世界天文コミュニケーション会議(CAP)とは…。
日本大会の成功のためにも、過去の様子を知り、大会のイメージを持つことは大切です。そこで、これから、5回にわたって過去に開催されたCAP大会の様子をご紹介していきます。
今回は、前回2016年に開催された現地参加のレポートを掲載します。
CAP2016は、2016年5月16日から20日に、南米コロンビアのメデジン市で開催されました。
CAP初の南米開催で、世界中から約200名の参加者がありました。コロンビア開催ということもあって、南米からの参加者は50名ぐらいありました。
CAP2016の会場となったのは、パルケ・エクスプロラという科学館で、プラネタリウムや水族館も備えています。植物園もとなりにあり、地元の大学の近くにあるなど、学問的・文化的な一帯に位置しています。科学館やプラネタリウムは非常に立派で、連日、地元の子どもたちが遠足や見学に訪れて、とても元気いっぱいでした。
会議は、概ね午前中は全体セッション、午後は4会場にわかれての分科会セッションやワークショップという形で進行しました。初日は、なんと国際天文学連合(IAU)会長のシルビア・トーレスさんが登壇し、「IAUとはどういう組織なのか」紹介しました。他にも、「科学技術や芸術のコラボレーション」や、「最先端の科学をプラネタリウムで活用する方法」などの発表がありました。インパクトが強かったのは、オーストラリアのアマンダ・バウアーさん。オーストラリアの天文普及の話を紹介されたのですが、なんと生後3ヶ月の娘さん、イーダちゃんを抱きながらの発表で、とても微笑ましかったです。地元コロンビアからの発表もあり、コロンビア国内での天文教育普及活動が活発であることをうかがえました。ここには書ききれませんが、他にも熱心で興味深い発表がいくつもありました。
会期中には、プラネタリウムの見学や、市民向けの野外コンサートなども行われました。野外コンサートは雨にもかかわらず、大勢の市民がつめかけました。ホルストの「惑星」や「スターウォーズ」のテーマに盛り上がっていました。
日本からは9名が参加しました。ただ、他のアジアの国々からの参加者が少なく、インドからくらい。いつもは5、6ヶ国参加があるのですが、やはりアジアからは南米は遠いからでしょうか。旅費の都合もあるのでしょう。
それでも、「インクルーシブな天文学」「Mitakaで宇宙旅行」の2つのワークショップを企画したリナ・キャナス、臼田-佐藤 功美子。ハワイのすばる望遠鏡での取り組みを発表した林左絵子、藤原英明。日本の「祭り」イベントを紹介した小林弘など、日本の存在感を示せたのではないかと思います。実はもう一人日本人が参加してました。ペルーに青年海外協力隊として派遣されている、辻埜太一さん。ペルーの子どもたちに行っているプラネタリウム投影や科学教育活動について発表しました。
今回のCAPは正直プログラム盛りだくさんでハードスケジュールでした。それでも海外のいろんな発表を聞くことができましたし、また、海外の参加者とも交流を深めることができて、非常に充実しました。ただ、日本からの参加者が9名だったとはいえ、国立天文台の関係者ばかりでした。
次回の CAP2018 は日本の福岡で行われます。ぜひ、もっといろんな人が参加して、日本での様々な天文普及やアウトリーチ活動、天文カルチャーの勢いを紹介できるといいですね。
この会議がぜひとも盛り上がることを願います。