「どげんかせんといかん日本の慢性痛医療」の協力団体、NPO法人ペイン・ヘルスケア・ネットワーク、理事の山口です。活動報告では、NPOスタッフの日々の活動やどげんかせんといかん日本の慢性痛医療の状況などについてお知らせしていきます。
私は普段医療機関でリハビリ業務をしています。本日は医療者によって痛みの見解が異なることで生じた患者さんの苦労ついて、私が経験した話をご紹介します。
せっかくよくなってきたのに・・・
その患者さんは極度の腰痛があり、様々な診療科で検査・入院・治療を行っても良くならないことが続いていました。私の職場ではリハビリも行うことになりました。
出会った当初は動くことも辛く、表情も暗い印象でした。リハビリでも運動を行うことに対して『また痛くなるかも』と恐怖心を抱いていました。しかしリハビリの回数を重ねることにつれ、表情も和ら無くなり痛み以外の訴えも増えてきました。
これは痛み以外にも目を向けることができてきた兆しでもあり、良い経過と考えます。
心無い言葉もあれば、無自覚なアドバイスもある
慢性腰痛の治療とは別の病院にかかった際に、その病院の医師に「体力が無いから痛いんだ、床にしゃがんでそこから立ってみなさい」と言われ、床にしゃがみこみそこから立つ動作を行いました。
急に言われて反論もできずに恐怖感を感じながらも立ち上がった患者さん。それまである程度コントロールできていた強い痛みが一気に増強してしまいました。
慢性腰痛の改善に最も影響するといわれる運動恐怖
痛みには運動恐怖というものが関与することがしばしば認められます。
運動恐怖がある方は段階的に運動に慣れていかなければいけませんが、身体機能を超えた運動はかえって恐怖心を増大させ痛みを強くする傾向があります。
痛みに対して診療を行う医師や医療従事者はこのことは既知の事実かもしれませんが、一つの言葉かけや指示が悪影響を及ぼすこともあります。
今回の場合、長らく患者さんと痛みについて向き合っていれば痛みを理解し立ち上がりをやろうということにはならなかったはずです。また、患者さんが断れる選択肢を示してあげれば、「患者さんは苦労しなくて済んだと思います。
事例から学んだこと、本会で伝えたいこと
こういうことが起こらないようにするためには、少しでも多くの医療者に対して『治らない痛み』について学ぶ機会を作らないといけません。本会のような皆が集まる場所で広め、医療者間の見解も共通理解として共有できれば、慢性疼痛を抱えた方とより深く向き合えることになると思います。
今回のプロジェクト【どげんかせんといかん日本の慢性痛医療 疼痛ゼロの日2019】はそのような専門分野以外の医療者にも『治らない痛み』について伝わり、正しい関わり方を広めることも一つの役割として担っています。
痛みに対しての医療が広まるために今回の会を成功させたいと願っています。
是非ともよろしくお願い致します
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『どげんかせんといかん』クラウドファンディングサイト
https://camp-fire.jp/projects/view/191987
『どげんかせんといかん日本の慢性痛医療』特設サイト(一般・医療職向け)
https://www.pt-ot-st.net/index.php/seminar/detail/69035/
サテライトイベント『私たちは痛みの最前線にいる』(リハビリ職向け)
https://www.pt-ot-st.net/index.php/seminar/detail/69034/