2019/06/13 08:00

こんにちは。


背番号5番、船越絵里子と申します。


私は生まれつき耳が聞こえません。


幼稚園から大学まで一般の学校で過ごしてきました。


あれっ、今までの私では周囲の人達の会話についていけない…


そんな不便さに気づいたのは、小学校6年生の頃です。


それまでは天真爛漫な性格で、体を動かすのが好きで不憫なことを思うことなく生きていました。


幼少の頃から水泳、バレーボール、バスケットボール、陸上(円盤投げ、砲丸投げ)…と様々なスポーツを経験してきましたが、なかでもサッカーが楽しく、小学生のときは近所に住むお兄ちゃん達に混じって日が暮れるまでボールを蹴っていました。(ちょうどこの頃にJリーグが発足しました)。


中学生になってもサッカーをしたい。


そう思っていたのですが、当時は学校に女子サッカークラブがなく、地域のクラブも僅か…という時代でした。


そのため中学、高校はサッカー以外のスポーツに取り組んでいました。


そして19歳の時、「つい最近、聴覚障がい者だけで構成された女子フットサルチームが立ち上げられた」という情報を思いがけず得ました。


それが『LIBERDADE (リベルダージ)』というチームです。


しかしながら、当時の私は手話をドラマでしか見たことがなく、私と同じ障がいを持った人達とコミュニケーションを取ることができるのだろうか…と不安に思っていました。


実際に見学に行ってみたところ、自分が今まで生きてきた世界とは違う…という複雑な気持ちにかられ、チームに入ることに対して躊躇してしまいました(こういう経験をしている人は多いと思います)。


幸い、口話法(口の動きの形を見て読み取りながらコミュニケーションをとる方法)もできるメンバーが多く、過去にデフフットサル女子日本代表チームのメンバーの一員として共に闘ったことがあるチャフ(高橋縁さん)に何度も声をかけていただき、チームに入ることになりました。


健聴者の世界では、話されている相手の口の動きをじーっと見つめなければならず、またなんとか聴き取ることができた言葉(単語)を自分なりに繋げてこんなお話をしているのかなと憶測でしか理解できず、神経を使ってしまいます。


一方、目で見える手話は気楽に会話を読み取ることができ、確実な文章として自分の目(私の耳は目です)に入ってきます。


そんな手話の便利さを学びながらフットサルにも取り組み、手話を使ってのコミュニケーションが徐々に楽しくなっていきました。


ところが残念なことに約3年ほどで『LIBERDADE』は解散してしまいました。それでも最後には兵庫県リーグ2部で準優勝を果たすことができ良い想い出となっています。


その後、兵庫県リーグで対戦相手チームにいた友人を通じて、健聴者のチームに所属させていただくことになりました。


社会人となり、兵庫県選抜選手の一員としての経験やチームの再編を経てフットサルを続けていく中、20代後半に入ると残業が増え、思うようにトレーニングや練習に参加できなくなりました。またしばらくして最後に属したチームが解散となり、それを機に女子フットサル界から離れました(その後に女子版の関西リーグ、日本リーグが設立されました)。


今から約一年半前に出産を経て体質が変わり、また体調不良も重なり…思うように動けずもどかしい気持ちになる時もあります。それでも小さい時の夢だった“スポーツ選手になりたい”という想いは変わらず、デフフットサル日本代表選手としてチャンスをいただける限り挑戦し続けたいと思い、今に至ります。


すでに公表されている通り、選手・スタッフは強化活動費や遠征費などの資金を自己負担で賄っています。資金を工面できず、四苦八苦している方もいます。


引き続き、デフフットサル日本代表チームにお力添えいただければ幸いです。


よろしくお願いいたします。