2月21日でアートわっか・すぎなみのクラウドファンディングが終了しました。昨年の12月から約1ヶ月半の間にたくさんのご支援をいただき、385,000円を集めることができました。このほかに、直接お会いしたからも寄付いただきました。目標に設定した金額に達することは叶いませんでしたが、みなさんからのご声援のおかげで、私たちも元気をいただくことができました。本当に本当にありがとうございました!これからも子どもたちに良い時間を作っていけるよう、真摯に向き合っていきたいと思います。リターンのご連絡などは、対象の方に随時お知らせいたしますので、しばらくお待ちください。今後とも、アートわっか・すぎなみの活動を見守っていただければ幸いです!
子ども の付いた活動報告
2月8日、今年度11校目の授業をおこないました。クラウドファンディングも残り11日となりました。これまでのレポートでは子どもたちの様子をお伝えしてきたので、今回は授業の裏側をレポートします!みなさんからご支援いただいた資金は、丁寧な授業運営のためのコーディネートや研修にかかる費用にも充てていきます。SNSなどでのシェア大歓迎です! 最後の応援をよろしくお願いいたします。―――――朝8時15分、登校中の子どもたちに混ざりながら、わっかさんが学校にやってきます。控え室として学校からお借りした部屋に集合し、全員が揃ったところで朝のミーティングを始めます。授業の3週間前には学校へ赴き、図工の先生や担任の先生と事前打ち合わせをしています。子どもたちの普段の様子、これまでにどんな鑑賞活動をしているかなどを先生からうかがい、45分間の授業で子どもたちが最大限に楽しい時間を過ごせるよう、準備をすすめてきました。打ち合わせを経て決まった内容は要旨をまとめて授業に参加するわっかさん全員に事前に共有済みです。当日の変更点など1日の流れを一通り確認した後は、実施教室の準備にとりかかります。机を4つ合わせて島を作り、子どもの数の椅子を用意します。 何気なく机を並べ替えているようにもみえますが、重要な場作りのひとつです。カードを広げやすいように高さを揃え、隣の島と近すぎて声が聞こえにくいことがないように整えていきます。朝の短い時間で準備できるよう打ち合わせで下見をしておき、机配置をあらかじめ共有しています。アートカードと名札用のテープを準備します。グループ活動のはじめにやる名札作りは、子どもたちとわっかさんの大事なコミュニケーション。安心して思ったことを言える雰囲気作りの一環です。何重にも準備を重ねて、いよいよ授業がはじまります!チャイムに合わせて、あいさつをしながら教室に入ります。知らない大人がずらっと教室に入っていくと子どもたちはちょっと驚いた様子。これから何をするのか、期待と不安が混ざった表情の子もみられます。司会のわっかさんから、「アートをみて、考えたり思ったりすることに間違いはないんだよ」「みんなが感じたことはぜ〜んぶ○(マル)!」、そして「今日はカードゲームをしながらおしゃべりするよ!」と伝えると、子どもたちは嬉しそうな顔に変わっていきます。授業内容の伝え方も毎回工夫をするところです。ゲームの時間は約30分。よくみて考え意見を聞き合うというルールが掴めると話が止まりません。じっくり考える時間を作ったり、ときにはテンポよく進めたり、子どもたちの様子をみながらグループ毎に進行します。黒板に書いてあるのは終了時間。楽しい雰囲気を演出します。授業の後は、先生との振り返りをおこないます。率直な感想をお聞きし、先生方からみたこの授業の良いところ・改善点を確認します。複数のグループ活動が同時進行するので、先生が見きれなかった子どもたちの様子も共有します。その後、運営面やアートカードの進行を振り返ります。今回は2教室にわかれて実施したため、移動時間や子どもたちの声の聞き取りやすさについて改めて考えました。ここで挙がったことを次回の授業に生かし、アートわっか・すぎなみの美術鑑賞教室はブラッシュアップされていきます。この日の解散は12時40分。あっという間の4時間半でした。
冬の土曜日、今日は公開授業の日です。図工の教室に小学4年生が入ってきて、グループごとに座りました。わっかのメンバーが最初に挨拶します。「今日はおしゃべりをたくさんする授業です。この時間は正しい答え、まちがっている答えはありません。各グループにいるわっかさんと一緒に、思ったことをどんどん話しましょう」【共通点探し】これから何が始まるんだろう?わくわくどきどきの子どもたちは、わっかさんが、ハガキ大のアートカードをたくさん取り出し、裏返しにして机の上でトランプカードのように混ぜ合わせるのを見つめています。待ちきれなくて、カードをひっくり返して裏の絵を見る子もいます。さあ、共通点探しゲームの始まりです。子どもたちが順番に、裏返ししたカードから3枚をとって、そのうち2枚に共通する点を話し合い、共通点1つについてグループの同意をとるというゲームです。「共通することって、何があるかな?」というわっかさんの問いかけに、みな絵に見入っています。「この二つは絵だけど、こっちはモノだからなー」よく動き回る子が口火を切ります。「こことここ、色が同じ!」すると、別の子が「あ、それなら、この色とこの色も同じだよ」「この鉄のモノのふちの形と、この絵の上のほうの藁みたいのが積んであるの、形が似てる」どんどんいろんな共通点が出てきます。最後の番になった、おとなしい子が、小さな声でいいました「この女の人の帯の小さい鳥の模様と、このガラスの入れ物についているここは、どっちも鳥だから同じ」細かいところによく気づいたね!と、驚きです。このゲームから、「見る」ことの奥深さ、つまり私たちは日ごろ、見ているつもりでも、思い込みで判断しているのではないかと気づかされます。ぱっとみて、違うと片付けてしまわずに、よく観察して通じる点を見つけられることは、多様性が高まる今の社会で大切な力ですね。【物語作り】正誤がなく、自分の意見が大事に受け入れられることがわかってくると、子どもたちの声にも張りがでてきたように思えます。さあ、次は物語づくりです。裏返ししたカードから2枚を選び、それをひっくり返して見た上で、今度は表が見えるカード1枚を選び、物語を作るというゲームです。3枚目を選ぶときの集中度はすごいものです。ある子は、とった2枚のカードが、大名行列の日本画と、松の木の屏風絵でした。「なにこれ?」とちょっと考えて、迷って選んだ3枚目のカードは、金屏風に川が描かれた絵でした。できた物語は「ある人が、たくさん並んでいる列から逸れて、道をあるいて川を渡っていったら、大きな樹がありました」ある子は、男性を描いた油彩、桜の花の日本画があたり、3枚目に縄文式土器の写真を選びました。物語は、「おじさんが桜の花を見に行ったら、妖怪に会ってしまいました。」わっかさんが「どこからそう思ったの?」と聞くと、「きのう妖怪のゲームをして、これが妖怪の顔に見えたから」とのこと。確かに縄文式土器の写真を横に見ると妖怪の頭に見えてきます。その子は屈託のない笑顔で、「ふだんできないことが、物語のなかではできるね」と、昨日のファンタジーの世界につなげたようです。アートカードの内容を関連づけてひとつの物語にするというゲームでは、子どもたちの自由な発想に驚かされます。物語を伝えたいという気持ちが自然に湧いてくるようです。あっという間に授業も終わりに近づき、隣のグループに遠征したり、わっかさんにアートカードをもって帰りたいとせがむ子もいます。授業のはじめと比べて、子どもたちの声がよく響きます。【未来を生きる力を育む授業】アートわっかの美術鑑賞教室は、美術鑑賞を通して、子どもたちが21世紀を生きるために大切な力を育みます。よく観察し、自分なりに考え、自分の言葉にして、他の人に説明し、多様な意見をよく聞き、それによりさらに自分の考えを深める。アートカードを用いたこのような活動に子どもたちは熱中します。こんな授業を一人でも多くの子どもたちに届けるには、教材や準備、ファシリテーショントレーニングなどを行う資金が必要です。クラウドファンディングを通してこの活動を輪を一緒にひろげていきませんか。(このレポートは、ARDAクリエイティブパートナーに見学、執筆していただきました。アメリカでVTSの研修も受講されたことがあり、現在企業研修に関する仕事をされてる方です。丁寧に子どもの体験をみて、さらに新たな視点でレポートを書いていただき、ありがとうございました!)
今年度9校目の授業は、前任校で美術鑑賞教室を取り入れてくださった図工専科の先生が「異動先の学校でもぜひ!」と声をかけてくださり、それなら!と、わっかさんも集まってくれて実現しました。全体的に素直でおとなしいけれど、自分の言葉で考える子が多く、なかなか言葉にならなくても一味違う意見がたくさん出てきました。私たちの美術鑑賞教室でアートカードを使った活動のひとつが「共通点さがしゲーム」。裏返した50枚程度のアートカードから、3枚のカードをめくり、その内2枚の共通点(色が共通、形が同じ、見た時の印象が似ているなど)をみんなで見つけていきます。色々な意見が出た後で、カードをめくった人が一つ共通点を決めて「このカードの共通点は○○です」と発表。班のみんなもそう思えば「納得」のポーズを、違うと思ったら「う~ん」と首をかしげるポーズをします。全員が「納得!」すると次の人へ。「う~ん」が出た時は見方を深めるチャンス!どこが納得できないのか、説明してもらってみんなでまたよく見直します。簡単な色や形から見つけていく子ももちろんいましたが、ずっと黙って考えていた子がポツンと言った共通点を「○○さんは、時間の流れを見ているんだね」と、友達がどんな視点で見ているか考えたり、「友達があきらめずに細かい所まで見て共通点を見つけたのがすごかった!」と最後に感想を発表したり、お互いを認めている関係がどの班でも見られました。発表をする方も、最初の言い方では伝わらない(納得してもらえない)時には、自分で考えて捉え方や言い方を工夫し、「それなら納得できる!」と認めてもらえるまで頑張ったりもしていました。少し声掛けをするだけで子どもたち同士での対話がたくさん生まれました!
あたたかいご支援、応援をいただきありがとうございます!クラウドファンディングのほか、直接のご寄付もいただいております。これまでの活動実績についてご質問いただいたので、表にまとめました。アートわっか・すぎなみは2013年度に最初の施行実施の授業を、2014年度は1期生のメンバー募集と6校での授業を行い、その後継続して実施して2019年度で7年目になります。訪問したことのある学校は15校ですが、毎年・あるいはこれまでに数回訪問させている学校が多く、のべの訪問校数は51校。この活動を知ってお声がけいただいた学校へ伺っています。参加した児童は、なんと4100人。最近では、毎年約1000人の児童と一緒に鑑賞活動をしています。この活動では、活動を導入してくださる先生との出会いもとても大切にしています。いつものお子さんの様子をお聞きして事前に準備をしたり、活動後にふりかえりの時間を設けて意見交換をさせていただいています。また、1度の訪問ですが、美術鑑賞をする参考になったり、お子さんのいつもとは違う面がみえることもあるかもしれないとお伝えして、先生には授業を見守っていただいています。そんな先生のこれまでの参加者数はのべ約237人です。わっかさんはこれまでにのべ約603人の方が学校授業に参加しています。このほか、地域イベント、児童館、杉並区のアートギャラリーなどで不定期に活動しています。また、授業の打ち合わせや、わっかさん内の練習や打ち合わせもしています。地域の中でアートをみて思ったことを言い合える!そんなネットワークが広がることで、地域や生活の豊かさにつなげたいという気持ちがあります。これまで、杉並区の助成金をいただき、区報等でとりあげていただき、活動を知ってくださった方が多くいらっしゃいました。今回のクラウドファンディングでは、より広く活動やその意義について知っていただき、共感や賛同していただける方に出会えたらよいなと思っております。