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16日目見聞録
この日もいつぞやの熊本城公園と似た1日を過ごした。
似顔絵を描こうと思うものの、声をかけることに二の足を踏む。
団欒の時間を乱す可能性。
未知の似顔絵師である僕の似顔絵需要への不信。
その結果、足湯に浸かって、読書をしていたら1日が過ぎ去った。
何も行動に移さなければ、何の出会いも無いのだと感じた。
昨日まではヒッチハイカー、今日は名もなき浮浪者。
その晩、鹿児島の分の花火をするべく、近くで花火をする場所を探しに向かった。
あたりは真っ暗で、川も公園も無い。
眠気が僕を容赦なく襲い、たまらず眼前のLAWSON前で三角座りをして寝落ちした。
しばらくして、誰かが僕に声をかけた。
警察だ。
職質をされた。
いずれ週間少年ジャンプで描く漫画家になると決めていて、バイトをしながら漫画を描いている。
経験になればと思って、ヒッチハイクをして全国を廻っている。
似顔絵も各地で描くつもりでいる。
その旨を伝えると、おもむろに2人のうち1人の警察官が、僕を描いてよ、といいはった。
いいのですか?と確認した僕に、個人的なお願いだ。
描いてくれたら、ご飯買ってあげるよ、と言ってくださった。
描いた。
2人の警察の方とLAWSONでお弁当を選ぶことになった。
僕のために、警察官がご飯をご馳走になる未来は、果たして見えたことがあっただろうか。
別れ際、似顔絵を描いてご馳走してくれた方とは別の警察官が、Twitterを教えて欲しいと言った。
僕も喜んで伝えて、たしかにフォローしてもらった。
僕も躊躇いなくフォローを返した。
翌日、フォローを解除されていた。
その後、人通りが全くなかった道路で線香花火だけした。
雨の中、傘をさして。