初期から異言語脱出ゲームに携わってきた堀口昂誉より異言語脱出ゲームにかける思いを皆様にお伝えしたいと思います。堀口は吉本興業さんとのコラボ「淳風大学からの卒業」「蒼海に眠る秘宝の謎~月夜の邂逅~」で、よしもと芸人さんと共に司会を担当しました。ぜひご覧ください。
「ふみさん。そのよくわからないけど、謎解きゲームなんとやらに、手話を組み合わせたらおもしろそうじゃないかしらねえ。」
ぼくはいつものように「出たぁ。また園長のムチャ振りぃ。」と流していたものの、ふみさんは困った顔していながらもどこか嬉しそうな顔でした。
葛飾区にある福祉型障害児入所施設の園長室で「異言語脱出ゲーム」が生まれました。
当初は福祉型障害児入所施設のろうの子どもたちと大手金融証券会社の社員さんと慈善活動の一環として、長年交流していましたが、プログラムがマンネリ化。年々、頭を悩ませていました。何かいい案がないのかと模索していた中で、園長のあの一言が出たのです。
初期の頃は、ふみさんと神様扮するぼくの2人で施設の屋上に上がったり、新宿の歌舞伎町を神様の恰好で歩くなど、物語に使う写真を撮るなどして、忙しい本職の合間を縫ってつくっていました。まるで文化祭の準備をしていた頃のワクワクした気持ちが蘇ってきました。
本番を終えてみると、不思議な光景が広がっていました。ろうの子どもたちと、手話やろう者・難聴者のこともほとんど知らない社員さんたちの間に見えない壁がなくなっていました。
ふみさんもぼくもろう者として生まれました。これまで見たこともない不思議な光景がそこにあったのです。
しばらくして、牧原依里さん(異言語Lab.理事)が、広く世の中に発信すべきだと力強く提案してくれたことから「異言語脱出ゲーム」は本格的に始動しました。
Panasonicとロフトワークとカフェカンパニーが共同で進めている100BANCHのプロジェクトに選ばれ、吉本興業、NHK、教育機関、自治体の方々がこのゲームには素晴らしい価値があると評価していただき、私たちの想像を超え、異言語脱出ゲームは大きくなっていきました。
ふみさんがこのゲームをつくる原動力には、小学生のときの聴者の学校で経験したやりきれない音声社会での見えない壁の存在があったのではないでしょうか。
異言語Lab.のキャッチフレーズの「あなたに伝えたい、あなたのことを分かりたい。」そこには、ふみさんの思いが詰まっています。
そして、この世のもっともっと多くの人が「知る」チャンスをください。
便利すぎる世の中になった今ですが、何か大切なものを見落としてしまっているのではないでしょうか?
人と人が繋がっている間にある大切なもの、それがなんだったのか思い出す、いいきっかけになるかもしれません。
終わってみると、人と人を繋げてくれる奇跡のゲームです。
みなさんぜひ体感してみてください。
一般社団法人異言語Lab.スタッフ(司会担当)
堀口昂誉
異言語Lab.は2020年に向けて異言語脱出ゲームを定期的に開催し、多くの皆様に体験していただきたく、クラウドファンディングに挑戦しております。https://camp-fire.jp/projects/view/201002
引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。