数日前、ネットメディアの取材を受けたとき発明について訊かれたから発明のおもしろさ大変な点を書いて参考にしてもらえたら
【一攫千金?】昨年フジテレビのインタビューで「目標は?」と何度も訊かれた。求める答えは「1億」だろう。発明と言えば「一攫千金」の言葉があって実際に億単位のお金を得た発明家は身近にたくさんいます。たくさんといっても知る限りでは10人ほど。
所属する発明学会にはメディア取材が多く、会員はテレビにもよく出ます。
☆テレビ東京「L4YOUプラス」の録画映像をスマホで撮影。美肌湯パックの使い方を一般社団法人発明学会中本会長をモデルにデモ。手の甲の白いものは泡パックでパックについて説明した後美肌湯パックを説明したもの。
☆メディア紹介
フジテレビ・みんなのニュース 日本テレビ・ヒルナンデス
テレビ東京・L4YOUプラス コロンブス 健康・美容ジャーナル
そういうお金の話ではなく、一つのモノが頭にイメージされてからお店に並ぶまでの経緯についてです。具体的に一つの商品を例にするほうが分かりやすいでしょうからここでは自分の発明品「美肌湯パック」について書きます。
【エステに行きたいなあ!】その日お風呂に入っているときエステに「行きたいなあ!」と思ったのが始まりです。浴槽に浸かってです。エステの蒸しタオル、スチームタオルの気持よさが思い浮かんだのでした。私の知るフェイシャルエステでは施術中に6本、8本といった数のフェイスタオルによる蒸しタオル(スチームタオル)をつかいます。クレンジング洗顔のあと、マッサージのあと、パックのあとというようにステップごとに化粧料を落とす目的で何度もです。くびや胸にもスチームタオルが置かれ、その気持よさを体が覚えています。施術中は機器からのスチームが当てられてエステティシャンの掌の抜群の施術についには眠ってしまいます。
【安心なサロンはどこに?】エステティックは美容室のようにどこにでもあるものではない。大手エステサロンは都心にあって料金も高額。小さい店はどこがどんな技術でどんな化粧料で施術しているかわからない。そういう意味では化粧品メーカーの指導でサービスする化粧品店が安心できると考えています。いずれにしても1時間以上身を委ねる(眠って)わけですから、貴重品の管理まで含めて安心できるサロンを選ばなければ危険さえあります。できれば貴重品ロッカーを備えたサロンがいい(いくつか金庫を置けば店側に負担はない)。とにかく信頼できる店を選ぶことがだいじです。整体か何かの治療院でセクハラといった報道もありましたし。
【皮膚トラブル!】エステと言われるサロンはそれほど敷居が高い場所なのです。元化粧品メーカー社員の経験で言えば顔の皮膚は誰でも敏感で超薄です。施術者の技術と皮膚に合った化粧料選びがとても重要。皮膚は一旦トラブルを起こすとなかなか治りにくく、長引きます。先ずはトラブルに遭わないことが第一。以前、美白化粧品で訴訟事件が起きましたが、美白したいからと性急に美白効果の高い化粧品で薬のように治療するのはリスクがあります。あくまでゆっくり、日々の肌に合った方法でなければかえって悪くなる。
【発明のきっかけ】入浴中にエステに行きたくなったのですが前述のように美容室の気軽さで行くサロンが見当たらない。そこでフェイスタオルを横二つ折りにして浴槽の湯で絞り、顔に当ててみました。これが思った以上に悪く「え?!」となったのです。同じタオルだから蒸しタオルぐらいできるだろうと考えたのが間違い。落ちないように頭からおでこに載せたタオルがペロンと落ちて両サイドも開いき、残るは鼻の上の真ん中だけになってしまった。
これにはちょっと自分で驚きました。こんなことになるとは思ってもいませんでしたから。
【気に入らない! 発明のスタート】フェイスタオルでのスチームパックに失敗したので市販のフェイスマスクをネットで購入しました。タオル製だけではなく、種々のシートマスクもです。
★シートマスクの使いにくさというものがあります。シートは当然薄いわけでその上、鼻、目、口に切り込みがあってそれがくっついているから剥がしづらいのです。顔に張り付けるにも引っ張ったり寄せたりめんどくさい。美肌にはお金と手間がかかるなあ!
☆自撮りの醜い写真ですが証拠に。
☆切り込みのないシートに鼻穴を開けて載せてみた。このほうが使いやすい。そもそも皮脂の少ない目の回り、口の周りに穴を開ける必要性はない。むしろ保湿が必要な部位。
取り寄せたフェイスマスクは皮膚感触からフィット感、蒸し効果に疑問があり、満足できない。「気持い~い!」あのエステを夢見る夢子なのに「気持い~い!」リラクゼーションからは程遠い!
これが発明のスタートです。「既存品では気に入らない」
トヨタは「改善」の企業だったと思っています。なにかでそんなことを読んだ。工場の導線やとにかく不都合、効率の悪いことはどんどん「改善」していった。この思想は発明にも当て嵌まる。よく発明学会で例に挙げられる洗濯機のゴミ取りボール、これは洗濯中に出る繊維のゴミが衣服に付着する、それを「これ嫌!」と思った人が現状を「改善」したくて思いついた発明。発明のきっかけはこういった不便を改善したい欲求がスタートです。
★ただ発明はノーベル賞レベルのものがあります。ここでは身近な発明の話に限ります。
【ここから始まる3年間!】
素材を取り寄せる→形状を考える→試作を繰り返す
泉州、今治などからフェイスタオルを取り寄せたり大型店舗の生地屋さんで布を買ったり、肌に気持いい素材を探していきます。その場合、地模様といわれる織柄の凹凸は避ける。毛のように繊維が長すぎてもよくないなど制限事項は増えていきます。
家庭用ミシンも買いました。むかしのミシンや工業用ミシンに比べて不満はありましたが糸を替え、糸色を替え、スカラップなどの手縫いもして試作します。
形を変え、素材を変え、数10種のタオルパックを作り続けて3年、今治タオルメーカーのご協力があって一つの発明品が生まれた次第です。
☆誰でも使いやすい形状にこだわりました。
*意匠登録
☆お肌に触れて良質なものにこだわりました。
*今治タオルブランドネーム
冒頭に触れたネットメディアのインタビュアは訊いてきます。
「なぜ途中で止めなかったのですか」
その質問にはこう答えました。
私は40年以上、小説を書いているが原稿を書き始めて苦しくなると他のテーマやモチーフに替えたくなるときがある。あっちのほうがおもしろそうだ、こっちの題材のほうが受けそうだなどの誘惑がある。そのとき途中で原稿を捨てて新しいモチーフで書き始めてもモノにならない。始めたら仕上げる。仕上げてから次の作品に入る。これがだいじ。だから発明でも放ってしまわず、やり遂げる。その行き着く先はどこかわからないけど、売れないかもしれないけど仕上げてやる。それが発明品への愛。完成したら多くの人に使ってもらい、役に立つこと。これが世に初めて出される発明品の宿命。せつないストーリーなのです。
発明品で役に立たない物はありません。発明家の家の押し入れに眠っていてもそれは種々の理由で使われないだけなのです。多額のお金をかけてテレビ通販に出せば売れるかもしれない。広告を出せば気づいてくれる。そういう場合だってあります。百貨店に出せれば信用されるが個人が百貨店と取引きなど容易ではない。セミナーでは講師が「百貨店に入るにはコネが要る」と言います。
数日前、ヤマダ電機の通販モールに出店しないかと電話がありました。電話での取引は危険があるのでメールをくださいと答えるとメールがきました。こういう場合は怪しい会社はメールを送ってこない。詐欺の大半は電話です。電話なら証拠が残らない、誘導しやすい、詐欺でも引っ掛かりやすい。
メールに添付された資料を見ると信頼できる企業とわかりました。いちど本社を訪問して確認したいとは思いました。自分の眼で確かめる行動。
ただ、いますぐ投資する浮足立ったビジネスはしたくない。趣味から始めた発明にビジネスがついてきた愉しさにリスクを持ちこむ躊躇、不安があるからです。
現在、CAMPFIREクラウドファンディング中です。支援者が一人もなくて恥になるかもしれないというリスクを負って令和の記念に誕生月にスタートしたクラウドファンディングですが、1週間で目標達成、2週間で200%達成のご支援を受けることができました。最終日の11月15日まで令和元年のチャレンジは続きます。
いまはただ感謝あるのみ! 感謝あるばかりです。