これは藍子さんから聞いた、藍が究極のエコだというお話。
江戸時代の参勤交代は、それこそ長きに渡る時間を単身赴任しなければならない。特に、身の回りの世話をする人がいない下級武士は、この貸しフンドシをよく使ったそうな。下級とはいえ武士は武士、自分で下着を洗濯するなど武士の沽券にかかわる!と、以ての外。このリース業、中々良いビジネスだったらしい。
さて、使い古された貸しフンドシは、別の業者に下取りに出され、それらは藍に染められ、野良着になったり赤ちゃんのオムツになったりした。藍は繊維を強くするだけでなく、防菌防虫の効果がある。古くはマムシよけになるともされていたのだ。こうやって継ぎ当てされたり刺し子をしたりで使い倒された藍染めの布は、またしても別の業者に下取りに出される。
そこでは、その布を臼にいれてつくらしい。ついているうちに繊維と藍の粒子に分かれてきて、繊維はボロ屋が引き取り、紙の屑と混ぜてちり紙や落とし紙として使われた。藍の粒子はニカワと混ぜて藍棒となり、絵の具として使われた。そう。藍は究極のエコ。SDG、エシカルファッションを地で行っているのだ。
では何故本藍が風前のともし火なのか。簡単に言ってしまえば、蓼農家さんも、スクモ職人さんも、藍を建てる職人さんも、みんな重労働で大変なのである。でも、だからこそ本藍で染めた生地を触ると、発酵菌のエネルギーを感じる。夏涼しくて冬暖かい。そして色の美しさにため息が出る。
実際藍の生地を肌身につけて感動し、蓼を栽培し始めた方もいる。新たに本藍の会社を始めた若者たちもいる。みんなが安くて便利な物から、少しだけ意識を「地球に優しく」と向けていくだけで、随分と色々な事が変わって行くのではないだろうか。藍はその尖端にいると私は思っている。
クラウドファンディング、あと2日となりました。どうぞ最後までお付き合いください。