2019/09/10 13:41

16日目見聞録

この日もいつぞやの熊本城公園と似た1日を過ごした。

似顔絵を描こうと思うものの、声をかけることに二の足を踏む。

団欒の時間を乱す可能性。

未知の似顔絵師である僕の似顔絵需要への不信。

その結果、足湯に浸かって、読書をしていたら1日が過ぎ去った。

何も行動に移さなければ、何の出会いも無いのだと感じた。

昨日まではヒッチハイカー、今日は名もなき浮浪者。

その晩、鹿児島の分の花火をするべく、近くで花火をする場所を探しに向かった。

あたりは真っ暗で、川も公園も無い。

眠気が僕を容赦なく襲い、たまらず眼前のLAWSON前で三角座りをして寝落ちした。

しばらくして、誰かが僕に声をかけた。

警察だ。

職質をされた。

いずれ週間少年ジャンプで描く漫画家になると決めていて、バイトをしながら漫画を描いている。

経験になればと思って、ヒッチハイクをして全国を廻っている。

似顔絵も各地で描くつもりでいる。

その旨を伝えると、おもむろに2人のうち1人の警察官が、僕を描いてよ、といいはった。

いいのですか?と確認した僕に、個人的なお願いだ。

描いてくれたら、ご飯買ってあげるよ、と言ってくださった。

描いた。

2人の警察の方とLAWSONでお弁当を選ぶことになった。

僕のために、警察官がご飯をご馳走になる未来は、果たして見えたことがあっただろうか。

別れ際、似顔絵を描いてご馳走してくれた方とは別の警察官が、Twitterを教えて欲しいと言った。

僕も喜んで伝えて、たしかにフォローしてもらった。

僕も躊躇いなくフォローを返した。

翌日、フォローを解除されていた。

その後、人通りが全くなかった道路で線香花火だけした。

雨の中、傘をさして。