ウラジオストック、小樽、釧路、室蘭で演奏する、香田早智さん(バイオリン)を紹介します。
北海道では毎夏、札幌市を拠点に、パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)が行われます。世界中から集まった100人以上の若い音楽家が共同で生活し、オーケストラ/室内楽活動を通して音楽性を養い、感動のステージを繰り広げています。1990年、音楽教育の力を入れていた作曲家で指揮者である、故レナード・バーンスタイン氏が提唱したもので、今年で30周年を迎えます。
香田さん:「私は昨年のPMF広島公演で、初めて広島に行きました。日本人として、いつか必ず行きたいと思っていた場所に訪れることができて、とても良い経験となりました。PMFのアカデミー生たちと広島平和記念公園、資料館へ行き、被爆者の方のお話を聞くこともできました。
たくさんの資料を見学し、証言を聞き、言葉にならない気持ちになりながらも、日本人、人間として知らなくてはいけないことだと改めて強く実感しました。
自由時間に、韓国人のアカデミー生と原爆ドームを見学しに行きました。彼女が、『とても悲しい』と言っていたのが今でも印象的で、覚えています。国境を超え、同じ気持ちになることができる、という事がどれほど大切なことか、と思います」
「フェニックスホール」での演奏を経験した香田さんは、こう続けます。
「広島の方々、観客の皆さんが熱い拍手を送ってくださったこと、とても嬉しかったです。世界中の方と会えること、そして私たち音楽家は音楽を通して1つになることができることは決して当たり前ではないこと。これからの未来も続いてほしいです」
PMF開催中は、中国、韓国、日本、アメリカから来た音楽家で構成されたカルテットや、ロシアとポーランドの音楽家が隣り合って演奏するのを目の当たりにします。ある時代では想像できなかったであろう組み合わせのハーモニーは、一段と深く美しく感じられます。
パルチコフ先生の楽器を弾く想いも語ってくれました。
「貴重な『パルチコフ先生の被爆ヴァイオリン』を演奏させていただけることを、ヴァイオリニストとしてとても光栄に思うと同時に、とても緊張します。このヴァイオリンが、今までに何人もの人に音楽の素晴らしさを伝え、時代を生き抜いたのか。私はまだまだ未知なる世界です。パルチコフ先生のヴァイオリンの音の魅力、生き抜いた強さなどを私自身が感じ、1人でも多くの方と共有できたらと思っています」
香田さんは、金沢から乗船し、パルチコフ先生の懐かしい土地、ウラジオストックに向かいます。そこで出会うロシア人音楽家らとともに演奏したあと、ご自身の故郷である北海道の港でロシア人ピアニストと共演予定です。夏休み最後を迎える北海道の子どもたちの合唱との共演も予定されています。どうぞお楽しみに。
現在、小樽での演奏会お申し込みを受け付けています。
こちらから https://peaceboat.org/29006.html