展覧会キュレーターの小倉ヒラクです。
渋谷ヒカリエ"Fermentation Tourism Nippon"展、いよいよ明日開催です。
そして展覧会を海外発信するためのクラファンも最終日です。
一人でも多くの方に支援してもらうべく、改めてこの企画の意義をお伝えします。
発酵文化は、日本で生きた人々の記憶の方舟。
海、山、街、島。日本の各地に受け継がれた多種多様な発酵文化。穀物にカビをつけ、杉と竹でつくった巨大な桶で穀物を酒や調味料に醸し、それを船に載せて日本列島、朝鮮半島や中国にまで運んでいく。
山に囲まれた集落、断崖絶壁の孤島、都から落ち延びてきた一族が逃げ込んだ辺境。外から何も持ってこれない環境で、限られた資源を加工して生き延びていく。
発酵文化を紐解くということは、日本に生きる人々の歴史を辿るということ。
生き延びる知恵を、見えない生命・微生物に学び、コミュニティをつくり、文化をつくってきた。
厳しい制限のなかで紡がれてきた驚くべき多様性と創造性。
これをみんなに伝えること。僕が今回の展覧会でやりたかったこと、もっと言えば、全国で出会った人々から託されたバトンです。
きっかけは展覧会の事務局長、D&DEPARTEMENT黒江美穂さんとの出会いでした。
最初は二人から。そして一年半が経ち、1000人をはるかに超える人達に応援してもらって、大きなスケールの展覧会を開催するところまで辿り着きました。
ただいま絶賛設営中でヘロヘロなのですが、皆さまに「もう一つの日本の姿」をお見せすることができる実感が湧いてきています。
僕たち一人ひとりの中に流れている、見えない物語。
自分の生まれた土地に眠っている、暮らしの記憶。
展示を見ながら、本を読みながらどうぞ自分に問いかけてみてください。
発酵は、記憶の方舟。そして未来に漕ぎ出すための船。
未来への船出にどうぞ立ち会ってください。
小倉ヒラクより
(あ、クラウドファンディングの支援お願いします…!なにとぞ…!)