MOMO5号機、そしてインターステラテクノロジズを応援してくださるみなさま、こんにちは。
インターステラテクノロジズ(以下、IST)代表の稲川です。
既にプレスリリースとしても出しましたが、5月2日(土)に打上げ予定だった観測ロケットMOMO5号機について、打上げ4日前に大樹町長から延期の強い要請を受けて、5月2日~6日の期間内での打上げ延期を決定しました。次回の打上げ時期は未定ですが、既に次に向けて前向きに動いています。
▼プレスリリース:観測ロケット「MOMO5号機」打上げ延期のお知らせ(4月30日)
▼YouTube:「MOMO5号機」打上げに関する緊急記者会見の動画(4月28日)
ISTの事業はロケット打上げサービスです。
これは簡単にいうと宇宙までお客様からお預かりした荷物をお届けして、配達料のお金をいただく事業です。
どうしてもイメージ先行で、打上げて喜ぶエンターテイメントやイベントのように思われています。イベント的な側面は多くの人に楽しんでもらったり関係者の皆様に知ってもらうという効果はありますが、主目的は宇宙に荷物をお届けする。それが民間企業活動としてのロケット打上げです。
ロケット技術開発は極めて難しいです。
従来国家事業であったロケットを民間企業活動とするために、市場拡大のため試行錯誤で様々なことを実施しています。お菓子をロケットの炎で焼いてみたり、ロケットの機体広告のスポンサーを募ったり、個人の荷物を載せたりと様々な可能性を試しています。
また、観測ロケットとして王道の使い方である科学実験の装置も搭載しています。これによって科学技術の分野に貢献もしています。
「宇宙を使う」
一般の方はGPSだとか気象衛星ぐらいの恩恵ではあるのですが、実は宇宙を使いたい人は世の中にたくさんいます。MOMOには期待が寄せられています。
使いたいけどチャンスが無い・お金が高すぎる、そんな理由で使いたい人が使えない。
それが宇宙空間です。
その敷居を下げ、宇宙を身近なものにすることで、人類に貢献するんだ。
そんな気持ちで事業を行っています。
私たちはこれまで、打上げを見に来ていただいたお客様との出会いによって事業が大きく前進してきました。
例えば、NHKの「逆転人生」というドキュメンタリー番組に特集してもらったときにも紹介されましたが、「宇宙品質にシフト MOMO3号機」のメインスポンサーであったレオス・キャピタルワークス株式会社の藤野社長は、MOMO2号機の打上げが上手く行かなったときに現地で泣いているお子さんを見て、その子の夢を叶えたいと次号機のスポンサーを決意されました。
ロケット打上げのイベントはあくまで広報活動、地域貢献、CSRとして考えていますが、ISTのメインであるロケット打上げ事業にも繋がるとても大事な機会です。
しかし、昨今の新型コロナウイルス感染症をめぐる情勢を踏まえ、今回のMOMO5号機打上げでは最大限の対策を行ってきました。
・見学場封鎖による完全無観客
・見学者の方が大樹町に来ないように要請
・YouTube、ニコニコ動画によるライブ配信
・立入り制限区域の拡大
・制限区域外で人が入れそうな場所へのパトロールと声掛け
・メディアの方々はオンライン取材・記者会見、カメラマンのみの入場に制限
実際に大樹町に来ていただいた方も多いかと思いますが、射場近辺は極めて広い範囲です。
今回拡大した立入り制限区域は35㎢程度、これは山手線の内側面積の半分になります。
また、山で人が入れないような場所も含めると射点を中心に山手線内側ぐらいの面積以上を、ロケットを見ることができない状況にする予定でした。
広大な面積なので絶対に、完璧に誰も入れないという約束はできません。しかし、ほぼ人が来れないであろう状況を作る準備をしていました。
完全無観客の打上げ自体も事前に大樹町役場とも相談して決定した方針でした。
ISTの事業を止めない範囲で最大限の対策と大樹町の確認を経て、「対策は十分である」という大樹町からの評価を得て、打上げ日を4月20日に公開しました。
しかし、打上げの1週間前、大樹町から延期の打診をされてしまいました。安全の対策は万全でも、町民の安心の獲得までは難しいとのことでした。
なんとか打上げを行うべく、5月2日だけを避けて予備日での打上げを実施することや、時間の制限、日時を公表せずに打上げることなどさまざま提案を行いましたが、GW期間中の延期要請は変わりませんでした。したがって、苦渋の決断ではありましたが、打上げの延期を決定しました。
▼クラウドファンディング活動報告:打上げ延期の経緯とこれからについて(4月30日)
延期要請において、行政からの要請は法律・科学・論理・数字に基づいての判断でないと今後の打上げの見通しがつきません。大樹町にもその点を説明してほしいと伝えていますが、現段階でも回答はいただいていません。打上げ可能な日時(ウィンドウと呼びます)は簡単に確保できるものではなく、関係各所との事前の入念な調整が必要です。直前での変更は難しいものです。
しかし、これまでも、これからも、ISTの活動に大樹町は不可欠です。
打上げには広大な範囲の敷地が必要であり、今後ZEROも含めて射場拡張の検討を大樹町と一緒に行っていること、ふるさと納税(企業版・個人版)などISTへのサポート施策も実施していただいていること、地元住民の方々の応援があるので地元の交渉事が良好に進んでいることなど、大樹町だからこそISTは宇宙開発ができているのだとも思います。
このような状況ではありますが、打上げ延期の記者会見には大樹町長も同席しています。町長から当面はGW期間中に限っての延期要請である、今後は大樹町としても汗を流して協力していくと明言してくれています。
そして実際に、大樹町とは次の打上げに向けて前向きな協議を始めています。
当然のことですが、ベンチャー企業として、事業の遅延は大きな痛手です。
今回の延期要請の影響が最小限になるように全体の計画を策定している状況です。
また、延期による損失を補填すべく、新たなクラウドファンディングの実施(CAMPFIREにて公開予定)などできることをやろうとしています。
新型コロナウイルス感染症には負けません。
このネガティブな状況に際して、多くの方の応援の声に助けられています。実際にメール・SNSなどで、励ましやエールをたくさん頂いています。
見えない不安と戦うときは、皆様からの応援が何よりのチカラになります。
ご心配をおかけしますが、ISTメンバー全員、前向きに進んでいます。
引き続きご支援賜れば幸いです。
インターステラテクノロジズ株式会社 代表取締役社長 稲川貴大
▼クラウドファンディング CAMPFIRE:IST公式ページ
https://camp-fire.jp/projects/view/273150
(新規のクラウドファンディングが公開されます。公開されたらURLが有効になります)
▼大樹町個人版ふるさと納税 宇宙のまちのロケット応援プロジェクト