▼はじめに
パートナー(草野史)とわたし(小檜山想)が、酒場「はるや」を始めて7年余り。
これまでに接したお客さんの数は、延べにすると万単位になるでしょう。お客さんの出身地はさまざまで、47都道府県は勢ぞろい(ラストの登場は、佐賀県でした。ちなみに、46番目は山梨県。近いのに……)、海外の方もちらほらいらっしゃいます。
店で語られる話の多くはその場限りの無駄話で、蒸し返すのは野暮かもしれません。でも、ときに、「このまま流してしまうのはもったいない」と思うほど盛り上がるゴールデンタイムがやってきます。
本プロジェクトは、「この一瞬のシーンを生かしたい」という思いから出発しました。
▼どうして「いたずら」なのか
はるやだけのことではないでしょうが、人気テレビドラマや映画、スポーツや時事ネタは趣味が合う同士で盛り上がります。プライベート関連では、自慢話よりも断然に失敗談。各地方の方言や郷土料理、母校の校則も酒場での鉄板ネタです。
共通しているのは、聞く側が同意や突っ込み、自分の体験談を表明しやすい身近で軽い話題で、いたずらもにわかに場が活気づくテーマのひとつです。
ただし、「いたずら」というと、一般的にはマイナスイメージがつきまといます。
それもそのはず、効率や生産性を重視する尺度で計れば、まったくもって無駄なこと。あえて行う必要はまったくなくて、やったら怒られるような行為です。
でも、そんなことは重々承知している大の大人たちが、まるで武勇伝のように「それやった、あれもやった、これやった」と嬉々として語る姿を見ていると、「無駄も悪くないな」と思えてくるのです。
2018年9月にお客さん数人との間で出版計画が持ち上がったとき、まっさきに浮かんだのが本書の企画です。
お客さんの体験談を集めて『いたずら事典』を作ろう!
いたずらの実体験集は、内輪ウケの小さな枠を超えてある種の普遍性を帯びるはずです。自信の根拠は、いたずらについてあれこれ語リ合うときに浮かぶ、「あの頃は楽しかったなあ」というお客さんたちのノスタルジックな表情です。そして、「あの頃」とは、誰もが通り過ぎてきた時間なのです。
それから本格的ないたずら体験の収集作業が始まりました。
集めだしてみると、ことのほか楽しい。それは、ほとんどすべての事例が悪意ではなく、「好奇心」や「無邪気さ」に端を発していることに気づいたからです。
体験談のなかには、人や社会に迷惑をかけたり、生き物や環境にダメージを与えるものがままあります。それは断じて許せませんが、一方でついにやにやしてしまう自分がいます。この不思議な感覚を、ぜひ多くの人と共有したい。書籍化する意欲も、日に日に増してきました。
▼なぜクラウドファンディングなのか
第一の理由は、本を作る意欲はあっても資金が足らないこと。
でも本は出したい。そこで、<会社組織でもない個人事業主が経営する市井の飲み屋が、店での雑談をベースにした書籍を作ること>に賛同してくれる人がいるのではないか、と思った次第です。
いたずらという無意味の権化みたいな事柄をテーマにしながら「意義」を語るのは、おこがましいですが、放っておいたらこの世から無くなってしまいそうないたずらについての記録を残すことにも少なからず意義を感じています。
なお、取材したお客さんは、ほぼすべてが昭和時代の後半30年間に生まれた世代(※)で、8~9割が男性でした。偏った編成ですが、昭和セカンドハーフ世代のノスタルジーが満載の、ありそうで今までなかった『いたずら事典』を、どうぞよろしくお願いします。
※初代iMac発売は1998年(平成10年)。パソコン普及率が50%を超えたのは2001年。つまり、デジタル情報が行き交う前に子ども時代を過ごしたアナログ世代です。
▼書籍の概要
ひとつのいたずら事例で1ページ(イラストと本文とマトリックス図)×170本前後。いたずらに関連する事件簿などのコラム×10ページくらいを予定。
判型:A6変型
頁数:192ページ
カラー:モノクロ
初版部数:1500~2000部
刊行:2019年10月予定
販売は、直接販売、Amazon(未定。これから交渉)、一部の書店。
▼取り上げるいたずら事例(「あ~う」まで)
◆相合い傘を描く◆アイマスクに落書きする◆足の裏を蹴ってつんのめさせる◆足を引っかけて転ばす◆アパートの家財道具を運び出す◆アリジゴクの巣穴にアリを落とす◆アリの巣に水を流し込む◆いけないものをコレクションする◆偉人の顔に落書きする◆椅子の上に画びょうを置く◆椅子を引いて転ばす◆偽りの告白をする◆偽りのラブレターを送る◆イヌの尻をくすぐる◆イヌのフンを踏ませる◆居眠り中の生徒を残して外に出る◆ウソの宿題を友人に教える◆占いができると告げて手を取る……などなど。
▼絵柄と本文のサンプル
落書き系 優良印
そこがプライベートな空間ではなくても、隣で眠っている友人は格好の獲物です。たとえば、新幹線や飛行機での長距離移動中。退屈な時間を彩るにはペン一本あれば十分。覚醒した両の眼を描くのが一般的ですが、そこはひと工夫。機上だったら、CAさんに向けてウインクする瞳でも描いて笑いを誘いましょう。
不意打ち系 危険注意
砂浜や校舎の裏手、湿った空き地など、土を掘りやすいロケーションは限られます。しかも、こっそりと採掘して、木の葉や枝、砂や段ボールで巧みに偽装した上で標的を呼び寄せて罠に誘導しなければならない。一連のデリケートな工作が必要なレベルの高いミッションで、成功率は低く、危険も伴うので要注意。
チャレンジ系 犯罪厳禁
同級生のI君は、電車のつり革を集めていましたが、100%犯罪です。本当にいけないものはそっとしておいて、他のものを探しましょう。たとえば、河原の小石や瓶の王冠、おかしのパッケージなど。それは、ガラクタを集める変人というより、プライスレスなものに価値を見出す孤高の収集家です。
イラスト:おおみちりえさん
▼目標金額50万円の使い道について
制作にかかる費用
・デザイン料、イラスト稿料 約50万円
・製本・印刷代 約40~50万円
・書籍コード取得費 8640円
・ノベルティグッズの製作費 5~10万円
・書籍の梱包材費用と郵送代 約9万円(300冊郵送の場合)
・CAMPFIRE手数料(17%)ほか
上記の制作にかかる費用は合計約105~120万円。集まった金額はすべてここに充てます。
もし、目標額以上集まったら……
デザイン料、イラスト稿料の追加支払い、増刷分の印刷代(初版刷り分が売り切れた場合)、第二弾企画の制作費などに充てる予定。
もし、目標額に届かなかったら……
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、不足分を補填して、出版。リターンをお届けいたします。
▼リターンについて
2200円=ベーシックコース
・『いたずら事典(初版本)』1冊
・特製いたずらポストカード2枚(絵柄未定)
3300円=はるやコース(限定30個)
・『いたずら事典(初版本)』1冊
・特製いたずらポストカード2枚(絵柄未定)
・はるや1000円券(※)
※はるやで使える飲食券です(2020年末まで有効)
4400円=グッズコース
・『いたずら事典(初版本)』1冊
・特製いたずらポストカード2枚(絵柄未定)
・特製いたずらトートバッグ(※)
※イラスト事例のひとつ(未定)をプリントしたコットン製のトートバックです。
4400円=クレジットコース
・『いたずら事典(初版本)』1冊
・特製いたずらポストカード2枚
・完成した本の中にお名前を記載(※)
※支援時、必ず備考欄にご希望のお名前をご記入ください。 記入のない場合はCAMPFIREのユーザー名を掲載いたします。ご了承ください。
6600円=フルコース
・『いたずら事典(初版本)』1冊
・特製いたずらポストカード2枚(絵柄未定)
・特製いたずらトートバッグ(※)
・完成した本の中にお名前を記載(※)
※イラスト事例のひとつ(未定)をプリントしたコットン製のトートバックです。
※支援時、必ず備考欄にご希望のお名前をご記入ください。 記入のない場合はCAMPFIREのユーザー名を掲載いたします。ご了承ください。
書籍等のお届けは刊行(2019年10月予定)後。増刷の予定は立てられませんが、万が一、何かの拍子で本書が売れて版を重ねると、協力者のもとには貴重な初版本が残ります。
1万1100円=スペシャルコース(限定10個)
・『いたずら事典(初版本)』1冊
・特製いたずらポストカード2枚(絵柄未定)
・おおみちりえさんが描くカラー似顔絵(※)
※似顔絵をデータで差し上げます(送っていただく顔写真データをもとに、おおみちさんが似顔絵を描きます。完成後、作品データをお送りします)。作品のお届けは11月予定です。
2万2200円=プレミアムコース(限定10個)
・『いたずら事典(初版本)』1冊
・特製いたずらポストカード2枚(絵柄未定)
・おおみちりえさんが描くカラー似顔絵&コラージュ作品(※)
※似顔絵を描き、さらに、その似顔絵をお好みのいたずら事例のイラストにはめ込んで世界にひとつだけの作品(モノクロ)に仕上げます(書籍刊行~郵送後、ご希望の事例をメールでお聞きします。お答えと合わせて顔写真データを送っていただきます。完成後、作品データをお送りします)。作品のお届けは12月予定です。
▼関係者プロフィール
文責、プロジェクト代表者:小檜山想(こひやまそう)写真左
プロジェクトメンバー
武田敏則(たけだとしのり)1970年、東京都北区生まれ。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒。グラフィックデザイナー、情報誌の広告制作などを経て独立。紆余曲折を経てライター専業に。取材人数は推定4000名を超える。『いたずら事典』では、いたずらの収集とコラムなどを担当。普段は客として呑み締役に徹する。
https://www.facebook.com/toshinori.takeda
プロジェクトメンバー
草野史(くさのふみ)長崎県雲仙市生まれ。慶応大学商学部卒。映像制作会社社員、雑誌『ダカーポ』のフリーライターなどを経て、2011年にはるやをオープン。『いたずら事典』では、いたずらの収集と校正などを担当する。はるやでの主な仕事は、調理と接客。趣味は、ラクビーや野球観戦(横浜ベイスターズファン)。
https://www.facebook.com/fumi.kusano
イラストレーション
おおみちりえ。石川県白山市生まれ。元漫画家志望、現料理人。友人の紹介で本プロジェクトを知り、一念発起。『いたずら事典』の全イラストとタイトル字などを担当。本書が実質的なデビュー作となる。尊敬する漫画家は、諸星大二郎。座右の銘は、大器晩成。
https://www.instagram.com/rieoomichi/
はるや
東急目黒線「武蔵小山」駅近くで営む小さな酒場(約5坪にカウンターのみ8席)です。オープンは、2011年9月。よろしくお願いします。
飲み物メニュー:ビール、日本酒、焼酎、ハイボール、レモンサワー、コーヒーなど
おつまみメニュー:チーズのみそ漬け、たまご焼き、オムライス、ホットサンドなど
住所:目黒区目黒本町3‐4-8
営業時間:17時~24時頃
定休日:日曜日(月曜日が休日の場合は、月曜日)
https://www.facebook.com/haruya.musashikoyama
https://www.instagram.com/haruya.musashikoyama/
最新の活動報告
もっと見る「第11週目のご報告」残すところ、あと6日!
2019/05/13 17:4380日間の募集期間が終わろうとしています。半信半疑で始まったクラウドファンティングですが、目標額は早々に達成して、これまでに78人の方々から支援していただきました。日頃は、「感謝」などめったにしない傲慢なわたしですが、今回ばかりは数十年分の感謝の念があふれだしました。本当に、ありがとうございました。さて、制作の方は、イラストの清書中で168点のうち半分が終わりました。このペースでいけば、7月下旬にはすべてのイラストが完成して、すでにできあがっている原稿とともにブックデザイナーの手に渡る予定です。こちら側の作業としては、リターンのノベルティグッズ(ポストカード、トートバッグ)の発注、取次会社との契約、ISBNの書籍番号の取得、ネット販売の準備、印刷会社との折衝など。けっこう忙しい夏になりそうです。皆さまにおかれましては、すぐそこに控えるきびしい夏を快適に乗り越えられますように。そして、秋の『いたずら事典』刊行をお楽しみに。今回のビジュアルは、 あいうえお順に並ぶいたずら事例の一番手、【相合い傘を描く】 。本文も合わせてどうぞ。ちなみに、イラストの「ぜいいん」の誤字はわざとだそうです。【相合い傘を描く】落書き系黒板にあやしい2人の名を記したり、日直当番2人の上に描く。また、橋げたや公園の壁面に自分と好きな人の名を並べ、そこには百恵やひろみといったアイドルも登場します。さて、それでも年頃になって、晴れて(というか雨降って)相合い傘をできるようになると、「気を遣うし、濡れるからイヤ」と敬遠します。難しさ度……★ユーモア度…★★★★許され度……★★★リピート度…★★★★サスペンス…★★ もっと見る
「第10週目のご報告」残り10日余り!
2019/05/05 14:02募集期限は、5月19日(日)まで。あと、10日ちょっとになりました。おかげさまで早々に目標額は達成しましたが、制作費は100万円強かかります。みなさんのお知り合いにひと声かけていただければ、幸いです。さて、今回の「初めて知った出版事情」は町の本屋さんについて。書店の数は年々減る一方で、現在は全国に<8800店>ほど。いまいちピンときませんが、「コンビニ=5万8000店」「ドラッグストア=1万5000店」「パチンコ=1万店」などが書店より多く、書店数より少ないのは「文房具店=7200店」「銭湯=3900店」「映画館のスクリーン数=3500幕」「マクドナルド=2900店」といった感じです。大手チェーン店はともかく、町の本屋さんは次々とつぶれています。それは、本が売れなくなって(雑誌はコンビニで買えるし)、「薄利多売」のビジネスモデルが成り立たなくなったからでしょう。実際、書籍・雑誌の売り上げは1996年(2兆6500億円)をピークに下がり続け、2018年分は当時の半分以下になって1975年の売り上げレベルになるそうです。町の本屋を助けるために、書店の粗利を増やして「厚利」を確保しようという動きがあります。現在は、小出版社刊の定価1000円の書籍の配分は、ざっくり、<出版社=630円、取次=150円、書店=220円>ですが、書店の取り分を300円以上にする。実際、以前に取り上げた取次会社トランスビューは書店の取り分3割を実行しています(一方、アマゾンは出版社との「直取引=返品あり」で取り分3~4割で大繁盛中、年内には「買い切り方式=返品なし」を試験的に開始します)。この動きが全出版業界的に広がればいいのですが、基本的に「書店の取り分増=出版社・取次の取り分減(あるいは、本の価格に上乗せ)」になるのでままなりません。町の本屋さんの運命やいかに。今回のビジュアルは、【ティッシュペーパーを引っ張り出す】。現代人の誕生以来、もっとも原初的ないたずらのひとつで、トートバッグ絵柄の最有力候補になっています。 もっと見る
「第8週目のご報告」本をどこで売るか
2019/04/22 14:10みなさんはどこで本を買っていますか?わたしの場合は、「6~7割はアマゾン、残りを渋谷付近の大型書店や地元の本屋さん」という割合ですが、お客さんに聞くと、電子書籍100%派もいれば、ブックオフの古本だけというツワモノもいて購入事情はまちまちです。では、出版者(社)側としては、どこで買ってもらうのがいいのか? 以下は、定価1000円の書籍が1冊売れたときに、出版者(社)にどれだけ入るかを表したものです。1000円……手売り(出版社から直接、買い手に販売)950円……自社のサイトで販売(ストアーズなどの決済サイトを5%の手数料を支払って利用。ほかに、送料を自社、あるいは買い手負担)700円……自社から書店に直販売(ほかに、送料自社負担)約650円……取次経由で書店へ卸して販売(卸率は62~68%といわれています)600円……アマゾンなど通販サイトにお任せ(アマゾンの場合は、e託販売サービス利用で年会費9000円。ほかに、送料自社負担)買う側から売る側に立場が変わると、新たな面が気になります。しかし、これほど差が出るとは。既存のミニ出版社が、どんなルートで売っているのかを調べると、取次を通さずに本屋さんに直で卸しているところもあれば、取次を通して書店に卸しつつ自社サイトでWeb販売していたり、Web販売にはアマゾンなど大手通販を入れたり入れなかったりと多彩です。さて、はるや出版はどうするか? 悩みの種がまた増えました。今回のビジュアルは、【ピンポンダッシュをする】。都市部では定番中の定番いたずらです。 もっと見る
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