「奪われた文脈」〜『表現の不自由展・その後』参加作家に捧ぐ...
アートは見るものに問いかける。
アートは見るものにカタルシスを与える。
そして、アートは文脈を生み出す。
そう、この『表現の不自由展・その後』にとって最も重要なエレメントは、文脈であった筈だ。
嘗てここには繊細で奥行きのある文脈があった筈なのだ。その文脈は剥奪され短絡的な記号として作品たちは消費されようとしている。そしてアーティストたちは作家の刻印を打ち消され、消耗されようとしている。そう、この一連の騒動で奪われたのは"表現の自由"ではなく、"アートにおける文脈" だったのではないか?だから、だからこそアーティストは今こそ『情』を新たに発動させ、この一連の騒動の行間を読み取って、新たなコンテクストを生み出さねばならない。そしてその物語を観客それぞれが読みなおせばよい。それは不自由の中から立ち上がる自由の物語かもしれない、もしくは不自由の中で踠き(もがき)続ける、より不自由な物語かもしれない。しかしそのどれもが『情の時代』における『情』に纏わり付いた文脈なのだ。故に、アーティストは、一刻も早く『表現の不自由展・その後』の物語を自らの手で描ききり、大衆に解放する使命がある。表現の自由の冠において….