2019/02/02 20:03

みなさま、引き続きSNS等でのシェア、ご支援をいただき本当にありがとうございます。毎度嬉しくてスマホでスクリーンショットさせていただいております・・。


さて、いよいよ明後日からのパン屋さん修行を控え、ドキドキワクワクが止まらない私ですが、箸休めに本日は、Kelvinくんとのちょめちょめな話をさせてください。


Kelvinくん20歳


Kelvinくんとは、私が雇用したい!と思っているストリートボーイたちの一人です。


↓こんな子です。
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彼は生まれてすぐに両親をエイズで亡くし、おばあちゃんに育てられていました。しかし、6歳になった時にそのおばあちゃんも亡くしてしまい、それからはストリートで生活しています。

一度は学校に通っていた時期もありましたが、一人で生きていくには食い扶持も稼ぐ必要があります。昼間は、信号待ちしている車の窓拭きで小銭を稼ぐようになり、学校へ通うことは諦めざるを得ませんでした。

そして現在、同じような境遇の仲間で集まり、助け合いながらストリートでの生活を続けています。中でも彼は、みんなのお兄ちゃんのような存在です。

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私と仲良くしてくれているストリートボーイの子たち。かわいい。


彼は普段、行き交う車の間をぬって歩き、ルームシューズを売って生計を立てています。


「ホテルへのクロワッサンの卸しに絞ろう!」と私が決める以前、私は毎日のように惣菜パンやパウンドケーキを焼いていました。あまりにもたくさんの量ができるので、自分だけでは消費できなくなり、ある日私はKelvinくんにそれらの余りを持って行き、道で売ってみないか?と持ちかけました。


日本発祥のメロンパン。タンザニアにはないため大変珍しがられる。


見たこともないケーキとパンを見るなり彼は歓声をあげ、二つ返事で「売りたい!」と言ってくれました。


ちょうどその前日は大雨だったため、路上でルームシューズを売り歩く彼にとっては大打撃。いつもの1/3しか稼げていませんでした。


とはいえ、私もそっくりそのままパンをあげる、なんてことはしません。路上でとはいえ、彼も立派に商いを続けてきた人です。


私は彼に取引を持ちかけました。その日の売上から原価分だけを、夜私に返してくれ、と。


パンの原価を一つずつ教え、それを作るまでに私がかけた時間、そのパンを売るために私が買ってきた容器の値段・・

すべてをノートに書き出し、目の前にあるパンをいくらで売るべきか?を彼自身で考えてもらいました。


通勤帰宅ラッシュでは渋滞が起きる。
都市ダルエスサラームの幹線道路


Kelvinくんがいい子であることは知っていましたが、正直、そのまま持ち逃げされても仕方がない、と私は思っていました。つまり、夜になって彼がお金を返しに来なくてもしょうがない、と。


ちなみに、Kelvinくんと別れた後に、現地の友達にこの話をすると、

「バカじゃないの?!そんなの返ってこないに決まってるでしょ!私だってトンヅラするわよ!」

と全員が言っていました(笑)


カメラを向けた時のポーズは忘れないKelvinくん

しかし!そんな薄汚い心をもった私たちの予想をよそに、彼は夜になるとしっかり自分からお金を返すために連絡を寄越してくれたのです。


ほーーーら、見ろ。と言いたいですが、私も疑っていたわけですから、彼には本当に申し訳ないことをしたな・・と反省です。


驚きはもう一つ。Kelvinくん、なんと私の予想利益よりもかなり稼いでいたのです。

夕方以降、帰宅ラッシュでケーキの売れ行きが良いのを見ると、彼は価格を釣り上げ即完売させてしまったのです。さすが毎日練り歩いているだけあります。マーケットを読む目が鋭い!


彼の商い魂に関心しつつ、私はパンとケーキの原価をKelvinくんから無事回収できたのでした。

ところが!この日、感動はこれだけでは終わりませんでした。





別れ際、手を振る私の手を突然ガシっっと握るKelvinくん!




おやおや、これは予想だにしませんでしたが少女漫画的な展開ですか??!壁ドンきますか??マジか!!!年の差結構あるよ?大丈夫???!おばちゃんそげんことする準備できてないよ?!!きゃーー!(?)と身構える私をよそに、強引な行動とは裏腹に何やらもじもじしているKelvinくん


・・ん?壁ドンでもキスでもないんですね?


頭の上にはてながいっぱいの私に彼は言いました。


「今日ゆかは僕のところに来るために、何回も往復してくれただろ。だから、これは交通費だよ。全然足りないと思うけどさ。」


そういって、彼は私の手に金を握らせました

数秒たってやっと理解した私の目からは、温かい汗が溢れて頰をつたいました。




彼が私にくれたのは2,000Tsh(日本円で約100円)。彼にとっては晩御飯1食分です。


壁ドンでもキスでもなかったことはこの際どうでもよくて、私は彼の善意を前に言葉を失って途方にくれました。ぐしゃぐしゃになった2,000Tshを握りしめて。


「なんで泣いてんだよ〜」とオロオロするKelvinくんを前に、たくさんの人が行き交う道端で、私は泣きながらただひたすら「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返したのでした・・。


高層ビルが少ないため、夕方になると夕日が綺麗に見えます。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。

君のためにわたし、頑張るよ。と誓った夜の小話でした。



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