悩みの種がもうひとつ。
本は誰でも作れるし、ISBNコードを取得すれば流通させて販売もできると、「第4週目のご報告」で触れました。ただし、実際問題として、全国の書店に『いたずら事典』を届けるには、納品や決済などに関する取次業務が必須です(もちろん、運送業者の助けも!)。
取次の仕事を人に頼らずに、われわれが各書店と直に取引する道もありますが、飲み屋業務と並行して行うにはきつそうで、しかし、大手の取次会社は飲み屋の出版者や新興小規模出版社など相手にしてくれません。
それでも、いくつかの中堅取次会社はミニ出版社に対応してくれます。
そのひとつが、株式会社トランスビュー。書籍を刊行する出版社として全国の書店と直に取引しながら、ほかの出版社の「取引代行」を行っている会社で、先週、さっそくトランスビューに話を聞きに伺いました。
同社が続けている「トランスビュー方式」と呼ばれるスタイルについては、『まっ直ぐに本を売る―ラディカルな出版「直取引」の方法』石橋毅史著(苦楽堂)という本に詳しいですが、わたしが思うところ、とくに2つの点に惹かれます。
ひとつは「注文販売」という書店の注文受けて納品する仕組みです。
流通に関しては、返品を前提とした「委託販売」方式のもと、大手取次が勝手に(といっても緻密なデータをもとにして)書店に配本する「見計らい配本」が主流ですが、似たような品揃えの書店が多くなるとか、返品率が高くなるといった弊害が指摘されています。
トランスビュー方式は、注文がなければ動かざるは山のごとし。営業はDMなどだけで、書店サイドからのリクエストがあってはじめてビジネスがスタートします。書店は売りたい本を売る、出版者(社)は書店が売りたくなるような本を作る。とてもまっとうな考え方だと思います。もうひとつは、トランスビュー方式では書店の利益が30%確保されること。定価1000円の書籍を1冊売ったら、書店には300円。大手取次経由だと約21~23%(210~230円)しか利益を得られないことを考えると、太っ腹です。
年に1冊出版するかしないかという弱小のわれわれにとっては、トランスビューはちょっと敷居が高いような気もしないこともなく、他社さんにも話をお聞きしてもうしばらくは悩みたいと思います。
今週のビジュアルは【テレクラで男を呼び出す】。多くの元女子生徒が手を染めていたいたずらでした。