ご支援者の皆さま 9月の東京開催に続いて、10月の京都開催も無事終了することができました。 東京では407人、京都では887人の来場者を迎えることができました。 日本では馴染みのないサハラの先史壁画の展覧会で、どれだけの人に来てもらえ るか不安がありましたが、皆さまの口コミとfacebookや、新聞・週刊誌でも取り 上げてもらうことができて、これほどの数の方に観ていただくことができました。 さて、Campfireを通してご支援いただいた方々、直接ご支援いただいた方々は92 名にものぼり、ご支援いただいた金額は総額で52万円となりました。望外の結果 で、これほどご支援をいただけるとは考えてもみませんでした。ご支援金はプリ ント代(約31万円)と会場費(約20万円)に当てさせていただきました。皆さま のご支援により写真展が実現できましたこと心より感謝申し上げます。 京都会場を360度パノラマで撮影しました: http://hanafusa.info/docs/Iheren/IherenBunpaku360.html 新聞・週刊誌記事をまとめました: http://hanafusa.info/docs/IherenNewsClip.pdf 11月には、タッシリ・ナジェールを一か月ほど再訪します。イヘーレンにも立ち 寄りますが、主目的は遊牧民ツアレグ族の祭の取材とジェラ河の彫刻、ティスー カイなどの岩壁画の探訪です。戻ってきましたらホームページなどで報告いたし ます。 今後ともよろしくお願い致します。 英 隆行
東京のタイムドーム明石での写真展は、つつがなく終了致しました。内覧会+5日間で407人もの方にご来場いただきました。これだけ多くの方に来ていただけたのは、Campfireや読売、毎日、東京の各紙で告知できたことが幸いしたものと思います。 各紙の記事 http://hanafusa.info/docs/IherenFrescoNewspaperArticles.pdf 京都は10月9日-13日に開催されますが、京都文化博物館の会場は東京の2倍の150m2あり、ゆったりとご覧になっていただけます。皆様のご来場をお待ちしています。
風景写真の展示方法をどうするか迷いました。サイズはA2と決めていました。長年写真をやっている人だと全紙サイズを選ぶ人が多いのでしょうが、私の写真には全紙の縦横比がマッチしません。全紙の縦横比を考えて撮影したことがないので、フィルム/センサーサイズの35mmx24mmの比率に近いA列の方が馴染むようです。 次はフレームですが、12枚と数が多いのでレンタルフレームを検討しました。費用は1回1点で\2,000、東京・京都の2回で総額5万円近くとなり断念しました。そこで、壁画の巻物同様に上下をプラスチックのホルダーで挟んで吊るすことを検討しました。コストは1点\1,500と比較的安いのですが、見栄えがよくありません。 仕方なく手ごろなフレームを探すこととしました。全紙サイズだとフレームの選択肢はいくらでもありますが、A2では選択肢がほとんどありません。ようやく見つけた最安値の木製フレームは\2,300。価格は良いのですが、フレームがこげ茶色でマット(台紙)のサイズが小さいこともあって、写真に対するフレームの存在が強すぎて気になります。そこで、フレームを白ペンキで塗ることにしました。家具用ペンキで人気のあるバターミルクペイントというアメリカ製の自然素材を使ってみました。これが正解でした。実にいい風合いです。温かいで白で、塗りむらも好ましく感じてきます。素人の私でも塗りやすく、安価で良いフレームができました。 (写真は樹齢数千年の古代糸杉です。砂漠化が進む前に根を張った糸杉だけが生き延びています)
膨らみの問題を報告してから3週間が経ちますが、ようやく対策が決まりました。厚み2㎜、幅18㎜のアクリル板を剥がれるタイプの両面テープを使って中央部に裏張りすることで良好な結果が得られました。 単純な解決策ですが、この対策に至るまでには、3週間にわたって失敗を繰り返しながら実験を行う必要がありました。苦闘の3週間でした。以下、お読みいただくほどの価値はありませんが、わが「実験ノート」です。記録として残しておきます。 1) 平置きではなく、丸く巻いて保存 前回の写真は、畳の上に平置きしておいたプリントを吊るしたもの。丸く巻いて上下にまき癖を付けた方が左右の反りは減ると考え、3日間ほど巻いて保管した。結果は良好で、吊り下げてもまったく反りはない。やった!しかし、数時間後から徐々に変化し、半日後には元の木阿弥。 2) 完全空調の部屋で保管 玄関に吊るしたプリントは、朝晩で膨らみ具合が変化する。朝の方が5㎜程度膨らみは少ない。やはり高温多湿が原因のようだ。写真展会場は空調が効いているので、それまで24h空調した部屋で保管し、輸送はクール宅急便にしてはどうか。しかし、これでうまく行くと言う保証はない。現実的な解決策が必要。 3) プリントと壁の隙間を短くする 最初に玄関に8枚吊るした時は、プリントから壁まで3cm程度か、壁のないところであった。これを壁に近づけたら解決できないだろうか。 両会場ともにピクチャーレールが使われているが、フックの「し」中央部と壁面の隙間は、タイムドーム明石のフックが8㎜、京都文博のフックが13㎜となっている。次の条件で実験をしてみた1日後の結果: ① 隙間を15mmに調整したフックに吊り下げ: 中央部の膨らみは約25㎜ ② 家庭用フックを使って隙間を2㎜に調整: 中央部の膨らみは約20㎜ 最初に吊り下げたときは、3-4cmの膨らみだったので①でも大幅な改善となった。この場合、隣のプリントとの隙間は中央部で4㎜程度となり若干気になる程度。②の場合は隙間が2㎜程度で、ほとんど気にならない。 しかし、②の適用には問題が二つある。まず、会場側が使用を認めてくれるかどうか。プッシュピンはOKだが釘はNG。フックのピン/釘は直径1㎜で、ピンか釘か微妙なところだ。次に、フックの上下の位置調整が難しい点がある。55㎝の間をあけてフック2個で長さ250cmのプリントを吊り下げている。垂直が出るようにフック位置を調整するのは極めて難しい。フックの位置が1㎜上下すると、プリントの下部では4.5mmほど左右に振れる。一旦は、会場の条件でよしとして、これをもう少し改善する策を考えた方が良さそうだ。 4) 厚み0.5mmのPET樹脂板で部分的に裏張りする PET樹脂版を幅2cmで短冊状にしたものを使い、①中央部のみで裏張り、②3か所で裏張りした場合を比較した。PETとプリント裏面の接着には、「はがせるタイプ」で強力な両面テープを使用した。 ① 25㎜程度の膨らみで変化なし ② 20㎜に改善。許容範囲。 1か所の裏張りでは、PETが柔らかすぎてダメなようだ。3か所の裏張りでは良好な結果が得られたが、これを搬入・搬出時に着脱するのはかなりの作業となり、実用的ではない。 5) 厚み2mmのアクリル板で部分的に裏張りする PETより固くて弾性の強い素材として、2㎜厚、幅18㎜のアクリル板を使い、中央部のみで裏張りした。結果は良好で中央部の膨らみは全くない。裏張りのない部分のくびれはごく僅かで問題ない。 これで対策が確定できたと思ったが、1日後に裏張りした部分が逆側(内側)に少し反っている。3日後では壁から4cmまで反りが激しくなって見苦しく、これでは使えない。原因は、どうやら両面テープが時間とともに縮むことにあるようだ。 6) 2㎜厚・幅18㎜のアクリル板に両面テープを長さ10cm程度に切って貼る。 両面テープを10cmの長さで切ったため、テープの縮みによる影響はなくなった。と、思ったが、緩やかに反りが進行して5日後で3.5cm。許容できるか微妙なところだ。次にどうしたらよいか、ここで行き詰ってしまった。 7) コロンブスの卵で、気が付けば簡単な話なのだが、両面テープを裏側にも貼ることでテープの縮みよる反りがなくなった。 ここに至るまで3週間。技術系の思考と経験があればもっと効率的に進められた筈。開催まで十分に時間があったことに感謝。
この岩壁画は遊牧民の生活の一部始終が描かれており、非常に物語性の強い作品です。この岩壁画を見る人は、それぞれの場面がどんな場面なのかを理解したくなります。予備知識なしで理解できる部分もありますが、限定的です。そこで、主な見どころをまとめたガイドを作りました。A3の裏表でラミネートしたシートを20部ほど準備し、会場で手渡します。 これを見ながら模写を見ていただき、次に実写で同じシーンを探し出していただきます。 http://hanafusa.info/docs/Iheren/HighlightGuide.pdf 当初のレイアウト案では、実写を見て模写を見る順路を考えていました。「解説を読んでから(模写を見てから)、推理に挑む(実写を見る)」なんて、と推理小説のように考えていたのです。しかし、先日改修した宇治の平等院を見学して、目から鱗の落ちる思いをしました。宝物を展示した鳳翔館では、CGやレプリカを見たあとに実物を見るようになっています。CGで往時の姿を目に焼き付けた後に実物の雲中菩薩像を見ると、より注意深く見るようになり、感動も大きいことを実感しました。