「72年前に、主を亡くしたピアノがあります。主の名前は河本明子さん」
2年前、このナレーションで始まる映像作品「ショパンを愛したピアノ」を制作したのは牛田中PC放送部のみなさん。主人公は、今回私たちが船に乗せて旅をする「明子さんのピアノ」です。
明子さんの生い立ち、残された日記に書かれた言葉に加え、修復に関わった調律師の坂井原浩さんやピアノを受け継いだ二口とみゑさんへのインタビューは、明子さん本人、そしてピアノを取り巻く人々の優しいまなざしを表現しています。
https://www.youtube.com/watch?v=0FXZuj1oSys&feature=youtu.be
5月16日、牛田中PC放送部の顧問、熊谷先生を訪ね、お話をうかがいました。
「明子さんのピアノ」が初めて牛田中学校を訪れたのは数年前。学校のPTC(保護者のみなさんとともに行う行事)で「明子さんのピアノ」を招き、その会で放送部のみなさんが司会を担当しました。合唱や合奏を通して、心温まる行事となり、生徒たちの心に残り、それがきっかけとなって映像制作にいたったそうです。放送部顧問の熊谷先生から、「明子さんのピアノ」を取材していたときの生徒たちの様子、「明子さんのピアノ」の魅力について聞いてみました。
証言の「継承」は、難しく複雑なことと議論されることがあります。けれど、被爆遺品に出会い、その物語に心を打たれ、それぞれの方法で伝えていこうと行動する。作業する過程で、74年前を生きていた人々の生活や気持ちを想像し、共有し、周りの人たちにも想像するきっかけを与えてくれる。広島の中高生のみなさんに教えてもらうことは、数え切れないほどです。広島での演奏会では、こういった若いみなさんの参加も予定されています。(2019/5/22 松村真澄)