TVと映画は全くの別物である。優劣ではなく、ただただ別物なのだ。
しかし、一見すると両者は同じ(ように見える)映像で語られているため、
同じ文脈で語られがちである。
僕はどちらの仕事もさせていただいたことがあり、
その時々にやりがいを持ってやらせていただいた。
どちらの魅力も体で理解しているつもりだ。
以前、TV番組の30秒番宣を作る機会があり、映画にかぶれていた僕は、
30秒ワンカットの番宣を作った。番組本編ではなかったので、
たまたましっかりプレビューされず、それがそのままオンエアされた。
結果、酷評の嵐で干されかけた。
実際オンエアされた番宣を見ると、なるほど、テンポの良い番組に挟まれ、
とても貧相に見えた。テンポ良くつなぎ、分かりやすくナレーションを入れるのが
良い編集で、茶の間を飽きさせないのがTVの至上命題なのだ。
しかし、映画は違う。もちろん、そうしても良い(そのような演出意図であれば)。
でも、テンポが悪くて分かりにくくても、ナレーションがなくても映画は良いのだ。
なぜ良いか...それは無数にある古今東西の素晴らしい映画を観まくって、
その人なりの映画観を確立するしかない。
映画を観て安易に「分からない」と言う人には、
とりあえずタルコフスキーやカサヴェテスを観なはれ、と言いたい。
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映画「人情噺の福団治」九州先行公開情報
○KBCシネマ(福岡県)11/5(土)〜
○別府ブルーバード劇場(大分県)11/12(土)〜
○ガーデンズシネマ(鹿児島県)2017年1/2(月)〜
※海外映画祭へのエントリーも続けています(写真)
監督・伊藤有紀