オランダの調査報道NPO『Lighthouse Reports』の記事を公開しました。
複雑に絡み合う社会で、より良い意思決定を支えるには?オランダ調査報道NPOの事例から考える
2019年にSVDJ(ジャーナリズム振興基金)を取材した際、ディレクターのZanten氏は、注力する領域として「調査報道」を挙げていました。実際にSVDJは2018年から調査報道に特化した財政支援プログラムを立ち上げています。
Lighthouse Reportsは、そうした調査報道領域で近年大きく飛躍しているNPOです。記事にも書いた通り、難民問題や移民労働者問題について、世論や政治に影響を与える報道を担っています。
「『BORDERS NEWSROOM』では、欧州の難民や移民に対する暴力の実態を追い続けてきた。2020年10月には、欧州の国境監視を担う警備機関『FRONTEX』が、エーゲ海でギリシャに入国しようとする移民を押し戻している実態を報じている。
報道には、Lighthouse Reportsだけでなく、『Der Spiegel』や英国の調査報道NPO『Bellingcat』、ドイツの公共放送連盟『ARD』、テレビ朝日も携わった。報道の結果、2021年1月には欧州不正対策局がFrontexの調査に乗り出すにいたった」
こうした調査報道を誰が担っていくのかは欧州においても重要な課題です。電話取材にて、『Lighthouse Reports』のディレクターHowden氏は「Specialist Journalistsが減少し、彼らの経験やナレッジにアクセスする機会が減っている」と指摘していました。
あまり馴染みのない言葉でしたが、Specialist Journalistsとは政治やビジネス、環境など特定の分野で、ファクトにもとづく深い調査、分析、考察による記事を書く記者を指すそうです。数年前よりメディアの経営状況の悪化などによる人員削減が懸念されてきました。
最後の段落にも書きましたが、日本において調査報道をどのように支えていくかは、議論すべき問いだと思っています。ぜひお時間のあるときに読んでいただき、皆さんのお話もお伺いできたら嬉しいです。
現在、オランダのメディアリテラシーモデル、インターセクショナルフェミニズムを掲げるメディアについての記事を制作しています。またぜひお会いしましょう。
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