黄金に至るまでのシナリオについて。
読みたい人が居るのかと頭をよぎりましたが、この映画のことを知ってもらう一助になれば、と思いここに記します。
2015年、シナリオ作家協会の講座にて、私は今井雅子先生(近作は「嘘八百「京都ロワイヤル」 」!)、阿相クミコ先生(近作は連続ドラマ「ヤヌスの鏡」 )のもと受講者3.4人という贅沢な環境の中、シナリオを学びました。本当に親身かつ実りある講座の中、シナリオをやり始めると、その深淵に戦慄しました。こんな大変な仕事、生半可な気持ちでは出来ない!という気持ちと、技術が上がれば自分の書きたいことを自由に書けるというなんとなくの手応え、高揚感を持ったように思います。
シナリオは深淵。キリがないが面白すぎる。その頃からサンカがモチーフのシナリオばかり書いていました。変な受講生だったと思います。
2016年、初めて中之条町の六合地区に来た時、私はその深い自然や景色、音に吸い込まれそうになりました。なんとなく感じる人外の雰囲気にただただ圧倒されたのです。
自然の中で人間が生きるとはどういうことなのか、この地を舞台に力強く突き詰めたシナリオを書きたいと思いました。
そして私はサンカの中年男と、吃音の少女が出会う物語を書きました。これも舞台は1965年。初めての中編シナリオでした。題を「山人美観」と言います。
そしてその年のいさまスタジオ映画祭に応募し、なんと最終選考まで残ってしまいました。賞を頂くことはありませんでしたが、審査員の酒井昌三先生から激励の言葉を頂きました。
(「山人美観」を評し)
「作者が持ち続けている自然と人間の歴史とドラマの問題意識の崇高さは独特であり称賛に値するものだと僕は思っています」(坂井昌三氏「伊参シナリオ大賞2016」冊子より抜粋)
その言葉のお陰で今があります。自分はこの道を突き進もうと決めたのでした。
それからも「馬ありて」を進めつつシナリオを書いていきました。当映画祭以外にもいくつか応募をしました。
2017年は舞台を現代に移し、主人公の高校生の女の子の親友が、実はサンカの末裔で、その子が野生に戻っていくというシナリオを書きました。今こうして書いていても、「おおすごい話だな」と思ってしまいます。。。
そのシナリオはいさまスタジオ映画祭2017にて、坂井先生から審査員奨励賞を頂きました。この時、生意気ながら、とても悔しかったことを記憶してます。
そして2018年が来ました。