜ結婚で変えなければならないのか」「女のみが家制度の亡霊に悩まされている」とした趣意書で署名を集め、翌1975年に民法750条改正を求める国会請願を提出。これが日本史上初めて、結婚改姓を強いる法改正を改めるよう、政治に解決を求めた女性たちの声となりました。また日本がCEDAWに批准するよう、国内女性団体をまとめ、声明を出し、総理府、外務省などに陳情を行い続けてくださいました。1981年、87歳で亡くなられた時、棺には女性差別撤廃条約の条文が納められたそうです。
▲市川房枝さん(公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センター提供)
1979年、CEDAW誕生に賛成票を投じたのが、当時国連公使だった赤松良子さんでした。世界にジェンダー平等の光をもたらそうと生まれたこの条約を、次は日本が批准できるよう、晩年の市川房枝さんとも連携しながら85年、批准に漕ぎ着けてくださいました。第1回審査(88年)では、改姓を望まない女性も含め98%が改姓しているとして、日本政府に苦言を呈する形で別姓の必要性を指摘してくれたのも赤松さんです。残念ながら2024年2月に94歳で逝去されましたが、晩年、何度もお会いする機会をいただき、「女性差別をなくすには、とにかく法律を作ること」とアドバイスをいただきました。
▲亡くなる前年の2023年、面談してくださった赤松良子さん(右|ご遺族のご許可をいただき掲載)
「市川房枝、そこから続く「長い列」──参政権からジェンダー平等まで」(亜紀書房)でも、「目指すべき社会に向けて市川が取った戦略戦術の一例が、条約批准という『外圧』をうまく使い、社会の仕組みを変えていくこと」と指摘されています。
国連女性差別撤廃委員会の前日本代表委員で、同委員会の委員長を務められた林陽子弁護士(公益財団法人 市川房枝記念会 女性と政治センター理事長)に「女性差別撤廃条約とは?」「なぜ改善勧告が重要なの?」「市川房枝さんや赤松良子さんの功績は?」など、わかりやすく解説していただきました。3分ほどですのでぜひご覧下さい!
あなたの支援によって実現できるプロジェクト(資金の使い道)
1:女性差別撤廃条約の日本審査が行われるジュネーブ国連欧州本部に、委員への直接陳情を行う「あすにはグローバルチーム」6名を派遣したい!(約300万円)
すでにCEDAW委員への陳情、海外メディアへの説明を目的とした資料は完成し、委員や各国大使館に配布をスタートしています。
▲あすにはグローバルチーム作成のAdvocacy Briefの一部
国連に提出するNGOレポートも作成中です。現地に行くことで、委員へ直接説明を行うブリーフィングに出席したり、より理解を広めることができます。
しかし問題は円安!!😱
6人中4人は在欧メンバーですが、残りはNYと日本からの渡航が必要です。飛行機のチケットも高い!😭 物価が特に高いスイスに審査の期間中滞在してアドボカシーを行うには数百万円の資金が必要です。
他の国際NGOとも連携しながら、記者ブリーフィングや院内集会も行う予定なので、会場費・配信費・広報費・資料印刷費もかかります。ぜひ効果的なアドボカシーができるよう、ご支援をお願いします!
2:経済界、法曹界と連携し、法改正を盛り上げるシンポジウム・広報キャンペーンを展開したい!(約400万円)
あすにはが事務局を務める「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」を実施主体として、今秋以降、大規模なシンポジウムやキャンペーンを展開したいと企画中です。やりたいことはいっぱいですが、まだ公にできない情報ばかり…。支援者の方には、随時活動報告で進捗をお知らせします。
会場費・運営費・社会啓発動画撮影費・広報費・外部登壇者への謝金など、資金面で困難を抱えています。これまでの実績を信じて、どうか2025年、世論を大きく巻き込んだキャンペーンの展開にご支援をいただきますようお願い申し上げます。
このクラウドファンディング開始を記念した社会啓発キャンペーンの第一弾として、6月24日、日弁連・渕上玲子会長と、タレントの池澤あやかさんをお招きしたオンラインイベントを実施、100人以上の方にご参加いただきました。
今後、経済団体の皆様、他のNGO団体、企業の皆様とのコラボ企画も続々ご提供してまいります。
3:グッズ制作(約100万円)
自分が自分だと思える名前で名乗り、呼ばれ、人との絆を紡ぎ、いのちを終えることができる社会を私たちは実現します。今回みなさまへご提案するリターンの中で、私たちがやりたいと考えているのが「あなたの名前をジュネーブに連れて行く」こと。あすにはグローバルチームのメンバーが、支援者の皆さんのお名前(ご希望の場合はロゴ)を背負って、ジュネーブでの活動・記者会見に臨みます。また制作したTシャツをお手元に届けるリターンもご用意しています。
#MyName MyChoice #自分の名前で生きる自由を、ともに実現しましょう。
1000万円の使い道まとめ
・女性差別撤廃条約の日本審査にあすにはグローバルチーム6名を派遣 約300万円
・経済界、法曹界と連携し、法改正を盛り上げるシンポジウム・広報キャンペーン 約400万円
・リターンなどグッズ制作 約100万円
・諸経費(スタッフ人件費、ジュネーブ出発前後の記者会見費用等) 約200万円
ジェンダー平等の壁を突破するドミノ倒しの最初の一コマ、あなたも一緒に押しませんか?
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
資金が余った場合、一般社団法人あすにはのジェンダー平等を推進する活動のために使わせていただきます。
最新の活動報告
もっと見る少しでも強い改善勧告をゲットしたい!10/17日本審査まで走り切りました
2024/10/31 14:33【法改正まであと一歩】選択的夫婦別姓を実現させたい!#世界と変えよう大作戦 を支援してくださった皆様ジュネーブの活動報告第2弾です!皆様のおかげで無事ジュネーブにて陳情活動を実施することができました。10月11日〜13日はアジアのNGOを集めたアドボカシー研修に2名が参加、14日、16日の発言枠の調整をして、公式日程で委員への直接陳情が可能となりました。さあいよいよ、14日の Informal public meeting 。今回参加した各団体が数分&数秒ずつ割り当てられた時間でプレゼンし、委員からの質問を受ける場です。この日は私達の発言枠はなく、選択的夫婦別姓について日弁連の鈴木弁護士にプレゼンを託しました。しっかりと夫婦の名字の問題について触れてくださいましたが、その後、右派団体も選択的夫婦別姓に反対のプレゼンを行いました。この日の動画はしばらく以下から見られますのでぜひご覧下さい。▼国連WebTV Informal public meeting 早めに会場入りし、グローバルチームは手分けして委員一人一人に声をかけました。どの方が日本審査担当委員なのか、その委員が何条のご担当なのか(各国の審査の中でも、メインの1〜16条ある国際条約の条文によって担当委員が分かれます)この時点でははっきりわかりません。そのためメンバーは、全ての委員のお名前やバックグラウンドを記した資料を事前に準備。できるだけ暗記してこの日に備えました。その事前準備もあって、今回参加したすべての委員に事情説明、資料の手渡しをすることができました。世界各地の在住国から集まったメンバーはいずれも英語が堪能です。国際弁護士、国際人権法の専門家のほか、フランス語や中国ができるメンバーもいたので、言葉の障壁なく日本の窮状を訴えられたのは幸いでした。16日も同じようにPrivate Lunchtime Briefingがありました。これも公式行事で、14日で発言した団体以外がプレゼンし、日本審査委員からの質問にNGO代表が答える場です。あすにはグローバルチームはここで理事で国際人権法の研究者・波多野綾子が選択的夫婦別姓の法制化がなぜ必要なのか、ど熱いプレゼンテーションを実施。日本の皆様にプレゼンを見ていただけないのは残念でしたが、プレゼンだけでなく、委員への直接陳情も、委員へのランチ手配も、グローバルチームそれぞれができることをとにかくやり切りました。お声がけした委員からは、・わかる、わかる深刻な問題。アイデンディンティの問題よね。・(メンバーの事実婚、離婚に理解を示し)あなたはだからここへ来たのね、勇気を持ってきたことを称賛するわ。・(委員自身の)娘が結婚で名字を改姓せざるを得なかった。この問題は身近よ。・もう3回も勧告してフォローアップもしているのに、なぜ日本国内で受け止められないのか。など、共感と理解の言葉しか返ってきません(涙)。この2回の会議では各条文を担当する委員からNGOへも、日本の現状に対してたくさんの質問が寄せられます。例えば「女性が金融で不利に立たされることはある?」「新しいジェンダー平等担当大臣が生まれたと聞くけど(三原じゅん子大臣のこと)、ジェンダー平等に取り組むみんなはどう評価してる?」「婚外子差別は今もある?」「高等教育で女性が不利な状況に立たされることは?」「ジェンダー平等の政府方針(第5次男女共同参画基本計画)についてどう評価している?」などです。まるで早押しクイズのようでしたが、その場でメンバーが積極的に手を挙げ、選択的夫婦別姓に関係すること、また直接関係しなくても応えられることはすべて、回答しました。会議後は毎回、すぐさま回答案を作成し、出典をつけて補足資料をバンバン提出。日本の実情について一番知っているのは私ですが、社会学も含め幅広い知識を端的にまとめる能力が必要です。弁護士と国際人権法の専門家であるメンバーを中心に喧々諤々議論して、弁護士と国際人権法の専門家がビシッと端的な内容に仕上げてくれました。迎えた17日の日本審査、国際弁護士の2人は仕事のため帰路につき、みなヘトヘトの「やりきった感」で迎えました。大きな会場で、今度はNGOではなく、34名という大所帯でやって来た日本政府代表団が、CEDAW委員からの質問に答える場です。約5時間の対話では、日本のあらゆる女性差別の問題を委員から日本政府に質問します。1条から順に審査が始まります。聴いているうちに私たちが出した追加資料の問題点や数字が次々と出てくるので、真剣に受け止めてくれたことがわかりました。日本のジェンダー不平等は非常に根深く、幅広く、それに対して政府代表団があらかじめ用意した応えを繰り返すのみで、誠実に対応していない様子が手に取るようにわかりました。動画でぜひご覧下さい。▼国連WebTV前半:https://webtv.un.org/en/asset/k11/k1134kvabm後半:https://webtv.un.org/en/asset/k1n/k1nb3bus4d最後の最後、16条審査でキューバのMs. Yamila González Ferrer委員が「民法750条は表向きには夫婦のどちらかの姓にすることになってるけど、事実は94.7%が女性が改姓しているのは社会的圧力。女性のアイデンティティ、職業、雇用などで大きな負の影響が出ている。第5次男女共同参画基本計画による調査では、ジェンダー視点が入っていなかったのではないか。家族法を改正して夫婦別姓を可能にする予定はないのか」と質問してくれました。日本政府代表団は「選択的別氏制度の導入は世論調査を見ても国民の意見がわかれている。社会全体における家族のあり方に深く関係することから幅広い理解が必要。サイトなどを通じて国民への情報提供を通じて国会の議論が深まるように取り組んでいる」と、いつもの政府答弁で逃げようとしましたが、重ねて委員から「具体的に応えて」と再質問。政府は「改姓により不便さ不利益を感じる女性がいることについて、政府として旧姓使用拡大に取り組んできた。マイナカードや、パスポート、不動産登記は旧姓併記ができる。内閣府のHP免許などにおける資格で旧姓が使えるものを公表するなど周知を図っている」と、またも定型回答で終わりました。私たちが審査終了後、すぐに旧姓通称使用の限界に関する追加資料を提出したのは言うまでもありません。しかし私たちの働きかけに加え、日本政府の不誠実な対応が、4度目の強い勧告につながることが濃厚です。というのも、すぐに出された国連広報部のまとめ速報には、タイトルにも「夫婦同姓問題」が入り、本文3箇所にも名字の問題が触れられていました。さあ、どんな勧告が出るか。次回活動報告をお楽しみに!11/9(日)にジュネーブ報告会、11/20(水)佐藤倫子弁護士とのトークイベント「スナックみちこ」でもスイスでの出来事を詳しくをお話します。オンライン参加も可能です!ぜひご参加ください。 もっと見る
ジュネーブに到着しました!本日19時〜ポリタスTVに出演します。
2024/10/13 18:07【法改正まであと一歩】選択的夫婦別姓を実現させたい!#世界と変えよう大作戦 を支援してくださった皆様一般社団法人あすにはの井田奈穂です!皆様のご支援で無事、ジュネーブに到着しました。初日は雨。バスの中から国連ビルを確認できました(TOPの写真です)。レマン湖の噴水も、雨天・曇天です。東京からトランジット含めて22時間かかりましたが、スイス上空で朝焼けを見て、ジェンダー平等の夜明けを日本にもたらせる活動になるようにと、心から祈りました。ヨーロッパ各地とアメリカから集まったグローバルチームメンバーが、今夜までに全員ジュネーブに結集します。アドボカシー研修を受けているメンバー2名は引き続き3日目の研修最終日。14日と16日の委員への陳情の機会(最下段ご確認下さい)について、今日で発言枠が確定します。他の人権NGOの方々とも連携を深めつつ、学びを深めています。そのほかのメンバーは14日の公式日程を前に発表者はプレゼン資料の推敲、研修で判明した委員の情報まとめ作成(公式日程だけではなく、国連内ですれ違ったらすかさず陳情するために顔写真やプロフィールをまとめています)、日本から持ってきた印刷資料のセッティングなどを行っています。本日13日、日本時間19時〜ポリタスTVに出演しますジャーナリストの宮崎園子さん×弁護士の三輪記子さんの「月刊ミワタスTV #9 議論は足りないのか?!|30年近く時が止まったままの法制審答申。選択的夫婦別姓を実現するための民法改正案を読み込む」という回に、ジュネーブから参加させていただきます!ぜひご覧下さい。配信URL:https://www.youtube.com/live/eX38Wr0Nl2o日本からも現地での活動を見られるチャンスあり10/14(月) 日本時間22:00〜23:30 Informal public meeting 日本を含む5カ国のNGOがCEDAW委員に向けプレゼンテーションを行う公式日程です。 Informal と書いてあるが公式行事なので、国連web TV配信があります(日本語通訳はありません)。あすには単体としてはこの配信枠では発言しない予定で、あすにはが加盟するJNNC(女性差別撤廃のために活動するNGO連合体)の共同代表や、日弁連が発言する予定です。選択的夫婦別姓についても触れてもらえる予定です。この枠では、選択的夫婦別姓やマイノリティの権利保護に反対するためにジュネーブにやってきた右派団体もいくつかプレゼンテーションの予定です。 かつて国連女性差別撤廃委員会の委員長でいらした林陽子弁護士は、9月24日記者会見に出席して下さった時、「人権NGOの活動を妨害するために右派団体がジュネーブに押しかける国は、日本と中国ぐらいです」とおっしゃっていました。JNNC、日弁連、また日本の右派団体がどのような主張を繰り広げるのか、ぜひご注目下さい。配信URL:https://webtv.un.org/en/asset/k1s/k1sdy2d4ho10/16(水) 日本時間20:45〜22:45 Private Lunchtime Briefing これも公式行事で、日本審査委員からの質問にNGO代表が答える場です。あすにはグローバルチームはここで議員陳情へのプレゼンテーションを行う予定です。 国連女性差別撤廃委員会に訴えに来る当事者女性の中には、政府や特定の宗教団体などから苛烈な差別を受け、時には命の危険にさらされている当事者も想定されるため、16日は配信・撮影ともに禁止です。日本の皆様にプレゼンを見ていただけないのは残念ですが、上記以外にも現地で日本審査担当委員を見つけて直訴するなど、グローバルチーム全員めちゃくちゃ頑張っていますので、応援の念を送って下さい!10/17(木) 日本審査当日 これは「日本政府とCEDAW委員の建設的対話の場」です。この日は、NGOは傍聴のみなので、あすにはは発言しません。これまで行ってきたサブミッション(市民社会レポート)提出、まとめ資料の提出、委員への直接陳情などの成果の結果、委員からどのような質問が日本政府に対して投げかけられるのか、ご注目下さい。 国連web TV配信あり、日本語通訳あり。 前半(日本時間 17:00~20:00) https://webtv.un.org/en/asset/k11/k1134kvabm 後半(日本時間22:00~24:00) https://webtv.un.org/en/asset/k1n/k1nb3bus4d朝日新聞から胸打つ記事が出ました市川房枝さん、赤松良子さんらの尽力で、国連女性差別撤廃条約に日本も批准(1985年)してから約40年。職場での賃金格差をなくそうと奮闘してきた女性たちが、時代を超えて、国連女性差別撤廃委員会に訴えを届けに来る思いや背景を活写した記事です。選択的夫婦別姓についても、以下のように触れられています。<記事から引用>なお残る課題が、選択的夫婦別姓の導入だ。勧告では民法が定める「夫婦同姓」について「実際には女性に夫の姓を強制している」と指摘し、改正を求めた。今回も勧告を受ければ、03年、09年、16年に続いて4度目となる。「男は管理職、女は平社員」 不平等との闘い30年、国連に見た希望ジュネーブに向けて私たちが続けてきたすべての活動は、自分たち自身だけでなく、あとに続く女性たちに希望と平等を残すため。「あげた声は残る」(NHK「虎に翼」の中の台詞)。皆さんのご支援があってこそ、当事者の声を携え、直接陳情が可能になったこと、改めて感謝申し上げます。ジュネーブから、引き続き活動報告をお楽しみに! もっと見る
ご報告と動画の共有:クラウドファンディングありがとうイベント
2024/10/13 14:26こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
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