2019/12/06 15:00

 次に「劇場版うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(1984)を見てみよう。

 この作品は元となる原作漫画やTVアニメ版があって、あえてその世界から逸脱するという造りになっている(ぶっちゃけ日常世界/夢の世界なのだが、オリジナルのアラ等をネタにしてる辺りこーゆー言い方ができると思う)。そこで“元の世界”を加えて図式化すると、『マブラヴ』と似たような図を作ることができる。「うる星」の“元の世界”は「マブラヴ エクストラ」(「エクストラ」は「うる星」の日常および劇場版第一作に相当する。先述の『マブラヴ』のあらすじを読んでピンときた向きもいるかもしれないが詳細は後日)、ほぼ全編がラムの夢である映画のうち前半の“終わらない学園祭前日”が「アンリミテッド」、この奇怪な“無限ループ”世界から抜け出そうと奔走する諸星あたるを描く映画終盤が「オルタネイティヴ」に相当すると考えられる。「B・D」の“ループ”を生み出すのは実世界(“元の世界”)で眠っているラム(実際に夢を制作するのは夢邪鬼と名乗る妖怪だが、彼はラムの望みどおりに作っている)であり、“学園祭前日”のあいだ中しばしばラムの望みどおりの現象(ループの変化)が起きている。「オルタ」の純夏は全く不本意な状態での“眠り姫”ではあるが世界をその無意識領域の欲望で操る“ビューティフル・ドリーマー”ということになる。「B・D」の影響力は極めて大きく、例えば「新世紀エヴァンゲリオン」のTV版は第壱話から「B・D」との共通点に満ちており、今後もループ世界としての続編が作られていくことだろう(「エヴァ」の眠り姫は誰だろう?シンジの母ユイだろうか)。


 「うる星」引用のサインはずばり「マブラヴ」というタイトルである。これは直接的には都築俊彦・著「まぶらほ」シリーズ(2000-11)に繋がるのだが、「まぶらほ」が「うる星」をはじめとする“るーみっく・わーるど”のパロディになっていることを鑑みれば少々迂遠ではあるがこれが「うる星」引用のサインと見做すことができる。