017年10月1日、ついに福岡市科学館がオープンしました。「人が育ち、未来をデザインしていく科学館」という理念のもと、随所にワクワクする「人が育つ」しくみが工夫されています。
詳しくは、福岡市科学館の公式サイトをご覧ください。
そして、「世界天文コミュニケーション会議 2018in福岡」も3月の開催に向けて急ピッチで準備が進められています。
2017年10月18日をもって発表申し込みが締め切られましたが、口頭・ポスターなど、併せて422件もの申請が国内外からあり、今回の会議に世界中から寄せられている期待度の高さがうかがえます。現在、それぞれの申請について厳正に審査を進めている段階です。
また2017年10月末現在で、参加申し込みは200人を超え、多くの科学コミュニケーションを担う人々が2018年3月に福岡に結集しようとしています。
詳細な最終プログラムの公開は、予定通り、1月末となりますが、招待講演者については決定し、すでに公式ホームページにあがっていますので、こちらでもご紹介しましょう。
1日目(3/24 Sat)
「Best Practices in Public Outreach」
初日、講演トップバッターを務めるのは、海部宣男(国立天文台名誉教授)です。
IAU前会長を務め、星間分子や星形成領域の電波観測を開拓した天文学者。45m電波望遠鏡やすばる望遠鏡の建設に従事し、アルマ望遠鏡計画も先導するなど、日本の天文学の地上観測の水準向上に貢献を果たしてきました。野辺山宇宙電波観測所長、ハワイ観測所長、国立天文台台長を歴任し、日本学術会議の会員として日本の基礎科学の発展にも努め、アジア地域での天文学分野の協力に関する長年の働きかけは、2015年設立のEAO(東アジア天文台)へと結実しました。150本の学術論文と多数の著書を著している他、講演や書評などを通じて一般社会に幅広く科学研究の価値を伝道し続けています。
2日目(3/25 Sun)
「Astronomy Communication for a Better World」
2日目は、村山 斉(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構初代機構長)です。微小な素粒子の物理学と巨大な宇宙の物理学の結合を目指す理論物理学者で、ニュートリノ実験や天文学のプロジェクトもリードしています。東京大学で理論物理学の博士号を取得後、東北大学助手、次いでローレンス・バークレイ国立研究所フェローとなりました。1995年7月にカリフォルニア大学バークレイ校物理学科に移籍すると、助教授を経て、現在は教授。2002年には、理論物理学における研究を奨励する西宮湯川記念賞を受賞しました。アメリカ物理学会フェロー、アメリカ芸術科学アカデミー会員。学生のみならず、一般聴衆にも明晰で解りやすい講義には定評があります。今回も招待講師としての講演のほかに、福岡市民向けの講演も計画されています。
3日目(3/26 Mon)
「Using Multimedia, Social Media, Immersive Environments and other Technologies for Public Engagement with Astronomy」
3日目は、米国ウィスコンシン大学マディソン校の生命科学コミュニケーション学科の主席教授である、ドミニク・ブロサード。科学とメディア、政策の関係性について専門としており、路運送的な科学の問題に関する世論形成の研究で、国際的に知られています。
100件以上の研究論文を発表している、全米科学アカデミーの専門委員です。
今回の講演では、オンライン環境での科学的談話の構築方法を論じ、実証的研究成果に基づいて科学コミュニケーションを成功させるために考慮する必要のある側面について語ります。
4日目(3/27 Tue)
「Current Challenges in Astronomy Communication」
4日目は、「Me, Myself, and Why: Searching for the Science of Self (2014)」「 The Calculus Diaries: How Math Can Help You Lose ht, Win in Vegas, and Survive a bie Apocalypse (2010)」など、4冊のポピュラーサイエンス本の出版で国際的に知られた科学ライターのジェニファー・オーレット。
月間3500万ページビューを超える人気のテクノロジー/サイエンスニュースブログであるギズモードの元編集者で、現在はフリーで活躍。2008年11月から2010年10月までは、ハリウッドの科学者とエンターテイメント業界の専門家の間の創造的な協力を促進することを目的としたサイエンス&エンターテイメント協会の創設理事を務めました。
5日目(3/28 Wed)
「Inclusion, Diversity, Equity and Empathy in Communicating Astronomy」
最終日、トリを務めるのは、プエルトリコ出身の全盲の天文学者、ワンダ・ディアス・メルセドです。20代前半で視力を失ったとき、星を研究するという彼女の夢は、潰えるかにみえました。しかし、天体物理学データを解析するために音を使う方法を見つけ、 グラスゴー大学の博士号を取得しました。2000年以来、障害のある学習者に焦点を当てて、データの分析の仕方を学習者(学生)に教える知覚様式を見つけようと取り組んできました。現在では、ケープタウンの国際天文学連合・社会発展のための天文学推進室のポスドク研究員で、学校レベルで、天文学データの分析方法を障害のある学習者に教える教材を開発しています。
以上、招待講演者のご紹介でした。
魅力的な招待講演のラインナップが決まり、徐々に具体的になりつつある「CAP2018 in福岡」のプログラム。基本的に英語で進行しますが、2日目、3日目の全体会では日本語同時通訳が入る方向で準備が進められています。
早期参加登録の締め切りは12月15日
多くの人の参加が大会成功のカギとなります。皆さんも参加者として一緒に大会を盛り上げていきませんか?参加登録はこちらから。きっと新しい発見と出会いが待っています。